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ペンタックス、「645D」の発売直前説明会を開催

〜ローパスフィルターの装着は可能、対応は未定

645D

 ペンタックスは9日、中判デジタル一眼レフカメラ「645D」の発売直前説明会を都内で行なった。11日発売の645Dに関して、改めて紹介および解説する趣旨。

 645Dは、有効4,000万画素のコダック製CCDセンサーや645AF2マウントなどを採用する中判デジタル一眼レフカメラ。センサーサイズは44×33mm。「フィールドに持ち出せる超高画質機」をコンセプトとし、防塵・防滴・耐寒性能を有する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は80万円台半ばの見込み。具体的なスペックなどに関して、詳しくは関連記事を参照されたい。

最も不人気だったデザイン案を採用

 ペンタックスの中判デジタルカメラは、2005年のフォトイメージングエキスポ2005(PIE2005)において、1,800万画素CCDセンサー搭載機として開発発表した。当時の仮称は「645 Digital」。デザイン案として「A案」、「B案」、「C案」を提示し、一般ユーザーを対象にアンケートを実施した。

 当時から645Dの開発に携わっているHOYAペンタックス事業部マーケティング統括部商品企画グループの前川泰之氏によれば、当時もっとも人気があったのはC案だったが、最終的にはB案をベースにしたデザインを採用したのだという。中判フィルムカメラ「645」シリーズの流れを汲むデザインのA案とC案に対して、B案はそれまでの流れとは異なるデザインだったと振り返る。

「デジタル化にあたり、デザインに新しさを持たせる意図がありました。B案の得票数は最も少なかったのですが、アンケート用紙の自由記入欄に最も多くご意見を記入いただいていたのもまたB案だったのです」(前川氏)

HOYAペンタックス事業部マーケティング統括部商品企画グループの前川泰之氏 A、B、C案のモックアップを展示した
PMA06に展示したB案のモックアップ PIE2009に展示していた「645 Digital」

 その後、2007年のPIEで3,000万画素CCD搭載の実動機を展示したものの、2008年に突如、開発の凍結を表明。1年の空白期間を経た後、2009年のPIEにおいて、参考出品という形で再び姿を現し、2010年3月、「645D」として正式発表するに至った。

 開発凍結期間中は、ペンタックスでは中判デジタルカメラとデジタル一眼レフカメラを並行して開発するのではなく、当時開発中だったデジタル一眼レフカメラ「K-7」の開発に注力する路線をとっていたのだという。

静止画重視のセンサー選定

 製品本体の紹介では、各部材に関する事情も聞くことができた。

 ペンタックスでは645Dの開発当初、ライブビュー搭載のために大型のCMOSセンサーも検討していた。ところが、大型CMOSセンサーの中に条件に合ったものがなく、静止画の画質を最も重視した結果、ライブビューの搭載を断念し、コダックのCCDセンサーを搭載するに至ったという。

 ローパスフィルターは非装着だが、メカ的には後から装着できるように設計してあるそうだ。現在はローパスフィルター装着モデルを発売する予定はないが、要望が多ければ対応できないこともないという。「ただ、ローパスフィルターはセンサーの次くらいに高価な部材。それをつけるとなると、とてもではないが80数万円ではお売りできないと思います」(前川氏)

画像生成フロー フィルター構造図
1,920×1,200ピクセルのディスプレイで等倍で表示したときの領域 K-7との解像度比較

 前川氏はグリップに関して「ペンタックス史上最高の出来」と自信をのぞかせる。試作グリップを社内の約100人に持ってもらい、それぞれの感覚に合わせて成形したグリップを人数分作成し、研究した。また持った時のバランスも考慮したという。

 対応記録メディアにSDXCメモリーカードを含めず、SDHCメモリーカードのみとした根拠については、「複合的な理由から」と回答。具体的には、SDHCメモリーカードが事実上記録メディアのメインストリームである点、厳密に定められた規格により製品ごとのばらつきが少ない点、内部実装上のスペースの問題を主な理由として挙げた。

 SDXCメモリーカードへの対応は検証中とした。採用するハードウェアの制約からネイティブ対応はできず、フルスピードでの転送は非対応としつつも、不確定ながら容量は規格上最大となる2TBに届く見通し。

対応メディアにSDHCメモリーカードを採用した理由 デュアルスロットの機能。スロット間のファイル操作はできない
液晶モニターの耐荷重は50kg 防塵・防滴・耐寒性能を有する

 シャッターユニットの耐用回数は5万回。内部ではシャッター回数のカウントを行なっているという。

 新カスタムイメージとなる「リバーサルフィルム」については、大判フィルムカメラのヘビーユーザー数名にヒアリングした結果を反映した。色のりがよく、陰影に富み、鮮鋭度の高い傾向が好まれたという。すでにK-7への搭載を望む声も寄せられており、検討中としている。

 さらに、645Dと従来機種の共通点についても言及。フィルムカメラの「645」シリーズと10%程度の部材を共通化することでコストダウンを図るほか、ハードウェア面では、K-7と共通のリチウムイオンバッテリー「D-LI90」と、画像処理エンジン「PRIME II」を例に挙げた。

 645Dのバッテリーは、K-7と同じD-LI90。目標としたCIPA準拠の撮影枚数は、500枚以上。電池を共通としたのはバッテリーを頻繁に変更することを避けるためだ。電力管理に関しては、まず「D-LI90ありき」だったという。その結果、気温23度で約800枚、-10度で約650枚の撮影枚数を実現した。HOYAマーケティング統括部商品企画グループマネジャーの川内拓氏は「そこも価格を安くできたポイント」と話した。

シャッターの耐用回数は5万回 リバーサルフィルムの設定はフィルムカメラユーザーの意見を取り入れた
HOYAマーケティング統括部商品企画グループマネジャーの川内拓氏 バッテリーはK-7と共通

プロサポートや海外展開は実施予定なし

 645Dに関して「実はプロフォトグラファーからの問い合わせも多い」と語る前川氏。ペンタックスでは当初よりプロ向けのサービスは行なわない意向を表明しているが、プロからの引き合いがあまりにも多いことから、検討する必要性も感じているという。一例として、PCとの連結撮影機能への対応などを検討しているという。ただし、当面は従来通りのアフターサービスを実施していくとのこと。また、ファームウェアの更新を行ないつつ、「長く売っていく」意向も明らかにした。

 今後のレンズロードマップに関しては詳しく明かさなかったが、標準レンズ「D FA645 55mm F2.8 AL [IF] SDM AW」と既存の645用交換レンズに加え、3月に開催されたCP+2010で参考出品した超広角レンズを予定している。

 注文状況については「極めて良い」と回答。具体的な台数の発表はなかったが、月産台数の500台はクリアし、発売延期を発表した時点での予約分についてはデリバリーできる予定という。なお、海外展開に関してはアフターサービスが困難な点から実施予定はないとした。

(本誌:関根慎一)

2010/6/10 21:09