DNPフォトルシオの「フェーズワン/リーフ&Capture Oneセミナー」レポート


 DNPフォトルシオは、デジタルバック体験イベント「フェーズワン/リーフ&Capture Oneセミナー」を2日に開催した。

IQ180を装着した645DFリーフのAptus II 12Rなどを含めた現行デジタルバックが一堂に展示された

 同社が2月に発表したフェーズワンのデジタルバック「IQ180」、「IQ160」、「IQ140」の紹介と、RAW現像ソフト「Capture One 6」の活用方法を解説する趣旨のイベント。会場では中判カメラ「645DF」に装着したIQ180の操作感を試すことができたほか、発表済みのリーフ「Aptus II 12R」を展示。フォトグラファーによるCapture Oneの活用法紹介なども実施した。

 IQシリーズは、8,000万画素のCCDセンサーを搭載した「IQ180」、6,050万画素の「IQ160」、4,000万画素の「IQ140」からなるデジタルバックの新シリーズ。価格は、IQ180が551万2,500円、IQ160が462万円、IQ140が273万円。IQ180の発売時期は5月。IQ160とIQ140の発売時期は夏頃としている。

 セミナーではまず、IQ180の新要素を紹介した。フェーズワンのデジタルバックとして初搭載となるマルチタッチ対応の液晶モニターでは、画面のタップやスワイプ操作により、撮影画像だけでなく、ヒストグラムなど各種表示のズームなどを行なえる。画面サイズは3.2型。解像度は115万ドット。タッチ操作で行なえるほぼすべての操作をボタン操作で代替できる。なお、拡大とパン操作はタッチ操作のみ対応する。

起動画面にはタッチ操作用のボタンを表示するようになった。カメラバック本体にも4つの操作ボタンを備えている
ホワイトバランス設定画面コンフィグ画面。展示機のファームウェアでは日本語が利用できなかった
メモリーカードスロットとシンクロ端子バッテリーは内蔵式になった
従来は本体側面にバッテリーを装着していた(写真はP65+のバッテリー装着部)タッチ操作で撮影画像の拡大・縮小を行なっているところ

 新機能としては、Capture Oneに搭載しているピント位置表示機能「フォーカスマスク」を装備。撮影画像のうち、ピントの合っている位置を色付きで表示できる。

 製品説明を担当したDNPフォトルシオプロフォトソリューショングループエキスパートの小山秀一氏は、フォーカスマスクの搭載と液晶画面の品質向上により、「撮影の効率が上がるカメラに仕上がっていると思う」と話した。

 外装には航空機用のアルミニウムを採用し、従来機種よりも過酷な環境で使用できるとしている。バッテリーは内蔵式に仕様が変更された。電源を接続すれば給電も可能となっている。なお、P65+などをはじめとした従来機は、外部にバッテリーを装着する構造だった。

 このほか、P65+などに搭載していた電子水準器は、前後方向にも対応。0.2度までの誤差を検出可能という。また、FireWire800やUSB3.0端子も備えている。

DNPフォトルシオプロフォトソリューショングループエキスパートの小山秀一氏IQは「Image Quality」の略
静電容量式のマルチタッチ対応ディスプレイを搭載撮影画像の拡大・縮小とパン操作はタッチのみ対応
画像ブラウズ時の操作ピントの合っている部分だけを色付きで表示するフォーカスマスク
0.2度の傾きを検出する電子水準器を新搭載実際に撮影するデモも行なった
フェーズワン、リーフ、マミヤの協業関係を改めて図示現行のフェーズワン製デジタルバックは8製品
IQシリーズの価格と発売時期レンズのラインナップは、フェーズワンとシュナイダーを合わせて13本となった

 なお、IQシリーズに先んじてPシリーズを購入し、IQシリーズ発売後に差額を支払うことでPシリーズをIQシリーズに交換できる「Buy Nowキャンペーン」と、早期にアップグレードすることで購入額を割り引く「IQ Upgrade早割」を2日より実施している。

Buy NowキャンペーンはIQシリーズ発売まで早割は4月30日まで実施

 Capture One活用法紹介では、フォトグラファーの湯浅立志氏が登壇した。

 自身もCapture Oneを仕事に活用しているという湯浅氏は、クライアントから商品撮影を依頼されたケースを想定して新機能を説明。ノートパソコンを被写体として、実際に撮影しつつ解説を進めた。

湯浅立志氏ノートパソコンを商品撮影する例を用いて解説した

 湯浅氏のワークフローは、Capture Oneのオーバーレイ機能を使って、テザー撮影した画像をクライアントが撮影した参考画像と重ねて表示しながら角度を調整しつつ、色味や明るさなどを詰めていくというもの。湯浅氏によれば、フェーズワンのデジタルバックを使った撮影時はこの方法で問題ないが、デジタル一眼レフカメラで撮影する場合は制約が出てくるという。

「例えばキヤノンEOS-1Ds Mark IIIでテザー撮影を行なう場合は、ライブビューが使えなかったり、Capture Oneから絞りやシャッタースピードがコントロールできないなどの制約がありますので、撮影時はCapture Oneとの接続を一旦切断し、EOS Utilityでカメラコントロールを行ないつつ、Capture Oneでプレビューするという方法をとっています」

 上記の方法は、Capture Oneのホットフォルダ機能を利用したもの。Capture OneとEOS Utilityの撮影ファイル保存フォルダを同じフォルダに設定することで利用できる。

参考写真と撮影画像をオーバーレイ表示しているところ白飛びさせる部分を加減しているところ
Capture OneとEOS Utilityを併用しているところ

 併せて、均一な明るさの補正用画像を基準として、ほかの画像の周辺光量落ちを自動補正する「レンズキャストキャリブレーション」、1枚の画像の中で、特定の色を調整できる「カラーエディター」、画像の一部分をマスクすることで、部分的に補正効果を適用できる「部分調整レイヤー」などを紹介した。

 具体的な活用シーンとしては、1枚の画像の中に、金属やプラスチックなど質感の異なる被写体があり、それぞれの質感を強調する場合はカラーエディターを用いるほか、モアレ除去機能による画像の滲みを抑えたい場合には部分調整レイヤーを活用するとした。湯浅氏はそれぞれの機能について、「従来はPhotoshopなどのレタッチツールを別途使用する必要があったが、Capture Oneで各機能が実装されたことで作業時間が半分以下になってだいぶ楽になった」と評価した。

 このほか、現像履歴のクリアによる起動時間の短縮や、無線LAN経由でスレート型パソコンなどにプレビューを表示する「キャプチャーパイロット」、スマートアルバムの使い方といった小技も紹介していた。

金属のペンとプラスチックペンの質感をそれぞれ強調したいケースカラーエディターを使って調整しているところ
部分調整レイヤーを使って、モアレの発生した裏地部分以外をにじませずに処理したところキャプチャーバイロットで、iPadにプレビューを表示したところ


()

2011/3/3 13:20