【 2016/05/27 】
【 2016/05/26 】
【 2016/05/25 】
【 2016/05/24 】
【 2016/05/23 】

【伊達淳一のデジタルでいこう!】キヤノンEOS 5D Mark IIIの画質を検証する

〜RAW現像で画質を追い込む
Reported by 伊達淳一

 これまで「EOS 5D」、「EOS 5D Mark II」(以下5D2)と購入してきたが、画質の良さは認めつつも、一眼レフとしての基本性能が低いのが不満だった。画面中央に測距点が集中し、フォーカスロックを併用しなければ撮りたい構図でAF撮影できないもどかしさ、連写スピードがエントリー機並みに遅く、パコーンと間の抜けたシャッター音、画素数が増えたことでますます目立つ倍率色収差など、常にストレスを感じながらの撮影でフラストレーションが溜まってしまう。

EOS 5D Mark III。発売は3月22日。ボディのみの実勢価格は32万9,800円

 そんな思いをしてまでフルサイズ機を使わなくても、APS-Cフォーマット機のほうがシステムとして小型・軽量・低価格だし、デジタル専用レンズの充実でカバーできる画角もフルサイズよりも広い。周辺画質も安定している。そんなわけで、大口径の単焦点レンズと組み合わせ、フワッと大きなボケを活かしたいときなど、フルサイズでなければ得られない描写を狙った撮影以外は、防湿庫でお留守番していることのほうが多く、ニコン「D700」のように、面でピントを合わせる「多点測距AF」やフラッグシップ機に迫る「高速連写」を誇るフルサイズEOSの登場を待ち続けていた。

 そういう意味では「EOS 5D Mark III」(以下5D3)は、まさにボクが切望してきた(以上の)進化形。最大41点のクロス測距が可能な61点高密度レティクルAF、最高約6コマ/秒の高速連続撮影と約0.059秒のレリーズタイムラグ、新開発の映像エンジン「DIGIC 5+」によるレンズ色収差補正、視野率約100%の光学ファインダーなど、これまでの5Dシリーズに足らなかった部分がしっかり改善されている。

 また、一見お遊び的に感じられる「HDR」や「多重露出」機能も、撮影者の表現意図を反映できる自由度が高い。HDRは、単にダイナミックレンジを拡大するだけでなく、HDRならではのローカルコントラストを誇張した絵画的表現も楽しめるし、多重露出も比較(明)や比較(暗)合成もできるので、かなり凝った多重露出撮影にもチャレンジできる。いずれも、素材として撮影した写真をRAWデータで同時記録できるので、撮影後に「Digital Photo Professional」(DPP)などのデジタル現像ソフトを使って、さらに追い込んだ表現にブラッシュアップできる。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

HDRの種類別比較

HDR:ナチュラル / EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約11.6MB / 3,840×5,760 / 1/160秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm HDR:絵画調標準 / EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約12.3MB / 3,840×5,760 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
HDR:グラフィック調 / EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約12.9MB / 3,840×5,760 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm HDR:油彩調 / EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約16.7MB / 3,840×5,760 / 1/160秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
HDR:ビンテージ調 / EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約13.4MB / 3,840×5,760 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

HDR処理前の元画像

EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約12.3MB / 3,840×5,760 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約8.4MB / 3,840×5,760 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約11.6MB / 3,840×5,760 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
HDR処理前のRAWデータ(hdr.zip、94MB)

HDRの作例

EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約15.7MB / 3,840×5,760 / 1/400秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 24mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約11MB / 5,760×3,840 / 1/1.7秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 28mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約9.4MB / 5,760×3,840 / 2.5秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 28mm EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約15.5MB / 3,840×5,760 / 1/50秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約13.3MB / 5,760×3,840 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm

 欲を言えば、発売当初の実売価格が(ライバル的存在のニコン「D800」に比べると)ちょっとお高めなので、この価格で発売するならフラッグシップの「EOS-1D X」同様、10万画素のRGB測光センサーとAE専用のDIGIC 4を採用した「EOS iSA System」まで出し惜しみせずに搭載して欲しかったところだし、SDメモリーカードスロットが「UHS-I非対応」というのも通常なら考えられない仕様だ。そんな不満がないわけではないが、カタログスペック的には従来の「EOS-1Ds Mark III」を上回っているわけで、それを考えると「待ってて良かった〜」というのが正直な気持ちだ。


EOS 5D Mark IIに比べて画質はどのように変化しているのか?

