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【CP+】「PowerShot N」が人気のキヤノンブース

 日本最大のカメラ関連展示会「CP+」キヤノンブースでは、多くの新製品が並べられているが、その中でも特に人気なのが「PowerShot N」だ。展示場所はほかの新製品とは異なってブースの奥だが、多くの人が詰めかけていた。

 PowerShot Nは、正方形でコンパクトという独特のスタイルを採用したデジタルカメラで、背面液晶モニターにタッチパネルを搭載。シャッターボタンすらないというシンプルなボディデザインとなっている。

PowerShot N
ストラップとケースは標準で付属する。4種類から選択可能

 シャッターは液晶モニターに触れるタッチシャッターか、レンズの付け根にあるシャッターリングを押し込むことで、半押しを含めたシャッター操作ができる。シャッターリングの外側にはズームリングがあり、これを左右に押し込むことでズーム操作ができる。

鏡筒根元にある2つのリングがシャッターリング(前方)とズームリング(後方)

 デザインはコンパクトでかわいらしいが、光学8倍ズームレンズも備え、幅広いシーンに対応できる点もポイント。液晶は上方向に可動するため、低い位置の被写体を撮影する場合にも操作しやすい。

シンプルなデザインで、基本的な操作はタッチパネルを使う
上方90度まで液晶が開く
本体をひっくり返すと画面表示も回転し、どちらの方向からも撮影できる
レンズの2つのリングは、下からも押せるので、この状態でも撮影しやすい

 さらに、正方形という形を生かし、上下をひっくり返すと液晶画面の表示も上下が反転する。この状態で液晶を開くと、今度は手を上に持ち上げた状態でも撮影しやすくなる。液晶モニターを半ば開いた状態だと安定して自立するので、据え置きで撮影するといった用途にも対応でき、利便性の高いデザインとなっている。

据え置きもできる

 機能としては、シャッターを切る直前4秒間の動画をHD画質で記録する「プラスムービーオート」機能を搭載。記録された動画は1日分が1フォルダにまとめられ、あとからダイジェスト再生する機能も備えている。撮影前のみで撮影後の映像は記録されず、撮影秒数や動画の解像度の変更もできない。

メニュー画面。タッチしやすい大型アイコンを採用している
ハイスピード動画の撮影も可能
プラスムービーオートは、撮影時の直前4秒間の動画を記録する

「クリエイティブショット」機能は、1回の撮影で6種類の写真を撮影する機能。オリジナルの1枚に加えて、構図やフィルタ、アングルを変えた5種類の画像を自動保存してくれる機能だ。カメラが状況に合わせて自動で正方形にアスペクト比を変えたり、上下左右を切り取って縦位置画像にしたり、カラーを変えたり、モノクロやセピアといったフィルタを適用したり、まったく異なる写真に仕上げてくれる。

クリエイティブショットは、側面のモードスイッチを切り替えて設定する
撮影と同時に、オリジナル+5種類の画像が記録される

 カメラ内のアルゴリズムにもとづいて、6種類の画像が生成されるが、1〜2秒程度で処理は終わるので、撮影自体を待たされる印象はなかった。

 Wi-Fi機能も内蔵しており、スマートフォンやタブレットと連携して、画像の送受信が行えるのも特徴。無線LANアクセスポイントに接続し、PCにワイヤレスで画像を転送したり、カメラから直接TwitterやFacebook、CANON iMAGE GATEWAY、YouTubeにアップロードすることもできる。AndroidまたはiOSに専用アプリをインストールすれば、カメラとスマートフォンを接続し、画像をスマートフォンに送信して、そこから画像編集やSNSへの投稿も行なえる。

無線LANの設定画面
カメラ単体で画像の転送にも対応している

 スマートフォンに転送するには、本体側面にある「ワンタッチスマホ」ボタンを押すと、無線LANが起動する。この状態でカメラが無線LANのアクセスポイントになるので、スマートフォンの無線LAN設定からカメラに接続し、アプリを起動すると、カメラ内の画像を取得できる仕組み。

