オリンパスギャラリー東京、今本淳写真展「うみうし」


 オリンパスギャラリー東京は、今本淳写真展「うみうし」を6月2日から実施する。社団法人日本写真協会の呼びかけで開催する「東京写真月間2011」の企画展「いきものランド」のひとつ。

(c)今本淳
ウミウシは、色鮮やかさや複雑な模様、姿形、種類の豊富さなどから、「海の宝石」と呼ばれる海辺のいきものです。その姿からナマコの仲間とおもわれがちですが、実は貝の仲間で巻き貝から進化したと考えられています。しかし、その多くは貝殻を持っていません。あっても体の中に埋もれているか、名残のような小さな貝殻を持っている程度です。貝殻を捨てたことで自由にデザインできる体を得て、多種多様に発展してきたいきものなのです。

写真で見ると大きな姿をしているように思えるかもしれませんが、実際のウミウシの大きさは数ミリ~数センチ程度。ほんの5ミリ程度のウミウシでも息をのむような美しさと複雑な形をしたものが多く、ウミウシの撮影を始めたばかりのころに、肉眼ではゴミにしか見えない小さな生物をとりあえず撮ってみたら、実はとても複雑な形状で美しい模様を持つウミウシだったということがありました。その時の驚きと感動は今でも忘れません。

しかし、水中で小さないきものを撮影することは容易ではありません。私は、2000年頃からウミウシの撮影を専門としてきましたが、最初の2年半は水中カメラのセッティングを試行錯誤することに費やしました。ウミウシは一期一会なこともあり、出会う種類はその都度様々です。極小のウミウシ(5ミリ程度)からやや大きいウミウシ(15センチ程度)を1台のカメラで撮るにはどうしたらよいか?海の中ではレンズの交換ができませんので、最初の試みとして、ズームレンズ付きのコンパクトデジタルカメラと安価な純正の水中ハウジングに水中でも脱着可能な自作のクローズアップレンズを組み合わせて撮影しました。その後も改良は続き、ストロボの光をむらなく柔らかく当てるためのディフューザーを自作したり、撮影倍率を上げるためにカメラを10倍ズームレンズのコンパクトデジカメに変更しました。また、より高画質化するために透過特性の良い光学ガラスと陸上用の高性能クローズアップレンズを組み合わせた改良版の水中クローズアップレンズも自作しました。

こうして自分が納得できるウミウシ専用の撮影機材を手に入れた私は、ますますウミウシの撮影に夢中になりました。ウミウシは日本に1200種類、海外も含めると3000種類以上いると考えられています。ウミウシを追い求めて日本各地を訪れた私は、2003年11月に新たなウミウシとの出会いを求めて生まれ育った神奈川から鹿児島の離島、奄美大島に移住しました。

私のウミウシ撮影ストーリーはこれからもまだまだつづきます。現在までに出会ったウミウシたちは、奄美大島で333 種、日本国内の他の地域を含めても516種で、日本に生息しているとされる種類の半分にも達していません。まずは奄美大島に生息している600種を撮影し、定年後に日本全国ウミウシ撮影の旅に出て合計1200種類のウミウシを撮影することが今の私の目標と夢です。

(写真展情報より)

  • 名称:今本淳写真展「うみうし」
  • 会場:オリンパスギャラリー東京
  • 住所:東京都千代田区神田小川町1-3-1 NBF小川町ビル1F・2F
  • 会期:2011年6月2日~20111年6月8日
  • 時間:10時~18時(最終日15時まで)
  • 休館:日曜・祝日

(本誌:鈴木誠)

2011/5/19 00:00