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キヤノン、「EOS 7D」の発表会を開催

〜愛称は「イメージモンスター」。ハイアマ層を狙う

 キヤノンは1日、新型デジタル一眼レフカメラ「EOS 7D」および新レンズなどの発表会を東京・品川のキヤノンSタワーで開催した。

EOS 7D キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏(右)とキヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部 本部長の真栄田雅也氏(左)
発表会場の様子

 発表したのは、いずれも10月2日発売のデジタル一眼レフカメラ「EOS 7D」および、交換レンズ「EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM」、「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS」、「EF 100mm F2.8 L Macro IS USM」など。製品個別の詳細は記事末の関連リンクを参照されたい。

高度なハイアマチュアのニーズに応える

 発表会の冒頭、キヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏が、国内でのデジタル一眼レフカメラ戦略について話した。

 始めに、「厳しい経済状況はキヤノンも例外ではない。事業領域のうちビジネスや産業機器分野は落ち込みが大きい。だが、コンスーマー機器は比較的堅調に推移している。その意味で、コンスーマー機器には大きな期待をしている」と事業を取り巻く環境について触れた。また、「経済は最悪期を脱したとの報道もあり、回復基調で進めばうれしいが楽観は許されない。緊張感を持って行かなければならない」と話した。

 その上で、「カメラはキヤノン発祥の事業であり思い入れも大きい。この分野で停滞することは絶対にあってはならない」と意気込みを見せた。

デジタルカメラの国内規模とシェア デジタルフォトナンバーワンをアピール
デジタル一眼レフカメラの国内市場 EOS Kiss X3のヒットで累計シェアトップなった

 国内のデジタルカメラ市場については、2008年の実績が1,118万台と過去最高を記録。2009年は1,020万台を予想。「経済状況から前年比マイナスになってはいるが、市場の拡大は続いている」と分析。コンパクトデジタルカメラとデジタル一眼レフカメラを合わせたキヤノンのシェアは2008年まで5年連続で1位。2009年はシェア21%で6年連続のシェアトップを狙うとしている。川崎氏は、「しかし、シェアだけを追い求めるのではなく品質を始めとした顧客満足でもナンバーワンを獲る」と宣言した。

 国内のデジタル一眼レフカメラ市場は、2008年は125万台だった。「一眼レフカメラが過去最高だった1980年の128万台を抜くかと思っていたが、経済環境で足踏みを余儀なくされた。現時点では前年割れだが、最終的には昨年並またはいくらか上回るだろう。今日の新製品を起爆剤にして市場の活性化を図りたい」とした。

エントリークラスのシェア推移 ミドルハイクラスのシェア推移

 同社デジタル一眼レフカメラのラインナップのうち「EOS Kiss」シリーズに関しては国内シェア50%超。「家電メーカーも参入しているが『Kiss』ブランドは盤石。デジタル一眼レフカメラの裾野を広げた」と自負する。加えて、ミドルハイクラスは「EOS 50D」や「同40D」、さらに「EOS 5D Mark II」のヒットでシェアを拡大した。プロ向けも「EOS-1D」シリーズでシェアを築いているが、川崎氏によるとそれらだけでは本当の市場活性化は難しいが、EOS 7Dによってより高度なカメラを求めるハイアマチュアのニーズに応えられるとのこと。

 キヤノンではEOS 7Dを「APS-Cセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラの最高峰」と位置づけており、「APS-Cクラスのデジタル一眼レフカメラで、EOS 7Dほどの性能があるカメラはどこにもない。市場拡大の決定版になる」(川崎氏)と性能に自信を見せた。

五感に訴える質感を持たせた

 続いてキヤノン取締役イメージコミュニケーション事業本部 本部長の真栄田雅也氏がEOS 7Dの解説を行なった。

 EOS 7Dについては、「どのようなカメラをユーザーに提供するべきかを考えたときに、ハイアマチュアユーザーに満足して貰えるカメラを作ろうという結論になった。開発、企画、販売の各部門が一体となった『ミッドレンジプロジェクト』を作り推進した。機能、操作性、デザインのほか五感に訴える質感も含めて検討していった」という。

