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カメラグランプリ2013の表彰式が開催

受賞各社がエピソードなどを披露

 カメラ記者クラブは31日、「カメラグランプリ2013」の授賞式を都内で開催した。受賞各社で開発に携わったメンバーによる商品化のエピソードなども披露された。

受賞各社には記念盾と賞状が贈られた。

 既報の通り、大賞は「サイバーショットDSC-RX1」(ソニー)、レンズ賞は「SIGMA 35mm F1.4 DG HSM」、あなたが選ぶベストカメラ賞は「D800E」(ニコン)、カメラ記者クラブ賞は「EOS 6D」(キヤノン)と「SIGMA DP1 Merrill」、「SIGMA DP2 Merrill」、「SIGMA DP3 Merrill」となっている。

森田浩一郎氏

 カメラグランプリ2013実行委員会 実行委員長の森田浩一郎氏(月刊カメラマン編集部)は、「第1回目にニコンFAが受賞してから今回で30回目を迎えた。加えて、カメラ記者クラブ設立から50周年のめでたい年になった。2012年は高級コンパクトとフルサイズ機が話題をさらった年。その両方の要素を含んだDSC-RX1が大賞になったのは象徴的だった。家電メーカーが逆風と言われており、カメラは日本メーカー最後の砦。世界に誇れる日本のものづくりという中でこうしたカメラメーカーの方が受賞するのは、1人のカメラファンとしてもうれしい」と挨拶した。

「DSC-RX1は開発が困難だっただけにうれしい」

 35mmフルサイズセンサーを搭載したコンパクトデジタルカメラ サイバーショットDSC-RX1で大賞を受賞したソニーは、DI事業本部 事業本部長の石塚茂樹氏が登壇し、「ソニーにとって大きな栄誉。DSC-RX1はスペックもさることながら、価格の高さに当初驚かれた。しかし、高い価格にもかかわらず多くの支持を受けた。DSC-RX1の評価はカメラそのもののみならず、こうしたカメラへの取り組みを評価して頂いたと考える。今後もユーザーがあっと驚くユニークカメラを作っていきたい」と述べた。

サイバーショットDSC-RX1
盾を受け取る石塚茂樹氏(右)。
星篤志氏
ソニーおよびソニーマーケティングのメンバー。

 またソニーDI事業本部 第2事業部 統括部長の星篤志氏は、「開発が困難だっただけに、知らせを聞いたときの喜びも大きかった。このカメラは一眼レフカメラを既に使っているユーザーに対して、どんなカメラならサブカメラとして受け入れられるかと考えたモデル。その中で交換レンズ式ではない、サイバーショットとして性能を研ぎ澄まそうと言うことになった。一台一台を作り込んで、画質を徹底的に磨くことにした。設計した部品を製品として落とし込むことはかなりハードルが高かったが、工場のメンバーと毎週のようにやり取りして生産にこぎ着けた。これからもとことん突き詰めた、お客様に満足頂けるカメラ、撮影を楽しめるカメラを作っていく」と話した。

「35mm F1.4 DG HSMは一度お蔵入りになりかけた」

 フルサイズ対応の大口径広角単焦点レンズ「35mm F1.4 DG HSM」でレンズ賞を受賞したシグマは、代表取締役社長の山木和人氏が登壇し、「レンズのシリーズを新しくした第1弾のレンズになる。このシリーズが失敗すれば倒産するのではと思ったほどで、こだわり抜いて作ったレンズになる。昔野球部だった頃に大切にしていたグローブが思い出されるが、ものの価値を伝えられる非常に良いレンズができたと思う」と述べた。

35mm F1.4 DG HSM
盾を受け取る山木和人氏(右)。

 また、カメラ記者クラブ賞を受賞したAPS-Cサイズのセンサーを搭載したコンパクトカメラ「DP Merrill」シリーズについては、「2008年にDP1が記者クラブ賞を受賞した際には、大きなセンサーを小型ボディに収めるというコンセプトに挑戦した結果を評価してもらった。今回もこのカメラでしかできないものを目指した。センサーを作ったFOVEONのエンジニアとも喜びを分かち合いたい」と話した。