 カメラの基本性能が飛躍的に向上した一方で、3年以上前に発売された5D2に対し、画素数がほとんど変わっていないこと対する不満の声もよく聞かれる。ライバルのニコン「D800」が、D700の1,210万画素から3,630万画素と大幅に画素数を増やし、中判カメラに迫る高精細描写を実現してきただけに、なおさらそう感じるのだろう。

前モデルのEOS 5D Mark II。発売は2008年11月

 もちろん、ボクも失うモノがないのなら画素数アップは大歓迎だ。だが、現実はそんなに甘くない。画素数を増やせば、高感度特性や連写性能が犠牲になる。D800は、3,630万画素という画素数から考えると驚くほど高感度特性は良いものの、残念ながら連写性能は約4コマ/秒となり、マルチパワーバッテリーパック「MB-D12」を装着すると8コマ/秒という高速連写が可能になるD700と比べるとやはり軽快さに欠ける。

 その点、5D3は、画素数を据え置いたことで連写スピードが約3.9コマ/秒から約6コマ/秒に向上し、61点高密度レティクルAFとサーボAF設定を柔軟にカスタマイズできるようになったことで、ポートレートやスポーツなど動きのある被写体も気持ちよく撮れるようになった。肘痛で使用頻度が激減した「EF 500mm F4 L IS USM」を思い切って持ち出してしまうほどだ。

 画質面で5D2よりも劣化している、という批判もあるが、確かに、5D2と比べると繊細さに欠けるというか、シャープネスが強めで、いわゆる“線が太い描写”になっている。動画撮影時のモアレを抑制するため、ローパスフィルターの効きを強めにしたことで、解像性能が低下した分、強めのシャープネスでごまかしているんじゃないか? というまことしやかな噂も流れてきたが、実際、5D2と5D3をRAWで撮影してDPPで現像してみると、5D3の解像性能が低下して“いない”ことがわかるはずだ。

 5D3発売当初のDPPに「5D3のRAWデータを現像するとピントがややぼけたような画像になる」という不具合があり、そのため、そんな噂になったのだろう。比較撮影したビルの屋上のフェンスに生じているモアレの出方を見ても、特にローパスフィルターの効きが強めになっているとは感じられない。

 一方、JPEG撮影したものを比較してみると、枯れ木の描写を見ればわかるように5D3のほうが輪郭強調の線が太く、確かに上質な描写とは言えないが、その一方で、樹の葉っぱを見ると5D2はモヤッとした描写になっている。「EOS 50D」の頃までは、ノイズが目立つのを恐れ、輪郭強調の線を細めにし、しかも、シャドー部には控えめにシャープネスをかけていたのだが、芝や葉っぱが綿菓子みたいな描写になりやすいという批判を受け、その後の機種では、もっと広い範囲に強めのシャープネスをかけるように味付けが変わってきた。

 5D3のシャープネスもその流れを踏襲したもので、5D2と比べると、輪郭強調の線が太くなり、シャドー部にも積極的にシャープネスをかけている。どうしても線の太さが気になるというのであれば、ピクチャースタイルのシャープネス設定を1段ないし2段低めに設定すると、5D2に近い描写が得られるはずだ。ちなみに、DPPの新機能「デジタルレンズオプティマイザ」を適用し、シャープネスを0にして現像すれば、極めて線が細く、それでいて解像感の高い描写が期待できる。

 また、5D3は倍率色収差の補正ができるのも特徴だ。ビルの輪郭を見ると、5D2は倍率色収差による赤紫や緑の色ズレが認められるが、5D3はきれいに補正されている。ここで比較に使用したレンズは「EF 24mm F1.4 L II USM」で、倍率色収差は比較的少なめだが、ズームレンズならもっと目立つ。5D2と5D3では解像性能的に大差はないかもしれないが、JPEG撮影で倍率色収差が補正できるかできないかという違いは大きいと思う。

5D2と5D3の解像力比較

このシーンを5D2と5D3でそれぞれRAW撮影し、カメラ内現像、DPP現像、DPPのデジタルレンズオプティマイザを適用量75で現像した。四角の部分を等倍で切り出しキャプチャしたものを下に掲載する。
RAWおよび切り出し前のJPEGデータ(5d2vs5d3.zip、159MB)