・EOS 7D

記録メディアはCF バッテリーはEOS 5D Mark IIと同じ

 画質についても、「高画質はデジタル一眼レフカメラの命。新開発の有効1,800万画素CMOSセンサーによる圧倒的な情報量で、肉眼では捉え切れないディテールまで捉えることができる。感度も常用ISO6400を実現した。AFも上級のプロ機から多くの部分を取り入れた」と話す。ファインダーの視野率は約100%を実現。「ミドルハイクラスのユーザーが強く望んでいるファインダー性能は欠かすことができない」(真栄田氏)とした。

有効1,800万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーを搭載した メイン基板。DIGIC4が2つ見える
常用ISO6400に対応 デュアルDIGIC4により8コマ/秒の連写を実現
測距ユニット 測距センサー
AFポイントは19点 63分割デュアルレイヤー測光センサーを採用。2層構造で精度を向上させた
視野率約100%を実現したガラスペンタプリズム ファインダーユニットの構成
ファインダーユニットの模式図 倍率も1倍になった
シャッターユニット 各部を見直し、シャッター音にもこだわったという

 なお、動画について24fps(フルHD時)を追加したのは映像制作分野から強い要望があったため。また60fps(720pおよびSD時)の追加は、より滑らかな動画再生を提供するためとしている。これまで、「30fpsでもカクカクする」という声もあったとのこと。また、60fps搭載については早回し撮影(オーバークランク)によるスローモーション効果の点で、より早いフレームレートが要求されていたためとしている。なお、25fpsと50fpsはPAL圏向けのフレームレートだ。

 音声のサンプリングレートがEOS 5D Mark IIなどの44.1kHzから48kHzに変更した理由は、映像と音声の相性がよりよくなるためと説明していた。48kHzの方が、編集など後工程で有利になるとしている。

 今回の24fpsや60fpsはデュアルDIGIC4によるものではなく、シングルのDIGIC4でも処理可能という。既存の動画搭載機である「EOS Kiss X3」や「EOS 5D Mark II」では、センサーからの読出し速度が追いつけるかという点で60fpsに対応可能かは不明とのこと。よって、現時点では24fpsや60fpsといった撮影モードを既存の動画機能搭載EOSへファームウェアアップデートで対応させるかは、未定となっている。

 動画機能でズームやAFなどレンズ側に使いにくい点があるとの指摘には、「EOS 5D Mark IIで世界中から我々が思う以上に評価され、幅広い業界から多くのフィードバックを頂いている。EOSの動画システムは、まさに今からやっていくんだという状況。端緒についたところといえる。これからもご意見を頂戴していきたい」(真栄田氏)とした。

ボディ外装は金属 背面
上面 使いやすさを追求した「超流体デザイン」を取り入れた
各部の操作感も高めた EOSシリーズ初の電子水準器を搭載。2軸に対応する
動画記録設定は専用のタブに表示される フルHDで24fpsに対応した。
動画の撮影画面
EOSシリーズの動画機能は「EOSムービー」として、映像業界にも訴求していく EOS 7Dで撮影した動画も上映していた

 同社デジタル一眼レフカメラのラインナップについては、「ワールドワイドでは、これまで価格の部分で抜けがあった。EOS 7Dでミドルクラスのラインナップが完成したと考えている。このラインナップを正常進化させていけば、ユーザーに満足して貰えると思う」(真栄田氏)と説明。

 EOS 5D Mark IIよりも低価格な35mmフルサイズセンサー搭載機の登場については明言を避けた真栄田氏。当面、ミドルクラスは現状のラインナップを維持させていくという。一方で、ある特定の部分をスペシャライズドしたようなカメラは、コンセプトモデルとして色々と検討しているとのこと。また、ソニーが実用化した裏面照射型CMOSセンサーに関しては、「ソニーさんの提案はおもしろいと思っている」と興味を示した。キヤノンにおける裏面照射型CMOSセンサー開発については、別な事業部の話になるとしてノーコメントだった。