大曽根康裕氏
DP Merrillシリーズ
シグマのメンバー。

 またシグマ商品企画部/OEM・新規事業部 部長の大曽根康裕氏は、「DP Merrillシリーズは、再度他社のコンパクトを凌駕しようと、SD1 Merrillと同じ4,600万画素センサーの搭載を決めた。以前はレンズが沈胴式だったが、DP Merrillはレンズ精度を向上させるためすべてで非沈胴の固定式とした。また、レンズがボディの端に着いているのは、センサーとそれ以外のデバイスを分けたためで、センサーに熱などの影響が及ばないようにしたためだ。デザイナーの遊びであのようになったわけではない」とした。

 35mm F1.4 DG HSMについては、「一度、お蔵入りになりかけたレンズ。今の40〜50代の人から見ると、かつては50mm F1.4が安く買えることもあり35mm F1.4というスペックは人気がないイメージがある。先代の社長から一度商品化のストップが掛かったが、性能が良いことが若い世代に評価されており再スタートした。製造にも大きな負担が掛かかる製品で、会津工場のメンバーも一丸となって作ったレンズだ」(大曽根氏)と述べた。

D800E「空気感を評価してもらえた」

 ローパスフィルターを無効化した35mmフルサイズのデジタル一眼レフカメラ「D800E」であなたが選ぶベストカメラ賞を受賞したニコンは、執行役員 映像カンパニーマーケティング本部長の岩岡徹氏が挨拶し、「D800EはD800と兄弟機で、D800はカメラグランプリ2012の大賞を頂いた。2年連続でユーザーからの評価が高く、励みになると同時に驚いている。ローパスフィルター無効化による空気感を評価してもらえたのではないかと思う。今後も、撮影の時の感動が蘇るわくわくするカメラやそれを支えるレンズを出していく。今年はニッコールレンズ80周年で、もうすぐ生産8,000万本に達する。業界の発展に一役買いたい」と述べた。

D800E
盾を受け取る岩岡徹氏(右)。
山本哲也氏
ニコンおよびニコンイメージングジャパンのメンバー。

 ニコン映像カンパニー開発本部長の山本哲也氏は、「D800Eは我々としてあるメッセージを持って開発した。D800もそうだが、カメラの機能で大切なものは何かと言えば、人間の目では見えないものを可視化すること。3次元空間を2次元に写像するということで、色と光の表現力をいかに伝えられるかを中心に考えた。高い解像力と広いダイナミックレンジによる表現力をユーザーに届けることができたと考えている。これからも期待に応える製品を作っていきたい。

EOS 6D「0.1g、0.1mm単位で小形軽量を目指した」

 35mmフルサイズセンサーでは世界最小最軽量のデジタル一眼レフカメラである「EOS 6D」でカメラ記者クラブ賞を受賞したキヤノン。ICP第二事業部 事業部長の新堀謙一氏は、「EOS 6Dは、キヤノンのなかでカメラ好きなメンバーが“旅カメラ”をコンセプトにあげて作ったモデル。EOS 5D Mark IIIのDNAを継承しながら、厳しい環境に対応させている。Wi-FiやGPSといったコネクティビティの機能も有り、魅力的なカメラになった。今後はこれを励みに、さらに素晴らしいカメラを作っていきたい」と話した。

EOS 6D
盾を受け取る新堀謙一氏(右)。
キヤノンおよびキヤノンマーケティングジャパンのメンバー。

 また新堀氏は、「旅カメラということでいかに軽快に使えるかを追求し、0.1g、0.1mm単位のダウンサイジングを行なった。駆動系も見直したほか中身もほとんど新規に設計した。ある程度開発が進んだところで私がWi-FiとGPSを搭載することを決めると、開発部門は真っ白になったようだが、リトライしてもらって完成した。キヤノンのカメラ開発部門はカメラ好きが多く、自分の使いたいカメラが作れた。これからも新たな技術開発で、ユーザーにアピールできる製品を出していきたい」と述べた。

カメラ記者クラブと協力関係にある欧州のTIPA(The Technical Image Press Association)を代表して、副会長のJean-Christophe Béchet氏が来日。「カメラ記者クラブとの関係は3年目になる。これからも実りの多いことを望む」とのメッセージを述べた。