レビュー・使いこなし
AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRスペシャルレビュー
新刊「ニコン NIKKORレンズFANBOOK」より
(2015/12/29 12:00)
11月19日発売の新刊「ニコン NIKKORレンズFANBOOK」(インプレス刊)から、新製品AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR」の解説と作例をまとめました。作例は本誌未掲載のカットで、JPEGの撮って出しです。(編集部)
(写真:上田晃司氏 文:高橋良輔氏)
500mmをカバーする低価格モデル
500mmの超望遠域での撮影を可能にした、NIKKOR最長の望遠ズームレンズ。このゾーンには200~400mmをカバーするAF-S NIKKOR 200-400mm f/4G ED VR IIが存在するが、100万円を超える希望小売価格から、誰もが手に入れられる存在ではなかった。
しかし、AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VRは、望遠側の焦点距離を500mmに拡大したうえで、20万円を切る現実的なプライスを実現。超望遠の世界を身近なものとした。本レンズの特徴は焦点距離が示しているように、圧倒的な引き寄せ効果にあり、遠くの被写体を撮影する場合に威力を発揮。また、比較的近距離にある被写体を狙う場合は、焦点距離の長さによる圧倒的なボケで、背景をきれいに整理できる。
F5.6で設計されているため、レンズ本体は想像以上にコンパクトで、三脚座を含んでも約2.3kgの重量を実現。さらに、手持ち撮影を考慮してVRの補正段数を4.5段に設定。理論上では500mm時に1/20秒でも手ブレが止められるほか、カメラの電源オン直後におけるVR性能が従来の機構より向上。
通電直後からファインダー像が安定するので、とっさに現れた被写体を捕捉しやすい。また、動きが激しい被写体に対しては、SPORTモードを使うことによって、流し撮りや高速連写時にも自然なファインダー像が得られるなどの特徴を備えている。
描写特性は画面中央部に重きを置いた望遠レンズ特有の設定で、画面端の描写も重視される広角レンズとは基本的に考え方が違う。画面中心から15mm程度までのデータは10本・30本/mmともに最大値に近く、きわめて高コントラストで高解像力。そのうえでズーム全域での安定化を図り、望遠側でも高い性能が維持されている。ネイチャーやスポーツをメインに撮る人にとって、超望遠撮影への夢を現実のものにしてくれる1本だ。
◇ ◇