5D3のシャープネス値(0〜7)別比較

このシーンを5D3でRAW撮影し、シャープネス設定を0〜7に変えながらカメラ内現像した。四角の部分を等倍で切り出しキャプチャしたものを下に掲載する。
切り出し前のJPEGデータ(5d3_shp.zip、68MB)

ピクチャースタイル[オート]が追加

 5D2と5D3の画質の違いを語る上でもう1つ重要な要素が、ピクチャースタイル[オート]の存在だ。ピクチャースタイル[オート]は、「EOS Kiss X5」から追加されたモードで、[スタンダード]をベースとしつつ、EOSシーン解析システムからの情報をもとにシーンに合わせてきめ細かく色調を制御。シーンによっては、ピクチャースタイル[オート]と[スタンダード]の違いはほとんどないこともあるが、自然や屋外などのシーンでは青空や緑を色鮮やかに、夕景シーンでは赤みを強調した仕上がりが得られるのが特徴だ。

ピクチャースタイルに[オート]が加わった

 ちなみに、ピクチャースタイル[スタンダード]が5D3の初期設定だが、ボクは[オート]を常用。というのは、[スタンダード]の青空の青は、ボクの好みよりも明るめで、色相もややマゼンタ寄り。といって、[風景]モードではどぎつい青になってしまい、黄色が山吹色方向にシフトするのも相まって、ちょっと自然風景撮影には使いたくない。[忠実設定]や[ニュートラル]もボクの好みの色とは違っていて、色の濁りが気になってしまう。

 その点、[オート]は、[スタンダード]よりも青空の青が暗めに再現され、[スタンダード]なら色飽和を避けるため、巧みに彩度を抜くような高彩度の被写体でも、しっかり高彩度に再現される。ある意味、コンパクトデジタルカメラ的なインパクト重視の発色になるので、人によってはちょっと下品に感じるかもしれないが、個人的には撮って出しのJPEGにはこれでOK。もっと上品な画質に調整したいときは、同時記録しているRAWを現像し直せばいいからだ。

 ただ、青空の再現だけに限ればもっとも好みなのが、キヤノンのピクチャースタイルスペシャルサイトでダウンロード提供されている[ポートレートスナップショット]。青空が暗めで深みがあり、緑や黄色の再現も濁りが少なくボク好み。新しくEOSを買ったら、まず[ポートレートスナップショット]と[ポートレートスタジオ]をユーザー設定に登録させるのがボクの恒例儀式となっている。

ピクチャースタイル別比較(カメラ内現像)

※撮影データ:EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 5,760×3,840 / 1/250秒 / F10 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 27mm

ピクチャースタイル:オート ピクチャースタイル:スタンダード
ピクチャースタイル:忠実設定 ピクチャースタイル:ニュートラル
ピクチャースタイル:風景 ピクチャースタイル:ポートレート
ピクチャースタイル:ポートレートスナップショット ピクチャースタイル:ポートレートスタジオ
ピクチャースタイル:モノクロ(フィルター効果:オレンジ)

RAW現像ソフトによる画質の違い

 RAW現像ソフトによっても画質は変化する。色や階調、シャープネス、レンズ収差補正など、さまざまな機能を巧みに調整することで、カメラ内で生成されるJPEGとは異なるテイストの画作りを楽しめる。

 今回は、代表的なRAW現像ソフトで5D3のRAWデータを現像してみたが、露出、ホワイトバランス、コントラスト、彩度、シャープネス、ノイズリダクションなどのパラメータについては、断りがない限りは基本的にはデフォルトで現像。レンズ収差補正用のプロファイルが用意されているソフトは自動で、手動で収差を補正しなければいけないソフトは倍率色収差補正だけ補正を行なっている。どのRAW現像ソフトもパラメータの追い込み次第で、さらに上質な描写を引き出せる(はずだ)が、まずは単にRAWデータを開いた状態で、画作りにどのような違いがあるかを比較してみた。

 ちなみに、ほとんどのRAW現像ソフトは体験版も用意されている。ここで使用したオリジナルのRAWデータも置いておくので、どこまで5D3の画質をブラッシュアップできるか、ぜひ自身の手で試してみて欲しい。

※撮影データ:EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 5,760×3,840 / 1/320秒 / F11 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 96mm

