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島田悠吾写真展「NYC/Yellow-Blue」

(新宿ニコンサロン)

ニューヨークという街は、数年で劇的な変化を見せる街ではない。少なくとも表面上はそうだ。

2010年、作者は会社を解雇され、現実逃避するように飛行機に乗った。職も収入もなくなったが、全てを忘れるように歩き、写真を撮り続けた。中心から離れたひと気の無い場所、路地裏や工場地帯、人を避けるように、人を避けるように。

やはり忘れるなんて出来ないのだ。帰国は近づき、日本での生活が待っている。見返した写真には、誰もがイメージする華やかな街は、写っていなかった。

先の見えない心は、砂煙に霞んだ空のようだ。

わずか1週間の、逃避の旅は終わった。

それから2年が経った。以前からは想像もつかないくらい、忙しい日々を送る。そんなある日、写真学校で世話になった先生に、久々に会う機会があった。先生は「写真は撮っているか?」「写真を見せろ」と言う。最近は忙しく、写真を撮れていないことを伝えた上で、「古いものなら」とニューヨークを見てもらう約束をした。

ずっとハードディスクに眠っていた写真と向き合う。真逆の環境、心情に身を置く今、それらは何故か力強く、愛しく思えた。誰にも見せなかったことを悔いるほどに。

2012年から13年、年末から年始にかけて、再びニューヨークの街を歩く。変らない街並みがそこにあった。あの頃と違う自分が、過去の為に今を写す。1月の冷たい風と、時折見える青空、冷静な眼差しを持って。カラー約30点。

(写真展情報より)

 7月20日の13時からギャラリートークを開催する。

  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階
  • 開催日:2013年7月16日(火)~2013年7月22日(月)
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:鈴木誠)