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【フォトキナ】APS-Cセンサー搭載のiPhone連携カメラなど
カメラっぽくなったLytro。PolaroidからはAndroid搭載カメラも
Reported by 小山安博(2014/9/29 19:46)
2年に一度、ドイツ・ケルンで開催される世界最大の写真関連見本市「フォトキナ2014」の会場には、大小さまざまな写真関連のメーカーがブースを出展している。
絶大な注目を集めたLytro
小さいブースながら、常に来場者が集まっていたのが米Lytroブース。フォトキナ初出展の同社だが、「Lytro Illum」を持ち込んで人気を集めていた。
Lytroは、撮影後にピント位置を自由に変更できる独自のシステムを搭載したカメラ。初代Lytroは、システムとしては面白くてもカメラとしての機能は貧弱で、あまり普及はしなかったが、新モデルのLytro Illumは、よりカメラらしいスタイル。カメラとして自然に使い、しかも自由にあとからピント位置を変えられるという独特の機能で、さらに注目を集めていたようだ。
35mm判換算で30-250mm相当の光学約8倍ズームレンズを搭載。レンズはズーム全域で開放F2なので、スペックとしてはかなり高い。手ブレ補正機能は特にないようだ。
大口径レンズなので、ボディサイズもかなり大柄。重さも940gあり、最近のデジタルカメラとしてはちょっと大きくて重い。手軽に持ち出して撮影するという種類のカメラではない。
撮像素子はCMOSベースのライトフィールドセンサーと呼ばれる独自のもので、センサーサイズは1/1.2型、画素数は40メガレイという表現だが、画像解像度は2,450×1,634ピクセルなので、最終的には400万画素相当ということになる。
そのほかの仕様としては、シャッター速度1/4,000〜32秒、ISO80-3200、3コマ/秒の連写といった基本的なスペックをカバー。珍しいところでは、カメラのプロセッサーとしてスマートフォンでも使われているSnapdragon 800を採用している。背面にはタッチパネル対応の4インチ液晶モニターを搭載。Snapdragon 800の効果か、タッチパネルでの操作は快適だった。
繰り返しになるが、最大の特徴は、撮影後にあとからピント位置を変更できるというLytroの機能。被写体にピントを合わせて撮影すると、自動的にピント位置が自由に変更できる画像が撮影できる。特に撮影に待たされる印象はなく、サクサクと撮影できる。
再生モードにして、背面モニターに表示された画像にタッチすると、その場所にピントが合う。撮影時にピント合わせをするよりも素早く、自由な位置にピント合わせができるのは面白い。いずれかの場所に「ピントが合っている」ことをカメラが認識する必要があるようで、「ピント合わせが不要」というわけではないようだ。
ただ、あとから目的の場所にピント合わせができるので、厳密なピント合わせは不要。実際に試すことはできなかったが、例えば素早く動く被写体にも対応できる、という話だった。
ホットシューがついていたり、リモートレリーズに対応していたり、レンズフードやNDフィルターが付属したり、とカメラとしてもちゃんとしているうえに、microUSB 3.0やUSB充電に対応しているあたりは優れている。
よりカメラライクなスタイルになり、しかも大口径望遠ズームを搭載するなど、スペック的にもきちんとカメラの機能を盛り込んだことで、フォトキナ会場でも大きな注目を集めていたようだ。
iPhoneをAPS-Cサイズセンサー搭載カメラに
米Relonch Cameraが展示していたのは、一見するとiPhoneケース。しかし、iPhoneのカメラ部分も覆い、大型のレンズが装着されている、というもの。
ケース内にAPS-Cサイズのセンサーを内蔵し、35mm判換算45mm相当F2という大口径単焦点レンズを搭載しているため、一眼レフカメラ並みの画質の写真が撮れる、というのが売りだ。
iPhoneのカメラは使わず、あくまでライブビュー用のモニターとタッチパネルによる操作部として利用。Lightning端子経由で画像を受信してカメラの操作をしたり、撮影画像を表示したりする。無線LANなどの無線を使わないためカメラとiPhoneの接続は簡単で、ライブビューの遅延も少なく、画像の転送も速い。
転送した画像は、iPhoneのカメラロールに保存され、そのままメールやSNSに投稿したり、さまざまなiOSアプリで活用できる。画像を無線LANで転送するといった手間もなく、すぐにネット経由で利用できるというのがポイントだ。