カメラ内生成のJPEG

 ピクチャースタイル[オート]で撮影したものを、カメラ内RAW現像機能を使って[スタンダード]に変更。DIGIC 5+によるカメラ内現像なので、JPEG撮って出しと画質は同等だ。これが5D3の画質を判断するリファレンスとなる。

Digital Photo Professonal

 キヤノン純正のRAW現像ソフトなので、色や階調はカメラのJPEG出力とほとんど同じだが、ややシャープネスが強めで、細い枝など微細な部分がクッキリ再現されている。レンズ収差補正で[周辺光量]と[色収差]のみ補正。後はデフォルト設定で現像。

Digital Photo Professonal(デジタルレンズオプティマイザ適用)

 DPPの新機能、デジタルレンズオプティマイザを適用。アンシャープマスクの[強さ]を[0]、デジタルレンズオプティマイザの適用量を[100]にして現像。JPEG出力に近い解像感ながら、輪郭強調の縁取りはまったくなく、非常に上品な描写。大伸ばししてもデジタル臭さが露呈せず、自然な立体感が感じられる。

Digital Photo Professonal(デジタルレンズオプティマイザ&シャープネス適用)

 デジタルレンズオプティマイザの適用量を[100]にし、RGBタブでシャープネスを[100]に調整して現像。RAWタブのアンシャープマスクよりもRGBタブのシャープネスのほうが線の細い輪郭強調が行なえるので、JPEG出力よりも繊細でキレのある描写が引き出せる。

Adobe Photoshop CS6(Adobe Camera RAW)

 レンズ補正は[レンズプロファイル補正を使用]と[色収差の除去]をチェック。それ以外はすべてデフォルト設定で現像。JPEG出力よりも軟らかさを感じる仕上がりで、桜の花も少し色濃く見える。青空もマゼンタ味が少なめだ。ただ、倍率色収差補正が完全ではなく、枝や煙突の輪郭にわずかな色づきが確認できる。

Adobe Photoshop Lightroom 4.1

 レンズ補正は[レンズプロファイル補正を使用]と[色収差の除去]をチェックしているが、倍率色収差がわずかに残っており、Photoshop CS6のCamera RAWとほぼ同じ仕上がりだ。カメラのJPEG出力よりも軟らかな描写で、桜の花や葉っぱの緑が明るめに再現されるのが特徴だ。

SILKYPIX Developer Studio Pro 5(市川ソフトラボラトリー)

 光源を判定するロジックを搭載した新AWBを試す意味もあり、ホワイトバランスは[AUTO(自然)]を選択。倍率色収差は右下の白い椅子の部分で自動補正をかけている。シャドー部の階調が豊かで、青空も濃く再現されており、カメラのJPEG出力よりも線が細く、解像感も高い。全体に色ノリが良く、SILKYPIXらしい色と階調に仕上がっている。

Capture One 6(Phase One)

 色収差補正を指定した以外はデフォルト設定で現像。非常に繊細な描写が得られることで定評があるRAW現像ソフトだけあって、木の枝など細い線や細かい絵柄が必要以上にエッジ立たず、適度なシャープネスで上品な描写が引き出せている。ハイライトの階調も他のソフトよりも軟調で豊かだ。

DxO Optics Pro 7.5 Elite

 レンズ単体のプロファイルではなく、カメラと組み合わせたレンズプロファイルが提供されているのが特徴で、プロファイルが存在すれば、周辺光量、歪曲収差、倍率色収差がフルオートで補正。また、デフォルトで「DxO Lighting」と呼ばれるHDR的手法を使った自動階調補正も適用されるので、他のRAW現像ソフトに比べ、RAWを開くだけである程度の調整が済んでしまう。そうした効果もあり、JPEG出力よりも切れが良く、整った階調ながら非常にメリハリがある仕上がりなのが特徴だ。

RAWデータ(soft.zip、31MB)

連写スピードはアップしたが連続撮影枚数がネック

 5D3は、約6コマ/秒の高速連続撮影が可能で、JPEGラージファインで約65コマ、UDMA 7対応の高速CFカードなら実用上ほぼ止まることなく連写が可能だ。しかし、RAWとJPEGラージファインの同時記録を設定すると、どんなに高速記録のCFを使っても約7コマで連写が停止する。もちろん、書き込みが速いCFカードを使えば、バッファメモリに空きができる時間が短く、単位時間に切れるシャッター数も多くなるものの、連写スピードは1〜2コマ/秒と遅くなってしまう。連写スピードは6コマ/秒と速くなっただけに、わずか1秒ちょっとでいったん連写が打ち止めになってしまい、常にバッファメモリの残りを意識しながらの撮影にならざるを得ない。

