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動画機能とライブビューを省略した「ライカM(Typ262)」

アルミ製トップカバーで、重さは“ライカM9並み”

ライカカメラジャパンは、デジタルレンジファインダーカメラ「ライカM(Typ262)」を12月に発売する。価格は税込85万3,200円。カラーはブラックのみ。

ライカM(Typ240)と同じ有効2,400万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーを採用しつつ、ライブビューや動画記録機能を省略したことで“純粋なレンジファインダーカメラ”を目指したシンプルモデル。トップカバーの素材変更で約100gの軽量化も果たした。

現在の製品ラインナップでは、中核モデルの「ライカM」(Typ240)に対する弟分として「ライカM9」ベースのCCDセンサーを採用する「ライカM-E」(Typ220)が存在するが、このTyp262ではCMOSセンサーの採用で高感度撮影の可能性が広がった点や、Typ240に準ずる大型・高精細な液晶モニターの利便性、操作レスポンスや連続撮影性の向上、大型バッテリーによる撮影可能枚数の増加などがメリットになる。

Typ262はシンプル志向のモデルと位置づけて動画機能やライブビュー機能を省略した(メニューからも選べない。EVFも装着できない)が、これによりビデオキャリブレーションの工程を省略できるため、生産効率の向上に伴う価格的なメリットもあるという。ライカM(Typ240)の実勢価格は税込93万9,600円前後のため、Typ262は1割ほど低価格だ。

機能の違いに伴い、シャッターボタン付近の「M」ボタンは非搭載。ライブビュー機能を起動する「LV」ボタンは、ホワイトバランスを設定する「WB」ボタンに置き換わった。WBボタンの機能割り当ての変更はできない。また、カメラ内の設定メニューは2ページにおさまる簡素なものとなった。

ライカM9世代は2.5型23万ドットだったが、Typ262は3型92万ドット

トップカバーは、真鍮のTyp240に対し、Typ262はアルミニウムの削り出し。アルマイト仕上げの強度はペイントより強いが、もし表面が削れた場合はシルバーの地が覗くという。素材変更により本体が約100g軽くなり、ライカM9に近い重量感になった。ベースプレートは変わらず真鍮製。

また、動画用マイクが非搭載になったことで、トップカバーの形状を一部変更している。正面のライカ赤ロゴも、ライカM9までを彷彿させる小さなサイズとなった。ダイヤル類の素材や操作感はTyp240と変わらない。なお、EVFなどを取り付ける背面端子と、マルチファンクションハンドグリップ用の底面端子は省略された。

シャッターはTyp240と同じもので、最高速は1/4,000秒。動作シーケンスに変更を加え、単写(電源レバーS位置)では露光後のシャッターチャージ動作をゆっくりにし、動作音をより抑えた。連写時(電源レバーC位置)はこれまで通りのシャッターチャージとなる。連続撮影速度は、単写で秒2コマ、連写で秒3コマ。シンクロ速度は1/180秒で同じ。バッファメモリーは1GB。

既存のライカM(Typ240)に同様の静音シャッターチャージを搭載するのは、技術的にはソフトウェアのアップデートで可能だが、現時点では検討していないという(ライカカメラ社プロダクトマネージャー、ステファン・ダニエル氏の回答) 。

外形寸法は約138.6×80×42mm。バッテリー込みの重量は約600g。参考までにライカM(Typ240)は約680g、ライカM9は約600g。

以前からデジタルカメラに対して「動画機能はいらないから安くして」と声を上げていた向きには、まさに待ち望んでいたアプローチの製品といえるだろう。ライカM9世代の身軽さを好むユーザーにも、シンプル機能と約100gの軽量化が訴えかける。

(本誌:鈴木誠)