写真展

秋山武雄写真展「1957-2009 築地・豊洲」

(JCIIフォトサロン)

©秋山武雄 築地 1966.3.14

東京・浅草橋で明治から続く洋食屋「一新亭」を営む秋山氏は、15歳の頃に写真の魅力にとりつかれて以来、家業の合間を縫って東京下町を中心に撮影を続けてきました。自らをアマチュアカメラマンと称し、古き良き昭和の下町の風景とそこで生活する人々を写した作品は、これまでに数々の賞を受賞し、2011年からは毎週木曜日、読売新聞の朝刊に「秋山武雄の懐かし写真館」として写真とエピソードを交えた記事を連載し、海外でも写真展が開催されるなど、高い評価を受けています。本展では、1957年から2009年の間に撮影した築地と豊洲の2つの地域の風景、人々をとらえた作品をご覧いただきます。1935年に開場した築地市場は、日本最大の魚市場として新鮮な水産物を全国各地に届けてきました。豊洲は関東大震災(1923年)の瓦礫処理でできた埋立地で工業地域として発展し、現在は再開発が進んで、高層マンションや商業施設が立ち並ぶ近代的な町並みへと変貌を遂げています。秋山氏は、2つの地域をほぼ同時期に通いながら撮影を重ねてきました。木桶に詰められた新鮮な魚、競りに活気づく人々、広大な更地と建ち並ぶ工場群、舗装されていない道路を歩く子供たちの姿など、今では見ることのできない当時の市場や生活の様子が、氏の温かみのあるまなざしによって写しとめられています。時代の移り変わりと共に東京の景観は瞬く間に変わり、建物の老朽化などの理由により魚市場の豊洲移転が予定されています。半世紀以上にわたって東京の町並みや人々の営みにカメラを向けてきた秋山氏だからこそとらえることのできた、昭和の貴重な記録となる作品は、私たちに過ぎ去った時代を振り返る機会を与えてくれます。

JCIIフォトサロン:秋山武雄作品展「1957-2009 築地・豊洲」

©秋山武雄 豊洲 1964.9.26

会場・スケジュールなど

  • ・会場:JCIIフォトサロン
  • ・住所:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
  • ・会期:2016年11月1日(火)〜11月27日(日)
  • ・時間:10時〜17時
  • ・休館:月曜日
  • ・入場:無料

講演会「1957-2009 築地・豊洲」を語る

・日時:11月19日(土)13時~15時(会場は30分前)
・場所:JCIIビル 6階会議室
・定員:100名
・料金:300円

※応募は、JCIIフォトサロンにて直接受付、または電話にて受付。
※「日本カメラ博物館友の会」、「JCIIフォトサロン友の会」会員は無料。

作者プロフィール

1937年、東京下町浅草橋生まれ。1954年、千葉県浦安町(現・浦安市)を撮り始める。1958年、NHKテレビ懸賞写真コンテストで全国1位となりテレビ出演し、木村伊兵衛氏と対談する。1963年、写真仲間と写真集団「むぎ」を作り代表となる。NHKテレビ、民放テレビ、雑誌などで古き良き東京の写真を多数発表。2011年より読売新聞にて「秋山武雄の懐かし写真館」連載中。2013年よりJCIIフォトクリニック講師を務める。写真集団むぎ代表、ニッコールクラブ会員、ニッコールクラブ浅草支部長。主な受賞に、アサヒカメラ誌年度賞(1979年、1981年)、日本カメラ誌年度賞(1985年)、読売写真大賞(1989年)、第18回土門拳文化賞・奨励賞(2012年)がある。