連写時の記録画像

 どうしてもRAWで高速連写を楽しみたい場合は、RAWとJPEGの同時記録ではなく、RAWのみを記録するようにすれば約13コマ、UDMA対応高速CFなら約18コマに連続撮影枚数が増える。これなら思う存分とまではいかないが、むやみにシャッターボタンを押しっぱなしにしない限り、肝心なときにバッファフルになり、貴重な瞬間を撮り逃がすという失敗も少なくなる。

 ただし、RAWのままではピントチェックなどに不便なので、撮影したデータをパソコンに転送後、DPPを使って現在のファイル名で一括保存すれば、RAW+JPEGで撮影したのと同じになる。できることなら、指定した複数のRAW画像をカメラ内で一括現像でき(ペンタックスは可能だ)、RAW記録のみの場合はRAWと同名のJPEGで保存できるオプションがあればベスト。5D2や「EOS 7D」のように、ファームウェアアップデートで対応できることは積極的に対応して欲しいと思う。

RAWのみで撮影した場合は、DPPで一括して確認用のJPEGを生成するのも手だ

 測距点の数や連写スピードの速さにこだわらないのであれば、無理をして5D3を買う、もしくは5D2から5D3に買い換えるよりも、その資金をレンズに回したほうが幸せになれるとは思うが、少なくともボクにとっては5D3は待ちに待った軽快な“フルサイズEOS”。しばらく5D3を使った後で、EOS 7Dを手にすると、連写スピードの速さに感動しつつも、その一方でファインダーの狭さと太いAF測距枠の表示にしばし萎えてしまう。ISO1600程度の感度で撮影した写真を見ても、あれっ!? 7Dってこんなにノイジーだっけ?? と、改めて5D3の高感度画質の良さを思い知らされる。

 61点AF、6コマ/秒の高速連写、ISO3200が躊躇なく使える高感度画質の良さ。5D3はこの3つの要素が揃っていて、画素数が際立って多くもないので、肩の力を抜いて楽な気持ちで撮影できる。ファミリーカー的な使いやすさを感じられるフルサイズ一眼レフだ。

連写撮影のサンプル

EOS 5D Mark III / EF 300mm F4 L IS USM / 約8.4MB / 5,760×3,840 / 1/5,000秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm EOS 5D Mark III / EF 300mm F4 L IS USM / 約8.7MB / 5,760×3,840 / 1/2,500秒 / F8 / -0.3EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約8.5MB / 5,760×3,840 / 1/1,600秒 / F7 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
RAWデータ(rensya.zip、74MB)