現在はプロトタイプの段階で、まだまだ商品としてはほど遠い外観だが、レンズの小型化、センサーの高速化、ボディの小型軽量化を図っていき、最終的には2015年秋に販売を予定。すでに499ドルでプリオーダーが開始されており、iPhone 5/5s用を用意したほか、フォトキナ会期中にiPhone 6が発表されてからは、iPhone 6用もプリオーダーに追加されたようだ。
ちなみに、iPhone 6 Plusに関しては、ボディが大型化するため、「一眼レフカメラを持った方がいい」(説明員)として、開発の予定はないそうだ。
iPhone 6購入後に余ったiPhone 5/5sの使い道としてもよさそうだし、ケースのように本体を挿入するだけなので、シーンによってiPhone 6のカメラを拡張する、という使い方も良さそう。
F2という明るいレンズなので、人物写真と風景写真でiPhoneカメラを使い分けるというのも面白そうだ。
なお、現地点ではアプリ機能としては画像をiOS側に転送する機能と、モノクロ化などの一部の編集機能に加え、カメラマンに画面を共有しながら撮影設定をレクチャーしてもらう、という機能も備えているのは面白いところだ。
Android搭載のインスタントカメラ
Polaroidが出展していたのは、超コンパクトなアクションカメラ「Polaroid Cube」。さいころサイズの小型のボディで1080pのフルHD動画撮影機能に124度の広角レンズを搭載。強力なマグネットでいろいろな場所に取り付けられ、さまざまなマウントが用意されているので、いろいろな場所に取り付けて撮影ができる。
こちらはすでに1コ99.99ドルで販売が開始されており、アクションカメラとしてだけでなく、かわいくてコンパクトなボディで、簡単に撮影ができるので、ライフログ的な使い方も面白そうだ。
もう1つ、開発中の製品が「Polaroid Socialmatic」。カメラとしては、Zero Inkを使った、いわゆるPolaroidのデジタルインスタントカメラ。1,400万画素センサーを搭載しており、撮影すると、画像をその場でカードサイズの写真としてプリントアウトしてくれる。
特徴的なのは、Android 4.4をOSとして採用した「Androidカメラ」という点。背面に4.5インチのタッチスクリーン液晶を搭載し、GPSや無線LAN、Bluetoothを搭載しているほか、Google Playからアプリをインストールして機能を拡張することもできるようだ。
Socialmaticは、同社のオンラインサービスとも連携しており、内蔵のGPSで位置情報を記録した画像をオンラインサービスにアップロード。そうした画像は本体前面にQRコードを表示して他人と共有する、といったこともできる。オンラインではなくローカルですぐに写真を見せ合える、といった点が特徴的。
2014年末ごろからの発売を想定しており、価格は現時点で未定。ただし、PolaroidはAndroid搭載カメラの発表を繰り返しながら発売できていないという経緯もあって、今回も実際に商品化されるかどうかはよく分からない。
外出先でもデジカメを充電
マルチ充電器などを販売するbahnelの「Unipal Extra」は、従来品のマルチ充電器と外観は似ている。端子の位置をスライドさせることで、さまざまなデジカメのバッテリーを充電できるというシロモノで、デジカメバッテリーと乾電池の充電が可能。液晶画面で充電状況の確認もできる。
ここまでは一般的だが、Unipal Extraは、さらにモバイルバッテリーを内蔵した点が特徴。USBやAC経由でモバイルバッテリーを充電しておくと、スマートフォンやタブレットの充電に利用できる。電池容量は2200mAh、出力は1A。
さらにこのモバイルバッテリー経由で、カメラのバッテリーの充電も可能だという。つまり、外出先で電源がない状況でもカメラのバッテリーが充電できる、ということ。デジタル一眼レフカメラなど、USB充電非対応のカメラのバッテリーを、手軽に外出先で充電できるのがメリットだろう。
サイズもかなり大ぶりなので、そもそも予備バッテリーを持ち歩く方が手軽だし、サイズの割に容量が2,200mAhと多くはないので、少し無理がある気はしなくもない。
とはいえ、充電を忘れた、予備電池を忘れた、といった場合に緊急用に充電できるというメリットはある。普段は普通のモバイルバッテリーとして使えば、持ち歩く意味がないわけではないかもしれない。
また、このモバイルバッテリーにはUSB経由で充電ができる。そのうえで、デジカメバッテリーを充電すると、疑似的にUSB充電非対応のデジカメをUSB経由で充電する、という使い方ができるかもしれない。
10月から発売の予定で、価格は40ユーロ前後になるそうだ。