【女性限定】やさしいストロボ1日倶楽部を体験

大型ストロボの楽しさを知ろう!

「やさしいストロボ1日倶楽部」とは、大型ストロボを使ってみたい人、人物写真のライティングを学びたい人向けの写真セミナー。顧問は写真家の鈴木さや香さんです。主催は株式会社写真弘社、株式会社セコニック。協力はEIZO株式会社、プロフォト株式会社。

6月20日(土)と21日(日)の午前と午後に全4回開催され、そのうち20日午後の部は“女子部員用”として女性限定講習が設けられました。

今回はその女性限定講習の様子をレポートします。

やわらかい光もかっこいい光も自由自在!

6月20日午後に開催された女性限定のストロボ倶楽部は、6名の方が参加されました。最初に大型ストロボ撮影には欠かせない露出計の使い方をセコニックの吉澤隆史さんから教えていただきました。

「露出計の役割は3つあります。1つめは現在の被写体にあたる光の明るさを数値として把握すること。カメラ任せにしないことで光を見る力が上がります。2つめは複数のライトのバランスを計り、光をつくる事。3つめはライティングの再現性、つまりライティングした時の露出を数値として記録しておくことで、また同じライティングを再現することができます。プロが自分でつくったライティングを再現できないと困りますよね」(吉澤さん)

露出計の役割と基本操作を説明するセコニックの吉澤隆史さん。
やさしいストロボ倶楽部で使用したセコニックの露出計「ライトマスタープロL-478D」。カラー液晶でタッチパネルを搭載します。

さや香顧問の作品を見ながら大型ストロボを使うとどのような写真が撮れるかを学び、ストロボの組み方によって写るイメージがどのように変わるかを学びました。

「ストロボで撮影すると硬い印象になるイメージがあるかもしれませんが、光をコントロールすれば自然光のようなやわらかい光をつくることもできます。ポートレート撮影なら、妙齢の女性の見せたくないシワを消したり、若い人の肌の透明感を引き立てたり、撮りたいイメージに合わせて光をコントロールすることで、自在にイメージつくることができます。撮りたいイメージに合わせて光をつくることがストロボ撮影の楽しさです。今日はその楽しさを体感してもらえればと思います」(さや香顧問)

やさしいストロボ倶楽部では、プロフォトのモノブロックストロボ「D1 Air」を中心に、ソフトボックスやオクタ(八角形のソフトボックス)などのアクセサリー類を活用しながら、光をコントロールしてイメージが変わることを体感します。また、希望者にはキヤノンEOS 5D Mark IIIの貸出もありました。

ストロボの種類

クリップオンタイプ

カメラのアクセサリーシューに付けるタイプのストロボ。乾電池を電力としてAC電源を必要としません。光量が大型ストロボに比べて弱いため、複数のストロボをシンクロさせて使用することが多い。

モノブロックタイプ

AC電源を必要とするものが多く、灯体とジェネレーターが一体化している。そのため持ち運びに便利、ロケなどに使用されることが多い。

ジェネレータータイプ

AC電源を必要とするものが多く、コンデンサー(蓄電器)が大型なので光量が強い。一つのジェネレーター(発電機)に複数の灯体をつけられ、それぞれに独立した調光ができるものが多い。スタジオで使用されることが多い。

ストロボ倶楽部で使用した機材その1。プロフォトのモノライトストロボ「D1 500 Air」。
ストロボ倶楽部で使用した機材その2。プロフォトのモノブロックストロボ「B1 500 AIRTTL」。
ストロボ倶楽部で使用した機材その3。プロフォトの八角形のソフトボックス オクタ。
ソフトボックスのオクタは、内部に反射性の高いシルバー加工を施し、2層のディフューザーで光を拡散させます。

大型ストロボ撮影ではカメラの設定を固定し、露出はストロボの調光でコントロールします。この日のカメラの設定は、マニュアルモード、絞りF8、シャッター速度1/125秒、ISO200、ホワイトバランス5,200Kに固定して撮影しました。

露出計の数値からストロボを調光し、1灯から3灯までストロボの数を変えたり、ストロボの置き場所を変えて順光や逆光をつくったり、白レフや黒レフの効果を確認したり、さまざまなライティングを体験しました。

