【CES】カシオ、屋内でも使えるGPS内蔵デジカメを参考出品


会場:Las Vegas Convention Centerほか
会期:2010年1月7日~1月10日(現地時間)

 2010 International CESのカシオブースで、カシオは同社初となるGPS機能内蔵コンパクトデジタルカメラのプロトタイプを初公開した。また、2010 International CESの開幕前日(現地時間6日)に開催したプレスカンファレンスで発表したデジタルカメラ4機種と、同じくプレスカンファレンスで発表した「デジタルアートフレーム」を展示した。

カシオブースGPS内蔵カメラのコーナー

GPS内蔵デジタルカメラ

 カシオで初となるGPS機能内蔵のコンパクトデジタルカメラ。展示していたのは実際に動作するプロトタイプで参考出品となる。製品化は未定。今後、市場の反響などを見て製品化を検討する。

GPS機能内蔵デジタルカメラ

 GPS衛星からの信号を捕捉する従来のGPS機能に加えて、モーションセンサーによる移動量解析機能を搭載。GPS衛星の電波が届かない屋内などでも連続した位置情報を得ることができるのが特徴。カシオでは「ハイブリッドGPS」と呼んでいる。

 本体に3軸の加速度センサーと3軸の方位センサーを内蔵することで、人物の移動を相対的に割り出すことが可能。カメラが屋内に入った場合、直前のGPS衛星からの情報をもとに加速度センサーと方位センサーの信号から人物の移動の向きと方位を特定する。本体の電源がOFFになっていても、位置情報は常に割り出しているためGPS衛星からの電波を受信する場合と同様にトラッキングできる。

左のボタンは現在位置に戻るためのもので、右のボタンが地図の表示モードを変えるためのボタン

 「これまで同様の製品としては、一部カーナビゲーションシステムでトンネル内など衛星の電波が届かない場合に車速パルスとジャイロセンサーで移動を割り出すという技術はあった。今回は人物の移動を分析できる点が新しい。人物の場合車速パルスなどを得られるわけではないため、移動分析アルゴリズムの開発に苦労した。GPS衛星からの信号は1.5GHzと高周波なため、不要輻射対策に注力して受信感度を上げている。感度には自信がある」(説明員)

 また屋内でのトラッキングで誤差が生じた場合は、屋外に出た際にGPS衛星から受信した正確な位置を元にしてそれまで屋内で記録してきた位置情報の補正を行なう。そのため、屋内での誤差は最小限にできるとしている。

プリセットの観光スポット表示。中心が現在位置ユーザーが撮影した写真の表示。撮影した方角が出る
プリセットとユーザーが撮影した写真の位置を同時に表示することもできる縮尺を大きくしたところ

 カシオではハイブリッドGPSカメラについて、旅行やアウトドアに適するとしている。そのため、本体には現在までに約1万カ所の観光スポットをプリセットしてある。旅先で地図を見ながら観光スポットを探すことができるほか、その場所で撮影したプリセット画像を表示することができる。

 観光スポットを中心とした地図データを収録しており、写真を撮影した地点を地図上にプロットできる。また、撮影した方位も表示可能。地図には現在位置からプリセットしてある観光スポットまでの距離も表示できる。また、移動距離、歩数、消費カロリーも表示可能。

再生画面に位置情報が出る

 今回のプロトタイプは「EXILIM Hi-ZOOM EX-H10」をベースに試作した。GPS受信部、加速度および方位センサー、信号解析部などを実装したサブ基盤を本体上部にレイアウトしている。サブ基盤は小型なためさまざまな大きさのデジタルカメラに搭載できるという。信号解析はEXILIMエンジンでは行なっておらず、新たに32bitのCPUを搭載した。

デジタルアートフレーム

 プレスカンファレンスでデジタルカメラの新製品とともに発表した製品。これまでのデジタルフォトフレームに加え、写真を絵画に変換する機能などを備える。米国では春に発売するが、国内での発売は未定。価格は未定。

デジタルアートフレームプレスカンファレンスで挨拶したカシオの樫尾和雄社長

 10.2型の液晶モニターを使用したデジタルフォトフレーム。本体で絵画を生成できることからカシオでは「デジタルアートフレーム」と呼称している。製品の詳細は既報を参照されたい。