そのほかの実写サンプル

EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約5.1MB / 5,760×3,840 / 13秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:白熱電球 / 24mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約5.3MB / 5,760×3,840 / 1/640秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 47mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約6.2MB / 5,760×3,840 / 1/1,000秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:日陰 / 60mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約5.2MB / 5,760×3,840 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:曇り / 24mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約14.6MB / 3,840×5,760 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約14.6MB / 5,760×3,840 / 1/125秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 32mm
EOS 5D Mark III / EF 70-200mm F4 IS USM / 約5.3MB / 5,760×3,840 / 1/2,000秒 / F8 / 0EV / ISO400 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 200mm EOS 5D Mark III / EF 70-200mm F4 IS USM / 約12MB / 5,760×3,840 / 1/200秒 / F10 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 121mm
EOS 5D Mark III / EF 70-200mm F4 IS USM / 約4.4MB / 5,760×3,840 / 1/2,500秒 / F5.6 / 0EV / ISO800 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 200mm EOS 5D Mark III / EF 70-200mm F4 IS USM / 約5.4MB / 5,760×3,840 / 1/800秒 / F4 / 0EV / ISO125 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 127mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約13.4MB / 5,760×3,840 / 1/320秒 / F8 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm EOS 5D Mark III / AT-X 16-28 F2.8 PRO / 約17.5MB / 5,760×3,840 / 1/100秒 / F11 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約16.4MB / 3,840×5,760 / 1/125秒 / F11 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 28mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約5.3MB / 5,760×3,840 / 1/1,000秒 / F4.5 / +0.3EV / ISO250 / 絞り優先AE / WB:オート / 45mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約14.9MB / 5,760×3,840 / 1/800秒 / F8 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 170mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約4.6MB / 5,760×3,840 / 1/1,000秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 188mm
EOS 5D Mark III / EF 8-15mm F4 L Fisheye USM / 約16.9MB / 3,840×5,760 / 1/640秒 / F11 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 15mm EOS 5D Mark III / EF 8-15mm F4 L Fisheye USM / 約9.9MB / 5,760×3,840 / 1/320秒 / F11 / +0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 8mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約4.2MB / 5,760×3,840 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 269mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約4.4MB / 5,760×3,840 / 1/1,250秒 / F5.6 / +0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 252mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約4.5MB / 5,760×3,840 / 1/500秒 / F7 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm EOS 5D Mark III / EF 300mm F4 L IS USM / 約2.5MB / 5,760×3,840 / 1/500秒 / F4 / +1.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 300mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約6.8MB / 3,840×5,760 / 1/800秒 / F5 / -0.3EV / ISO320 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 170mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約5.8MB / 5,760×3,840 / 1/500秒 / F5.6 / 0EV / ISO1250 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 260mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約6.7MB / 3,840×5,760 / 1/640秒 / F6.3 / -1EV / ISO3200 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 269mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約6.7MB / 5,760×3,840 / 1/500秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO1250 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 236mm
EOS 5D Mark III / EF 500mm F4 IS USM / 約7.1MB / 3,840×5,760 / 1/1,600秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO1000 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 500mm EOS 5D Mark III / EF 500mm F4 IS USM / 約5.8MB / 3,840×5,760 / 1/1,600秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO800 / シャッター速度優先AE / WB:オート / 500mm
EOS 5D Mark III / EF 500mm F4 IS USM / 約6.3MB / 5,760×3,840 / 1/50秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / シャッター速度優先AE / WB:太陽光 / 500mm EOS 5D Mark III / EF 500mm F4 IS USM / 約8.2MB / 3,840×5,760 / 1/500秒 / F4 / +0.3EV / ISO1000 / シャッター速度優先AE / WB:太陽光 / 500mm
EOS 5D Mark III / EF 50mm F1.4 USM / 約3.5MB / 5,760×3,840 / 30秒 / F4.5 / 0EV / ISO1000 / マニュアル露出 / WB:4,000K / 50mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約13.6MB / 5,760×3,840 / 1/250秒 / F10 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 269mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約9.4MB / 5,760×3,840 / 1/320秒 / F10 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 252mm EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約12.3MB / 5,760×3,840 / 1/500秒 / F7 / -0.3EV / ISO320 / 絞り優先AE / WB:オート / 140mm
EOS 5D Mark III / EF 70-300mm F4-5.6 IS USM / 約14.2MB / 5,760×3,840 / 1/800秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:太陽光 / 124mm EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約12.9MB / 5,760×3,840 / 1/200秒 / F9 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 24mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約4.7MB / 5,760×3,840 / 1/640秒 / F8 / -0.3EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 102mm EOS 5D Mark III / SP 24-70mm F2.8 Di VC USD / 約6.4MB / 5,760×3,840 / 1/320秒 / F7 / -0.3EV / ISO125 / 絞り優先AE / WB:オート / 65mm
EOS 5D Mark III / EF 24-105mm F4 L IS USM / 約4.1MB / 3,840×5,760 / 8秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 47mm EOS 5D Mark III / EF 40mm F2.8 STM / 約7.2MB / 3,840×5,760 / 1/80秒 / F2.8 / +1.3EV / ISO6400 / シャッター速度優先AE / WB:白熱電球 / 40mm
EOS 5D Mark III / EF 40mm F2.8 STM / 約6.4MB / 5,760×3,840 / 1/80秒 / F3.2 / +1.3EV / ISO6400 / シャッター速度優先AE / WB:白熱電球 / 40mm






伊達淳一
1962年生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒業。写真、ビデオカメラ、パソコン誌でカメラマンとして活動する一方、その専門知識を活かし、ライターとしても活躍。黎明期からデジタルカメラを専門にし、カメラマンよりもライター業が多くなる。自らも身銭を切ってデジカメを数多く購入しているヒトバシラーだ。ただし、鳥撮りに関してはまだ半年。飛びモノが撮れるように日々精進中なり

2012/8/3 00:00