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「EIZOガレリア銀座」が移転オープン

セミナールームを強化。ギャラリーはモニターを使ったスライドショー展示に

 東京・銀座にあるEIZO株式会社のショールーム「EIZOガレリア銀座」が、同じく銀座地区内に移転。1月10日にオープンした。セミナールームに力を入れるなど、新たな方針を打ち出す。

 移転先は、外堀通りに面した銀座7丁目のブランエスパ銀座ビル(東京都中央区銀座7-3-7)。これまでは東銀座にショールームがあった。名称は従来通り「EIZOガレリア銀座」だ。

新EIZOガレリア銀座の内部。右がセミナールーム

 旧ショールームがオープンしたのは7年前。その目的は、当時発売されたコンシューマー向けの液晶テレビ「FORIS.TV」をアピールするためという側面が強かった。実物のFORIS.TVを前に製品の説明を行なえる場所が必要との判断からだ。

 その後は徐々にColorEdgeなどの液晶モニターを紹介する場へと軸足が移り、施設内でモニターキャリブレーションのセミナーや写真展を行なうなど、写真文化をモニターの側から発信する機能が高まっていった。

 移転後のEIZOガレリア銀座にもそのコンセプトは受け継がれており、例えばセミナールームは最大で約30名対応へと面積が広がっている。照明も写真鑑賞に適した5,000Kとし、明るさを調光可能にするなど凝った仕掛けを特徴とする。

セミナールーム。写真は参加者4名でのセッティング
セミナールームの照明は、明るさの調光が可能。色温度は5,000K。LEDではなく冷陰極蛍光管だ

 ここで行なわれる基本的なセミナーは、参加者のデータをPCに取り込み、カラーマッチングの基礎や手法などを交えながらモニターで確認・調整の後、プリンターで出力するという流れ。プリンターはエプソンPX-5V、キヤノンPIXUS PRO-10のどちらか好きな方を利用できる。

ハイエンドのA3ノビ対応プリンターも用意。左からエプソンPX-5V、キヤノンPIXUS PRO-10

 こうしたセミナーに加え、もう少し軽い内容となる体験ワークショップや、トークショーなどもセミナールームで行なわれる。例えば1月11日は、諏訪光二氏、伊藤徹也氏、河野英喜氏、並木隆氏による「写真家4名勢揃いのトークショー」を実施。1月12日、1月13日には、「初級! ポートレート体験ワークショップ」が盛況の中行なわれた。

 新ショールームのもうひとつの特徴は、ショールーム内に設置された「EIZOギャラリー」だ。旧ショールームにもギャラリーが存在したが、プリント作品を展示するという一般的な写真ギャラリーを志向したものだった。一方、新ショールームではプリントではなく、モニター表示をメインとする方針をとる。モニターメーカーであるEIZOらしい展開といえるだろう。

 取材当日(1月14日)のギャラリーでは、1月11日に行なわれたトークショーと連動した作品が展示されていた。モニターは27インチのColorEdge。表示する作品にあわせ、縦位置・横位置を選択できるという。

EIZOギャラリー。取材当日は4台のColorEdgeが使用されていた
展示用のモニターは縦横の切り替えが可能。アームは海外製で、レールに従い左右の位置調整ができる

 ちなみに作品はLightroomで管理され、スライドショーもLightroomの機能を用いて表示される。カメラ側のプロファイルも活かせるので、カラーマッチングも容易とのことだ。

 モニターでの展示となるため、静止画に加えて動画にも対応するのも特徴。プリントの必要がないため、Web上で完結するフォトコンテストの作品展示なども企画しやすい。

 また写真ギャラリーへのこだわりをなくし、イラストやCGといった作品の展示も可能とした。実際に1月28日からは、「ボカロ絵師」として知られるイラストレーター「憂」による作品掲出も行なわれる(2月8日まで)。

 展示作品は基本的に公募するとのこと。4月より本格的に募集が行なわれるそうだ。

 もちろんショールームには、ColorEdge、FlexScan、FORISといった、コンシューマー向けのEIZO製品が並ぶ。常駐スタッフは6名で、これまで通り、購入前の製品を確認したり、疑問点を質問できるという。

左からColorEdge CX-271-CNX、ColorEdge CG246、ColorEdge CG277
左からFlexScan SX2262W、ColorEdge CS230-CNX、ColorEdge CX240-CNX

 一方、産業向け製品の紹介については、旧ショールームより大幅に強化された。

 金融トレーディング環境展示では、実際に金融機関で使用されているマルチスクリーン環境を展示。現在EIZOでは金融機関に対し、長らく使われてきた低解像度4:3モニターを、高解像度16:9モニターに置き換える提案を行なっている。

金融トレーディング環境展示。実際の環境に近いスクリーンショットを用いているという

 金融機関では2×4面=8面以上の低解像度4:3モニターを利用するケースがあるとのこと。これだと縦方向へのスタックが必要となり、アームによる複雑なセッティングを要していた。そこでEIZOでは高解像度16:9モニターを縦に並べる方法を提案しているという。これならモニター4台で代替でき、アームなどのギミックも必要なくなる。

 船舶市場向けや監視システム用モニターなどを対象としたDuraVisionシリーズの展示では、液晶モニターの視認性を高めるオプティカルボンディングを使用したモニターを体験できる。

 オプティカルボンディングは、液晶モジュールと前面パネルの間にあった空気層の代わりに、透明な樹脂を封入する技術。反射を低減する効果があることから、明るい状況で使用する船舶市場向けモニターなどを想定している。EIZOでは本社工場内に、その加工設備を設けたことを1月8日に発表した。

 メディカル市場向けのRadiForceシリーズについては、スイッチャー(信号配信システム)などモニター以外のソリューションを紹介している。

RadiForceシリーズの展示。中央下の黒い箱がスイッチャー。中央上のiPadは、モニターの切り替えに使用するという

 こうした特定産業向けの製品を紹介することで、EIZO製品の技術的なバックグラウンドを説明。ブランドイメージ強化にもつながりそうだ。

 EIZOの歴史を年表形式で紹介したコーナーも面白い。かつてはスペースインベーダーの筐体内のモニターを手がけていたりと、あまり知られていないOEM製品の歴史が紹介されている。

EIZOの歴史を紹介。年表はPCモニターの歴史でもあり、EIZOのOEMの歴史でもある
懐かしい21型CRTディスプレイFlexScan E78Fの展示も。1997年発売で表示解像度は1,600×1,200ドット、標準価格は税別49万円だった
  • EIZOガレリア銀座
  • ・住所:東京都中央区銀座7-3-7
  • ・営業時間:10時〜18時30分
  • ・定休日:日曜日・月曜日・祝日(イベントなど例外もあり)

(本誌:折本幸治)