写真展

ロベール・ドアノー写真展「Les Leicas de Doisneau」

(ライカギャラリー)

ピエレット・ドリオン、パリ、1953年(ライカギャラリー東京で展示) ©Atelier Robert Doisneau / Contact

“イメージの釣り人”とも評されるフランスの国民的写真家ロベール・ドアノー。その類まれな洞察力と遊び心に満 ちた感覚で、日常に潜むドラマをとらえ続けた作品は、時代や国境を越え多くの人々に愛され続けています。ドアノ ーの人間に対する飽くなき好奇心と愛情に溢れた眼差しは、普通の人々が見過ごす“額縁のない景色”の中にこそ存在する人生の本質を見事に浮彫にしています。

機動性の高いライカの出現は、ロベール・ドアノーの作品にも大きな影響を及ぼしました。生涯で45万点のネガを残したドアノーの作品から、集中的にライカで撮影していた1950年代の作品をライカギャラリー東京にて、また、日本国内未発表作品を含む1970年代から晩年までの作品をライカギャラリー京都にて展示いたします。

LES LEICAS DE DOISNEAU ロベール・ドアノー写真展

ボー・ド・プロヴァンスのサビーヌ・アゼマ、1991年(ライカギャラリー京都で展示) ©Atelier Robert Doisneau / Contact

ライカとロベール・ドアノー

ロベール・ドアノーが、初めてライカを使ったのは1952年11月のことでした。彼は機械における自らの選択について多くを語ることはありませんでしたが、このカメラのレンジファインダー、機動性、さまざまなレンズの使用が可能なことに魅かれたのだろう、ということは想像できます。

1950年代を通じてドアノーは、街、ビストロ、見世物など撮影において慎み深さと迅速さが要求されるあらゆる場で、ライカによる多くの作品を生み出しました。

1970年代末、再びドアノーはライカへ戻ってきます。そして晩年の15年間は、ライカはドアノーの撮影に欠かせない相棒となりました。仕事で実践していた技術の秘訣を公開することに熱心でなかったこともあり、彼が使っていた多様な種類のカメラと撮影との関係についての研究は、これまでほとんどなされてきませんでした。そのため日本で開催される本展が、ドアノーが使ったカメラをテーマにして選んだ作品で構成される初の大きな展覧会となります。

(アトリエ・ロベール・ドアノー)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ライカギャラリー東京
  • ・住所:東京都中央区銀座6-4-1ライカ銀座店2F
  • ・会期:2016年2月19日金曜日〜5月15日日曜日
  • ・時間:11時〜19時
  • ・休館:月曜日

  • ・会場:ライカギャラリー京都
  • ・住所:京都市東山区祇園町南側570-120
  • ・会期:2016年2月6日土曜日〜5月15日日曜日
  • ・時間:11時〜19時
  • ・休館:月曜日
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1912年、パリ郊外ヴァル・ド・マルヌ県ジャンティイ生まれ。石版工の技術取得のためパリのエコール・エスティエンヌで学んだ後、写真家アンドレ・ヴィニョーの助手となる。1934年、ルノー社に産業カメラマンとして入社。1939年、フリーとして活動を開始。パリを中心に庶民の日常をとらえた写真で高い評価を得、現在でも世界中で愛され続けている。1951年には、ニューヨーク近代美術館で開催された「5人のフランス人写真家」展の出品作家に選ばれる。1992年、オックスフォード近代美術館で大回顧展を開催。1994年没(享年82歳)。ニエプス賞(1956年)、フランス写真大賞(1983年)など受賞多数。

(本誌:折本幸治)