GALLERY 21、写真展「Ailleurs 遠い場所 2010 終わらない旅の軌跡」
クレー・インクは、6人の写真家による特別企画展「Ailleurs 遠い場所 2010 終わらない旅の軌跡 稲越功一と5人の写真家」を19日より開催する。参加写真家は、稲越功一氏、堺亮太氏、新藤琢氏、高梨光司氏、南浦護氏、森浩司氏。
(c)稲越功一 |
2009年、文字通り“別の場所(Ailleurs)”に旅立った写真家、稲越功一氏のフランスで出版された写真集「Ailleurs」(出版元:Contrejour, 1993)。ここにはこの後の稲越功一という写真家の軌跡を予感させる重要なキーワードが色濃く刻まれています。“人間はどこから来て、どこに行くのか”、一ヵ所に止まることを許されない“生きるという行為そのもの”の持つ重さと意味が、写真表現ならではの静かな時間として結晶しているかのようです。当時、この稲越の旅を二人の目利き、村上春樹(文学者)とガブリエル・ボーレ(美術評論家)はそれぞれの立場から写真家が語りかけるメッセージを見事に解き明かしています。
2010年、深い混迷の時代にある現在、稲越が見つめて続けた世界の風景を彼のDNAを継承する5人の写真家たちの作品へと繋げることで、大きなストーリーとして改めて読み返したいと考えました。それは過去から現在へ、そして現在から未来へと、常に“今という時間”に向き合うことを生業とする写真家の使命を指し示す、まさに“現在進行形の展覧会”となるはずです。出展作品数約55点。(写真展情報より)
「ぼくの旅がいつまでつづくのかは、わからない。わかっているのはただ、子供のときからいつも自分のなかに何か動きへと促すものがあり、それに誘われて世界中、自分に属するもの、自分に属する場所を捜しまわっているということだ」(中略)仕事の合間をぬって彼は旅に出る。写真家としての、人間としての体験の余儀なのか、気分転換なのか、それとも人生を補足するものなのか。ただ確かなのは、もうすでに何年も前から、彼がふだんの環境を離れて、もうひとつ別の知的、視覚的探求を求めようとしていたことだ。(写真展情報、ガブリエル・ボーレ氏のコメントより)
旅行というのはそもそも疲れるものだ。疲れるように出来ているものなのだ。僕らが旅行をするとき、何もかもが予定どおり順調にうまくいくことなんてない。そんなことは絶対ない。(中略)でもそれでもあなたは旅行に出る。それでも僕も旅行に出る。何のために? たぶん僕らはそこに自分のための風景を見つけようとしているのだ。少なくとも僕はそう思う。そしてそれらはそこでしか見ることのできない風景なのだ。僕らにはおそらくそのような風景が必要なのだ。どれほど使いみちがなかったとしても、それらの風景を僕らは必要としているのだし、それらの風景は僕らを根本的にひきつけることになるのだ。(写真展情報、村上春樹氏のコメントより)
- 名称:「Ailleurs 遠い場所 2010 終わらない旅の軌跡」
- 会場:GALLERY 21
- 住所:東京都港区台場2-6-1 ホテルグランパシフィック LE DAIBA 3階
- 会期:2010年10月19日~11月28日
- 時間:10時~20時
- 休館日:会期中無休
- 入場料:無料
なお、18日より稲越功一氏を除く作家5人が出展する同名の写真展を、東京・渋谷の「GALLERY 21 bis」にて同時開催する。詳細は下記の通り。
- 名称:「Ailleurs 遠い場所 2010 終わらない旅の軌跡」
- 会場:GALLERY 21 bis
- 住所:東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル1、2階
- 会期:2010年10月18日~11月28日
- 時間:9時~24時
- 休館日:会期中無休
- 入場料:無料
2010/10/4 14:36