 プレスカンファレンスで、カシオの樫尾和雄社長は、「写真を絵に変換できる。それによって写真文化が変わっていくのではないか。絵を作っていくという時代に挑戦していく」と話した。

通常の写真表示時「エアブラシ」を適用したところ

 取り込んだ写真を、水彩画、色鉛筆画、パステル画、点描画、エアブラシ、油彩画、ゴシック調油彩画、野獣派油彩画の8種類に変換できる。顔検出機能を搭載しており、顔の部分は自然な描写にすることが可能となっている。絵画に変換した画像は、メモリーカードなどに保存可能。「デジタルアートフレームで飾りたい絵のために写真を撮る、といったようにカメラの使い方も変わってくるのではないか」(説明員)。

8種類のタッチに変換できる顔検出により、顔が不自然にならないように処理できる
背面将来的にはさまざまなタイプのフレームを検討している
Flashで動く時計のコンテンツを内蔵している

 また、独自の動画合成機能「ダイナミックフォト」やハイスピード撮影技術を活用。フレーム上で動く写真を再生できる。またカシオのデジタルカメラでハイスピード撮影した画像を絵画に変換した上でコマ送りのように再生することもできる。なおカシオでは、デジタルアートフレームで使用できるダイナミックフォトの素材のダウンロードサービスも行ないたいとしている。

デジタルアートフレームで変換した絵をプリントした例を展示

デジタルカメラ

 既報の通り、現地時間の6日にハイスピード撮影対応モデルなど4機種を発表した。いずれも国内での発売は未定。価格は349ドル。

 「HIGH SPEED EXILIM EX-FH100」は、有効1,000万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載したハイスピード撮影対応モデル。広角24mmからの10倍ズームを搭載する。モードダイヤルやグリップなどカメラらしいデザインを採用している。液晶モニターは約23万ドットの3型。

HIGH SPEED EXILIM EX-FH100(ブラック)
モードダイヤルを備えるシルバー
ブースでは空手のパフォーマンスをハイスピード撮影することができる

 「HIGH SPEED EXILIM EX-H15」は「同EX-H10」の後継モデル。価格は299ドル。1,410万画素のCCDや3型の46万ドット液晶モニターなどを採用する。新たに「プレミアムオート」を新設した。シーンモードに含まれるモードで、従来のオートモードで撮影するよりもさらに仕上がりになるとしている。

HIGH SPEED EXILIM EX-H15
EX-H15、 EX-Z2000、EX-Z550のダイナミックフォトは、背景も動くようになった

 プレミアムオートでは、従来通り撮影前にシーンを認識する。そのあとノイズ、カラーバランス、肌の表現、逆行補正、彩度などを自動的に調整する。例として、夕焼けを背景にしたポートレートでは、人物と背景を別々にピクセル単位でカラーバランスなどを調節する。

プレミアムオート専用ボタンを備えるプレミアムオートの撮影時画面
プレミアムオートの解説

 「EXILIM ZOOM EX-Z2000」は、広角26mmからの5倍ズームを搭載した薄型機。撮像素子は1,410万画素。価格は199ドル。液晶モニターは約46万ドットの3型。デザインをこれまでの同社製デジタルカメラから変更し、ボタン類も新たな配置となった。プレミアムオートも搭載する。

EXILIM ZOOM EX-Z2000
 カラーバリエーション

「同EX-Z550」は、EX-Z2000から液晶モニターを23万ドットの2.7型に変更するなどして価格を抑えたモデル。価格は169ドル。主な使用はEX-Z2000と同様で、プレミアムオートも搭載する。

EXILIM ZOOM EX-Z550
カラーバリエーション

 ブースには国内未発売のデジタルカメラ「EXILIM G」(EX-G1)も展示していた。米国では2009年12月から299.99ドルで発売している。国内での発売は未定。同社の腕時計「Gショック」を思わせる外観のコンパクトデジタルカメラ。防塵防滴、耐衝撃、耐寒機能などを有する。

EX-G1

【2010年1月12日】HIGH SPEED EXILIM EX-FH100の液晶モニタードット数について、約23万ドットと記載しましたが、正しくは46万ドットです。お詫びして訂正いたします。

 



(本誌:武石修)

2010/1/9 21:29