タムロン、創業60周年を迎える

~これまでの歩みを振り返る

 株式会社タムロンは1日、創業60周年を迎えたと発表した。

60周年記念ロゴ

 60周年を迎えるに当たり同社では、「『産業の眼を創造貢献するタムロン』をブランドメッセージにし、新たに車載関連、赤外線関連などのほか、あらゆる産業分野で独自技術を活かした製品を開発すべく挑戦する」としている。

タムロン60年の歩み

 1950年11月1日に創業メンバー・故新井健之が埼玉県浦和市(当時)でタムロンの前身となる「泰成光学機器製作所」を創業。双眼鏡用レンズの加工下請けとして従業員数名でスタートした。その後、1952年に資本金250万円で「泰成光学工業株式会社」を設立する。

泰成光学機器製作所タムロンがレンズ製造を手がけた双眼鏡

 1957年には同社発の一眼レフカメラ用交換レンズ「135mm F4.5」を完成。また、世界初となる一眼レフカメラ用マウント交換式「Tマウント」を開発。

Tマウント

 1958年に「タムロン」ブランドを商標登録した。“タムロン”は、当時光学設計の第一人者で、タムロン工学技術の基礎を築いたという田村右兵衛氏の田村姓が由来。

 1961に業界初の一眼レフカメラ用普及型望遠ズームレンズ「95-205mm F6.3」(#910P)を量産。1966年には各一眼レフカメラにオート絞りで使用できるマウント交換式「アダプトマチックレンズ」の開発に成功。同年、プリズムや放送用テレビレンズの生産も開始する。

95-205mm F6.3(#910P)アダプトマチックレンズ

 1970年、社名を「株式会社タムロン」に変更。1979年に「スーパーパフォーマンス」(SP)シリーズレンズを開発した。1970年代後半から1980年代は、海外の販売拠点整備や国内工場の建設など事業を拡大した。

 1992年に世界最小最軽量の一眼レフカメラ用高倍率ズームレンズ「AF 28-200mm」(71D)を発売。後に各国でアワードを受賞する。

AF 28-200mm(71D)

 1995年中判カメラを手がけていた「ブロニカ株式会社」を買収し、子会社とする。1997年には香港と広東省に相次いで現地法人を設立。1998年、ブロニカ株式会社を吸収合併した。1999年には高倍率ズームレンズ「AF 28-300mm」(185D)がカメラグランプリ’99記者クラブ特別賞を始め世界4大賞を受賞。

 2000年、50周年記念モデル「SP AF 24-135mm」(290D)、レンジファインダーカメラ「RF645」を発売。フランスに現地法人設立。2002年に発売した「AF 28-300mm」(A06)が各国で賞を受賞。2003年、「SP AF 28-75mm F2.8」(A09)が各国で賞を受賞。

 2005年に本社を現在の埼玉県さいたま市見沼区蓮沼に移転。本社に新金型向上を竣工する。併せて上海に現地法人を設立。「AF 28-300mm」(A61)および「AF 18-200mm」(A14)が各賞を受賞。

現在のタムロン本社

 2006年、東証一部に上場。「SP AF 17-50mm F2.8」(A16、2006年)、「AF 18-250mm」(A18、2007年)、「AF 28-300mm VC」(A20、2008年)、「AF 18-270mm VC」(B003、2009年)が各国で賞を受賞する。2009年にインドとモスクワに駐在員事務所を開設。

 2010年、創業60周年記念レンズ「SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD」(A005)を発売。ヨーロピアン・ズーム・レンズ2010-2011を受賞。

SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD

カメラレンズ以外にも事業を拡大

 現在は一眼レフカメラ用交換レンズのほかに、ビデオカメラ、デジタルカメラ、携帯電話用のレンズユニットを生産している。また、CCTVカメラ用レンズ(監視、FA、画像処理用)、車載用レンズ、プロジェクター用レンズユニット、各種光学デバイスなども生産している。

 2009年末の連結従業員数は5,072名。国内7カ所および、アメリカ、ドイツ、フランス、香港、上海に販売拠点を設けている。2009年末の資本金は69億2,300万円。

 なお60周年の記念配当として、1株当たり5円を普通配当に上乗せすることが決定している。

 2010年(12月期)は連結で売上高590億円(前年比18.3%増)、営業利益54億円(同135.3%増)、純利益35億円(444.7%増)を見込む。

タムロンの一眼レフカメラ用現行レンズ

デジタル専用

  • SP AF 10-24mm F3.5-4.5 Di II LD Aspherical[IF](Model B001)
  • SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II LD Aspherical[IF](Model A16)
  • SP AF 17-50mm F2.8 XR Di II VC LD Aspherical[IF](Model B005)
  • AF 18-200mm F3.5-6.3 XR Di II LD Aspherical[IF](Model A14)
  • AF 18-270mm F3.5-6.3 XR Di II VC LD Aspherical[IF]Macro(Model B003)
  • AF 55-200mm F4-5.6 Di II LD Macro(Model A15)
  • SP AF 60mm F2 Di II Macro 1:1(Model G005)

35mmフルサイズ対応

  • SP AF 28-75mm F2.8 XR Di LD Aspherical[IF]Macro(Model A09)
  • AF 28-80mm F3.5-5.6 Aspherical(Model 177D)
  • AF 28-300mm F3.5-5.6 XR Di Aspherical[IF]Macro(Model A031)
  • AF 28-300mm F3.5-6.3 Di LD Aspherical[IF]Macro(Model A061)
  • AF 28-300mm F3.5-6.3 Di VC LD Aspherical[IF]Macro(Model A20)
  • SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD(Model A005)
  • AF 70-300mm F4-5.6 Di LD Macro(Model A17)
  • SP AF 90mm F2.8 Di Macro 1:1(Model 272E)
  • SP AF 180mm F3.5 Di LD[IF]Macro 1:1(Model B01)
  • SP AF 200-500 F5-6.3 Di LD[IF](Model A08)

【2010年12月8日】記事初出時の「1950年11月1日に故新井健之が埼玉県浦和市(当時)でタムロンの前身となる『泰成光学機器製作所』を創業」との記述を、「1950年11月1日に創業メンバー・故新井健之が埼玉県浦和市(当時)でタムロンの前身となる『泰成光学機器製作所』を創業」に修正しました。



(本誌:武石修)

2010/11/2 14:12