露出を計りたい被写体のすぐ側に露出計の白い半球状の部分を近づけて計ります。この数値を元にストロボの光量や位置を調整します。露出計と被写体の距離が離れていたり、半球部の角度が曲がっていたりすると正しい露出が計れません。
プロの現場では被写体の正面、明るい部分、暗い部分の露出だけでなく、背景やトップ光の露出、背後からの光の返りなど細かく測ります。プロカメラマンは、このときの露出の差で写るイメージがわかるそうです。今回はわかりやすく3か所の(1)正面の明るさ、(2)明るい部分の明るさ、(3)暗い部分の明るさを測りました。
プロフォトのAir Remoteトランシーバー。ホットシューに取付けるだけで、カメラとAir内蔵のすべてのストロボのワイヤレスシンクロができるようになります。
Air Remoteトランシーバーは、カメラメーカーを選ばず使えます。ほとんどの参加者がご自身の機材を使って撮影しました。
さやか顧問自らが被写体になって光による写り方の違いを学びました。このライティングは、1灯だけを使いかっこいいイメージで撮りました。
撮影終盤になると参加者も慣れてきて、ペアを組んでお互いを撮りあいました。写真のライティングは、メイン光を当てずにシャドーとグリッドだけを使って表現の幅を広げることを学んだときのものです。

最後にさやか顧問に参加者のプロフィール写真を撮ってもらう時間が設けられました。

「カメラマンのようにかっこよく」「ふんわり明るく女性らしいイメージで」「目線を外して」など、撮ってもらいたいイメージを伝えると、さや香顧問の中のイメージと要望のイメージとをかけ合わせてライティングを組んでいきます。ストロボの位置やレフ板の角度の調整、参加者とコミュニケーションを取りながら表情を引き出していく様子を見るのも勉強になったようです。

できあがったプロフィール写真は、2Lサイズにプリントして参加者にプレゼントされました。

「プロカメラマンのようにかっこよく撮影してほしいです」という要望で撮影しました。上手(カメラマンから見て右側)のメイン光はマグナムリフレクターを付け、下手から光を集約させて狭い範囲に照射するグリッドを一灯いれています。
撮影:鈴木さや香顧問。
「マグナムリフレクター」。マグナムリフレクターとは、標準のズームリフレクターと同じ光の広がりを維持したまま、1段分出力を高めます。滑らかで均一な光を最大出力で作り出したいときに用います。

「目線を外して上を向いている写真にしたいです」という要望で、月の光と夜空を撮っているようなイメージで撮影しました。下手の後ろからグリッドで強めに光を当てて、上手からグリッドで弱めに光を当ています。
撮影:鈴木さや香顧問。
「マグナムリフレクター用10°グリッド」。グリッドとは、光の拡散を抑えるのに簡単に使うことができるアクセサリーです。

ストロボ倶楽部に参加した方に感想を伺いました。

「本などで勉強して頭ではわかっていましたが、実際に色々な種類の大型ストロボを使って撮ってみる機会は初めてでした。非常に楽しく、大変勉強になりました。大型ストロボを使ったら今まで以上に写真が楽しくなりそうだと感じました」

「自然光でしか撮ったことがないので、露出計を初めて使いました。知らない世界を学ぶことは楽しいですね」

「カメラと被写体と背景の距離、ストロボを置く位置、ストロボの光量、レフ板の位置や角度など、実際に見ないとわからない事が学べてとても勉強になりました。また、参加したいです」

皆さん、普段使ったことのない大型ストロボ撮影を体験し、プロが光をつくる現場を間近に見ることができて大満足のご様子でした。

最後にさや香顧問にお話を伺いました。

「みなさん、すごく真剣にお話を聞いていただいて、“ライティングを勉強したい”という熱意が伝わり、講師のしがいがありました」

「ストロボ倶楽部は、“大型ストロボは難しそう”という敷居の高いイメージを下げたいと思い始めたセミナーです。機材を使ったことがない人でも気軽に楽しめる撮影体験から、ご自身で機材を組み立てて光をつくる体験など、回を重ねるごとにステップアップできる内容にしていく予定です。興味のある方は、ぜひ参加していただけるとうれしいです」

大型ストロボに興味のある方、プロの光のつくり方を間近に見たい方は、ぜひ参加してみてはいかがでしょうか。

やさしいストロボ倶楽部の顧問、鈴木さや香さん。東京造形大学で建築造形のデザイン科卒業。CM映像制作会社を経て、写真家山岸伸氏に師事。2012年2月独立。写真雑誌、CDジャケット、広告写真、動画撮影などを中心に活動だけでなく、ワークショップの講師を担当。子どもや赤ちゃんのポートレート撮影が得意。また、写真封筒の作家として活動もしています。

やさしいストロボ倶楽部で使用する機材で鈴木さんにご自身のプロフィール写真を撮影していただきました。上のプロフィール写真は「カメラと一緒にいい夢を見ている」というイメージのプロフィール写真にするため、メイン光にオクタ、後ろからグリット2灯を使って撮影しています。
(2015/7/3)
加藤マキ子(ツナ☆カメラ)
1981年生まれ。写真編集者。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。『光と色の写真の教科書 〜ふんわりフォトもこっくりフォトも思いのまま〜』『まりこ先生が教える やさしい写真の教室』などの企画・編集を担当。ときに、撮影や執筆も手掛けることも。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!