写真展

第17回三木淳賞受賞作品展
阿部祐己写真展「新しき家」

(ニコンサロン)

私の母方の実家は代々農業を生業としてきた。築83年になる母屋の建て替えが決まり、私は二つの家を撮影する機会に恵まれた。

標高950m、風が戸を叩き凍みいる平屋。農家は雪解けと共に家を出た。最初に家具が消えて空っぽになり、田植えの後には柄入りのガラス戸も消え、解体の神事を終えた後、平屋は昔の面影を見せた。

いつもと変わらず農家は畑に通い、傍らで新居の工事が進む。ハウスに絡む蔦のように骨組みに巻き付いたコードが血管にも見えて、次第に肉を付け人の住処になっていく。まだ人の匂いがしない家も年月と共に皺が刻み込まれ、在りし日の平屋のように柱も少しずつ曲がり、いつか歳を重ねた老人のような面影を見せる日が来るのだろう。

毎年繰り返されてきた農作。農家の住処であり続けた家。ずっと続くと思っていた景色も少しずつ変わり、いつか訪れる節目。畑が広くなり冬を越えて、また新しい年がくる。

私は家と人の一生を、どこか重ね合わせて撮影していた。(阿部祐己)

カラー30点。

(展示情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ニコンサロンbis新宿
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2015年12月1日火曜日〜2015年12月7日月曜日
  • ・時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

  • ・会場:ニコンサロンbis大阪(追記)
  • ・住所:大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • ・会期:2016年1月5日火曜日〜2016年1月13日水曜日
  • ・時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1984年生まれ。2011年日本写真芸術専門学校卒業。同年写真新世紀において 作品「ボイジャー」佳作入選。12年同「HALO」佳作入選。13年キヤノンフォトグラファーズセッションにおいてファイナリストに。14年三菱商事アートゲートプログラム入選。