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日本カメラ博物館の特別展「カメラ偉人伝」が開幕
銀板写真から写メールまで 体験用“レンズ解像力チャート"も設置
2016年7月12日 08:00
日本カメラ博物館は、特別展「カメラ偉人伝 写真・カメラ技術に貢献した人々」を7月12日から10月16日まで開催する。本稿ではその展示内容の一部を紹介する。
紀元前とも言われる「光が画像になることの発見」から、画像の記録方法、鮮明な画像を得られるレンズ、使いやすいカメラの開発など、誰でも写真を撮れるようになるまでの発展に貢献した“偉人"にフォーカスした特別展。
偉人の顔ぶれは、1719年に硝酸銀の感光性を証明したヨハン・ハインリヒ・シュルツェ(ドイツ)、1800年頃に塩化銀紙を使って撮影を試みたトーマス・ウェッジウッド(イギリス)から始まる。
レンズを持つ最初の“カメラ"は、レンズを通して写った風景を手でトレースするなど、絵画のための道具だった「カメラオブスクラ」。1825年にフランスのジョセフ・ニセフォール・ニエプスが、アスファルトの一種が光で硬化する性質を利用した「ヘリオグラフィ」をカメラオブスクラに組み合わせて作成した原板が、現存する世界最古の写真とされている。
1839年には、フランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが銀板写真を「ダゲレオタイプ」として発表。これをもってカメラと写真の歴史では「写真が実用化された」と言われている。露光時間はヘリオグラフィの8時間から10分程度になり、後に1〜2分にまで短縮される。
リチャード・リーチ・マドックス(イギリス)が発表したゼラチン乾板法(1871年)と、乾板のガラスを紙に換える特許を取得(1884年)したジョージ・イーストマン(アメリカ)がロールフィルムを製品化した時期は近い。この頃から工業化により感材の性能が安定してくる。ロールフィルムはやがて、素材を紙からセルロースに換えた透明のものが発明される。
1883年にセレンの起電力が発見され、1930年代から写真の分野に使われ始めた。1934年にはツァイス・イコンのハインツ・キュッペンベンダーがカメラに露出計を入れる特許を出願。彼が主導した「コンタックス」には導入されなかったが、「コンタフレックス」が世界初の露出計内蔵カメラとなった。
また、日本のカメラを「誰もが写真を楽しめるように」というテーマで集めたコーナーでは、自動露出を備えた手頃なカメラ「キヤノネット」(1961年)、のちにOMシリーズを手がける米谷美久氏が開発しハーフサイズブームを呼んだ低価格カメラ「オリンパスペン」や、世界で初めてカメラを搭載した携帯電話「シャープJ-SH04」(2000年)を開発した高尾慶二氏が紹介されている。
この誌面ではお伝えしきれない展示ボリュームのため、関心のある方は日本カメラ博物館を訪れていただきたい。
日本カメラ博物館の所在地は東京都千代田区一番町25番地 JCII一番町ビル 地下1階。入館料は一般300円、中学生以下無料。開館時間は10時〜17時。休館日は毎週月曜(祝日の場合は翌日)。夏休みには親子向けワークショップも企画されている。