ワンタッチスマホボタン(ストラップホールの上)を押すと、スマートフォンとの接続が行なえる
スマートフォンとカメラが接続される

 アプリからは画像のサムネイル表示、1枚表示が可能で、転送したい画像があったら、ダウンロードボタンを押すことで、スマートフォン内に画像が転送される。Androidアプリには共有ボタンも用意されているので、Androidの「インテント」機能を使い、転送した画像を任意のアプリで編集したり、SNSに投稿したりといった操作も可能。

画像の一覧表示。クリエイティブショットで撮影された6枚の画像はひとまとまりで表示される
画像を表示し、ここから転送や共有が可能

 ワンタッチスマホボタンは、本体の電源を入れなくても動作し、ボタンを押すことで無線LANが起動してスマートフォンと接続できるようになる。ワンタッチスマホボタンを押したあとは、カメラをバッグの中に入れた状態でも、撮影画像の確認、転送といった操作ができる。

 なお、転送できるのは画像1枚ごとで、全画像や複数画像を一気に転送することはできない。スマートフォン側のメモリ容量やバッテリの問題を考慮したということで、PCへのワイヤレス転送では全画像の転送もできる。同様に、動画も録画時間が2分までであればスマートフォンに転送できるそうだ。

 専用アプリは、スマートフォンとは通常のアドホック接続で、カメラのリモートコントロールには対応しない。今後ユーザーの要望を見ながら、リモートコントロールへの対応も検討していく。アプリの開発には専門部隊があり、機能拡充などは積極的に行なっていく方針だという。

 また、今回PowerShot Nはオンラインのみの販売。新しい製品ジャンルのため、よりユーザーとのコミニュケーションが取りやすいように、直接オンラインで売るスタイルにしたという。ただし、東京・銀座や品川、名古屋、梅田などにあるキヤノンギャラリーで製品を展示し、その場でオンラインから購入できるようにもする方向だそうだ。直接本体に触りたい場合は、このCP+に来場するか、キヤノンギャラリーを訪問するといいだろう。

 そのほかの新製品としては、「IXY 610F」「IXY 110F」「PowerShot A2600」「PowerShot A1400」「IXY 90F」を出展。IXY 610FとIXY 110Fは無線LANを内蔵し、PowerShot Nと同様に画像の転送に対応。IXY 610Fはプラスムービーオートもサポートする。IXY 90Fはコンパクトながら光学8倍ズームレンズを搭載したスタンダードモデルとなっている。

IXY 610F
IXY 110F
IXY 90F

 PowerShot A2600は光学5倍ズーム、3型液晶を搭載したエントリーモデル。PowerShot A1400は、実像式光学ビューファインダーを搭載し、単3形アルカリ乾電池×2での動作にも対応した。

PowerShot A2600
乾電池駆動に対応したPowerShot A1400

 デジタル一眼レフコーナーでも、EOS 6DやEOS Mを始め、各製品を取り揃えられている。

 EOS 6Dは、フルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラとしては世界最小・最軽量を実現しており、注目度の高い製品。無線LANとGPS機能を内蔵したことで、現在位置の取得やロガー機能、無線LANによる画像転送などが可能。

EOS 6D

 PowerShot Nなどとはアプリが異なり、リモート撮影ができるのが特徴。EOS 6DとAndroid/iOS端末を接続すると、スマートフォン画面にカメラのライブビュー映像が表示され、シャッタースピードや絞りなどの露出操作、ピント位置の変更、シャッターといった操作が行なえる。

スマートフォンでリモート撮影が可能
シャッタースピードや絞り、ISO感度などの設定が可能
ピント位置も移動できる
撮影画像を表示したところ

 撮影後は、カメラの画像を確認し、スマートフォンにダウンロードすることもできる。ただし、画像はリサイズされて転送されるほか、動画の転送には非対応だ。

 EOS 6Dは撮影体験コーナーも設けられており、新レンズ「EF24-70mm F4L IS USM」との組み合わせで撮影を体験できるようになっている。ただし、レンズ交換や撮影画像の持ち帰りは不可となっている。

EOS 6Dの撮影体験コーナー

(小山安博)