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ソニー「DSC-RX100M2」「DSC-RX1R」の発表会レポート
「独自のデバイス開発力で高付加価値を創造したい」
(2013/6/27 18:54)
ソニーは27日、コンパクトデジタルカメラの新製品「サイバーショットDSC-RX100M2」と「サイバーショットDSC-RX1R」の発表会を都内で開催した。ここではその模様をお伝えする。
既報の通りDSC-RX100M2は新開発となる裏面照射型の1型センサーを搭載したモデル。またDSC-RX1Rは、既存の「DSC-RX1」から光学ローパスフィルターを省いたモデル。いずれも7月5日に発売する。
「販売の中心はDSC-RX1になるだろう」
ソニー デジタルイメージング事業本部 第二事業部 事業部長の槙公雄氏は、「サイバーショットDSC-RX」シリーズについて「ソニーのものづくりのDNAを覚醒」と説明。「圧倒的な自社のデバイス開発力で高画質化と小型化という相反する課題に挑戦した。ソニーらしい手法でユーザーに満足頂ける高付加価値を創造し、新たな市場を作る」と述べた。国内でのコンパクトデジタルカメラの平均単価は5月時点で、ソニーが業界平均より6,000円ほど高いという。
DSC-RX100M2に採用されている「裏面照射型CMOSセンサー」の技術は、2008年にソニーが世界で初めて量産した。DSC-RX100M2は従来モデルに比べて暗所撮影に強くなったのみならず、ハイライトが飽和しにくくなったとしている。
従来は小型センサーで効果があるとされていた裏面照射型センサーだが、同社によれば1型でも1段分程度の感度改善があることがわかり、イメージセンサーの事業部と共同で開発を進めたという。
一方の“35mmフルサイズコンパクト”であるDSC-RX1Rについては、「ローパスフィルターをあえて外すことで高い解像感を体験してもらえるモデル。DSC-RX1とは兄弟機だが、どちらが上というわけではない。DSC-RX1は最高のカメラと考えており、強いて表現するならDSC-RX1が上と言っても良いくらいだ」(槙氏)とした。
DSC-RX1Rにおいて、ローパスフィルターを取り除いただけでは屈折率の変化などで本来の像性能が出ないため、“ローパスフィルター層を含まない光学フィルター”を設置している。ソニーによればニコン「D800E」の“ローパスフィルターの無効化”とは異なり、そのままの光が通る仕組みだという。
ローパスフィルターは比較的高価な部材だが、本体価格がDSC-RX1と同じことについて「パーツの価格差がどれ位かということは申し上げられないが、ローパスフィルターを含まない光学フィルターのコストが掛かっているということ。また、DSC-RX1と価格差があると上下関係のような誤解を与えてしまう恐れもあるため同じ値段にさせて頂いた」(槙氏)とする。
DSC-RX1R発売後のDSC-RX1との販売比率については、「オールマイティな存在はあくまでもDSC-RX1であり、DSC-RX1が販売の中心になると想像している」(槙氏)と説明した。
DSC-RX1Rが外観でDSC-RX1と異なるのは、機種名ロゴに“R”と入っている部分のみ。「当初白文字で考えていたが、視認性が悪いので赤色にした。Rはレゾリューションの意味」(槙氏)。
ソニーとしてのコンパクトデジタルカメラの戦略については、「独自技術で付加価値を付けたカメラを開発することで、売上と利益をあげる。台数を追うことはしない」とする。ただ、新興国向けなどの低価格モデルについては「止めることは考えていない。地域のニーズに合わせて製品を出していく」(槙氏)という。
DSC-RX1ユーザーに対してローパスフィルターレスにする改造や下取りと言ったサポートはあるのか? との質問には、「現時点で答えられないが、真摯にユーザーの声に耳を傾けていきたい」と回答した。