DNPフォトルシオ、「ハイエンド・デジタルバック・セミナー」を開催


各種デジタルバックとレンズを使って撮影を試せた

 DNPフォトルシオは、デジタルバック体験イベント「ハイエンド・デジタルバック・セミナー」を20日に開催した。

 会場では、DNPフォトルシオが代理店を務めるフェーズワンおよびリーフのデジタルバックを装着した中判カメラや、シュナイダークロイツナッハのレンズシャッター内蔵レンズを展示。RAW現像ソフト「Capture One 5 Pro」との連結撮影も試すことができた。また、協賛メーカーのナナオ、共同写真要品、日本テクノ・ラボの製品も展示した。

 主なセミナー内容は、写真家・上田晃司氏による「フェーズワン645DF+シュナイダーLSレンズ試用レポート」、日本テクノ・ラボの近藤敏博氏による「画像データバックアップの現状と将来」、DNPフォトルシオによるフェーズワンおよびリーフ製デジタルバックの評価テスト報告、フェーズワン・ジャパンの下田貴之氏による「Capture One 5 Pro徹底使いこなし術」。


シュナイダークロイツナッハのレンズを装着したフェーズワン645DFAF 55mm F2.8 LS
AF 80mm F2.8 LSAF 110mm F2.8 LS
アルティザン&アーティストとのコラボレーション企画を進行中という。カメラバッグのベースはVCAM-8500ストラップ本体にフェーズワンのロゴを配する
デジタルバック用のソフトケースも参考展示した共同写真要品のビューカメラ「ColaVolex2」
日本テクノ・ラボのBD用ディスクパブリッシャー「Bravo SE」

圧倒的な解像感が魅力

 上田晃司氏の試用レポートでは、上田氏がパリで撮影したスナップ作品を披露しつつ、使用感を解説した。使用機材はフェーズワン645DF、P40+、シュナイダークロイツナッハ「AF 55mm F2.8 LS」、「AF 80mm F2.8 LS」、「AF 110mm F2.8 LS」。

 上田氏は中判デジタルカメラシステムについて、圧倒的な解像感とダイナミックレンジの広さを高く評価。ハンドリングについては「35mm判のシステムよりも若干重いが、使ってみると使い勝手は同じくらい」とした一方、丸1日の撮影でバッテリーを2~3本消費する点など、弱点についても指摘した。

 シュナイダーレンズについては、特にAF 80mm F2.8 LSに関して「ハイライト部はパープルフリンジが出やすいものだが、作例を見るかぎりではほとんど見られない。周辺減光や滲みもあまりなく、線の細い描写なので、ポートレートに向くのでは」と、こちらも高く評価していた。

上田晃司氏はフェーズワンの「P25+」を個人で所有。普段はハッセルブラッドのVシステムと合わせて使用しているという会場のディスプレイでは階調を表現しきれず、セミナー終了後に上田氏のノートPCへ写真を直接見に来る来場者もいた

用途に適した記録媒体を選ぶ

 日本テクノ・ラボの近藤敏博氏は、画像データの保存媒体およびバックアップ方法について、実例を交えつつ解説した。

 近藤氏はまず、データ記録媒体の一例として、HDD、DAT、USBメモリー、BDなどに分類。データを「資産」と位置付けたうえで、データ保存にあたっては、用途に合わせて適した媒体を選択することが重要と強調した。HDDは運用データの保存、フラッシュメモリーはデータを持ち運ぶ場合などの一時保存、BDディスクは5年を目安としたバックアップ用途の長期保存に向くという。また、その根拠のひとつとして、BDがOSやCPUに依存しないファイルシステム「UDF」(ユニバーサルディスクフォーマット)を採用している点を挙げた。さらに、実際に記録媒体としてBDを採用している機関として、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や国会図書館などを挙げた。

日本テクノ・ラボ ストレージシステム部長の近藤敏博氏バックアップ媒体をHDD、磁気テープ、フラッシュメモリー、光ディスクの4つに分類
それぞれの媒体の特徴と脆弱性を明示した用途に合った記録媒体の運用方法を提案した

解像力が優れているのは「P65+」

 フェーズワンおよびリーフ製デジタルバックの比較では、新旧のデジタルバック10機種について、解像力、ダイナミックレンジ、偽色量、平均⊿E(色差)を指標としてテストした結果を報告した。テストを担当したのは、大日本印刷の研究・開発部門「DNP生産総合研究所」。テストしたデジタルバックは、フェーズワンの「P65+」、「P45+」、「P40+」、「P30」、「P25」、「P21」、リーフの「Aptus II 10」、「Aptus 75s」、「Aptus 65s」、「Aptus 22」。

 最終的に、解像力は「P65+」、ダイナミックレンジは「P40+」、偽色量は「Aptus II 10」、平均⊿Eは「P25+」がそれぞれ最も優れているという結果が出た。

Aptus II 10評価項目
2種類のチャートを撮影したフェーズワンの機種には「Capture One」、リーフの機種には「Leaf Capture」を使用
数値に応じて色差を5段階にランク分けした全機種の評価数値
評価結果

Capture One 5 Proの便利機能を実演

 「Capture One 5 Pro徹底使いこなし術」では、Capture One 5 Proの新機能を中心に紹介。従来はRAWデータと別に保存していた調整ファイル一本化し、別環境でも容易に調整データを適用できる「EIPファイルフォーマット」を紹介したほか、画像データのうち特定の色だけを調整する「カラーエディター」、画面に写り込んだゴミなどを除去する「スポット除去」、RAW画像のうち、フォーカスの合っている部分を色分けしてマスクする「フォーカスマスク」、テキストや画像をデータに埋め込む「ウォーターマーク」などの実演を行なった。

Capture One 5と同Proの機能比較EIPファイルフォーマットの概要
スポット除去写り込んだゴミを除去する「ダスト」と、人物のホクロなどを処理する「スポット」
カラーエディターでは、左のパレットで選択したカラーレンジを調整できる。効果が及ぶ範囲のみ表示することも可能フェーズワンのRAWデータ限定ながら、フォーカスマスクはピントの合っている部分のみマスクして表示できる
しきい値を上げると、厳密にピント位置を把握できる画像に著作権透かしなどを埋め込めるウォーターマーク機能


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2010/5/24 00:00