 ユーザーの高年齢化もあるので、小型軽量カメラといった方向もあるのでは? との質問には、「将来のバリエーションの1つとして検討テーマになっている。ただ、現時点ではミドルクラスの基本的な部分を埋めさせていただいた。今回のEOS 7Dは堅牢感、高級感を前提としたベーシックな商品として投入した」とのこと。

世界における月別の出荷台数

 ミドルクラスでニコンの存在感が大きかった理由については、「ミドルハイクラスのうち普及価格機のボリュームが大きく、後塵を拝していた部分はあった。EOS 7DはややアッパークラスだがEOS 50Dと合わせてトップシェアを獲りたい」(川崎氏)と答えた。

 月別の世界出荷では、年初から大きな前年割れが続いた2009年だったが、第2四半期以降は順調に回復見せ、CIPAの予測では2009年は対前年+6.8%まで伸びが期待されている。真栄田氏によると全世界での販売台数は400万台程度になる見込みという。

 クリスマス商戦の手応えはまだ十分見えないとしているが、デジタルカメラ市場は差こそあれ、どのマーケットも緩やかに成長しているという。「各国の年末商戦には期待しているが、ぎりぎりまで見極めてマーケットに即応したい。前年並か前年プラス程度になるのではないか」(真栄田氏)。国別の現状では中国市場はそれなりに良いが、米国はまだ弱いとのこと。

・EF-S 15-85mm F3.5-5.6 IS USM

・EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS

・EF 100mm F2.8 L Macro IS USM

EF 100mm F2.8 L Macro IS USMで初めて採用した「ハイブリッドIS」では、新たに加速度センサーを加えることでシフトブレを低減した 撮影倍率が増えるほどシフトブレが増大する

・BG-E7(専用バッテリーグリップ)

・WFT-E5B(ワイヤレストランスミッター)

後世まで語り継がれるカメラに

 キヤノンマーケティングジャパン常務取締役コンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏からは新製品の国内マーケティング戦略の説明があった。

キヤノンマーケティングジャパン常務取締役コンスーマーイメージングカンパニープレジデントの佐々木統氏 EOS 7Dは「イメージモンスター」の愛称で訴求する

 EOS 7Dのキャッチコピーは「IMAGE MONSTER」(イメージモンスター)。佐々木氏はEOS 7Dを、「非常に高い次元の製品」とアピール。「20年以上前に『T90』という名機があり、画期的な操作性やデザインで評価が高かった。当時、“タンク”という愛称で展開していた。EOS 7Dもイメージモンスターとして後々まで語り継がれるようになって欲しい」(佐々木)と述べた。

 「ハイアマチュアの撮影機材に対するこだわりは大変高いものだと理解している。画質だけでなく、AF、液晶モニター、ファインダー、シャッター、耐久性、持ったときのフィーリングなどだ。EOS 7Dは、そうした要望に十分応えられる」とした。

 なお、EOS 7Dと新レンズをいち早く体験できる「EOS 7D&EF 100mm F2.8 LマクロIS USMスペシャルプレビュー」や、週末にEOS 7Dを借りて体験できる「EOS 7Dスペシャルトライアルキャンペーン」といったプロモーションを実施していく。

EOS 7Dで、ミドルクラスを充実させたラインナップが完成 ミドルハイクラスユーザーの要望
体験イベントも東京を皮切りに実施する 希望者に無償でEOS 7Dを貸し出す「EOS 7Dスペシャルトライアルキャンペーン」も行なう

 佐々木氏は最後に、「雲外蒼天」の言葉を引き合いに出し、「雲の向こうには青空があるんだと思い、ますます写真文化を盛り上げていかなければならない」と締めくくった。

広告宣伝スケジュール。9月はEOS Kiss X3を中心に、10月はEOS 7Dを中心にプロモーションを行なう 佐々木氏は、雲外蒼天の言葉を出して決意を新たにした
キヤノンフォトサークル会報誌の50周年を表紙で振り返る展示も

(本誌:武石修)

2009/9/1 22:50


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