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難しい撮影でこそ実感!「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」の動体を追う性能
バスケットボール撮影セミナーでわかった最新レンズの実力
2026年8月5日 15:41
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/115mm/マニュアル露出(1/1,250秒、F2.8)/ISO 3200
ニコンが2026年4月に発売した「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」は、従来の「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S」からの大幅な軽量化とAF性能の向上などを施した大口径ズームレンズだ。
特に重量は旧モデルから約362gの軽量化を果たして1kgを切っており、ハンドリングが大きく向上した。またレンズコーティングにもメソアモルファスコートおよびアルネオコートを採用することで、逆光にもより強くなっている。
インプレス運営の写真SNS「GANREF」が7月25日(土)に開催した撮影イベント「注目製品レビュー ニコンZ8 & NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」では、事前に公募したGANREFユーザー12人を対象に、スポーツ写真の撮影体験を実施した。参加メンバーによるレビュー記事は下記のリンクから参照できる。
本記事では、イベント当日の模様をお伝えする。
強力なAF性能がスポーツ撮影をアシスト
今回のイベントは「スポーツ写真」が題材。関東学院大学男子バスケットボール部の協力を得て、同校の体育館で1日かけて撮影を行ない、セレクト、プリントを経て作品講評という流れだ。講師はフォトエージェンシー「アフロスポーツ」でスポーツ報道カメラマンとして活躍している松尾憲二郎さん。
使用する機材の組み合わせは、フルサイズミラーレスカメラ「Z8」と「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」。
撮影に先駆けて実施されたセミナーでは、「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」の特徴を挙げつつ、スポーツ撮影におけるテクニックやカメラ設定について解説が行われた。
松尾さんは「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」の発売以来、3カ月にわたり現場で実用してきた中で、最も魅力的な特徴として「ズーム中のAF追従性能」を挙げた。
本機ではAF駆動モーターとして「シルキースウィフトVCM(SSVCM)」を採用しており、旧モデルと比べて公称で約3.5倍の高速化と、静音性、AF精度の向上を実現している。
旧モデルではAF追従性能の関係で「できるだけズーム位置を動かさない」撮り方が必要な場面もあったというが、「NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II」ではそのような不自由はほとんどなく、ズーミングを伴うAFにもしっかり追従するようになったと実感を語っている。ただし、Z8側でもAFエリア設定を適切に行なう必要があるとした。
AF設定については、松尾さんの場合は動きの速いスポーツをメインの被写体としているため、ほとんどの撮影を3D-トラッキングで行なっているという。
3D-トラッキングは被写体の色や輝度などの特徴情報をもとにAFを追従し続けるAFエリアモード。最初に被写体を捕捉してしまえば、強力に追従できる点が特徴となる。
松尾さんによれば、これによって撮影者が得られる大きな利点は「フレームの中に被写体を入れ込み、構図を作り、追い続けることに集中できる」ことだと話した。今回の撮影対象となるバスケットボールでも、最初のフレーミングが最も高いハードルになる。3D-トラッキングでのフレーミングが難しい場合は、設定をいったん「ワイドエリアAF」に切り替えるのもひとつの手だという。
ちなみに3D-トラッキングでは被写体認識機能を設定できるが、松尾さんの撮り方では「人物」もしくは「オート」で問題ないとのことだ。
バスケットボール競技ならではの面白さ・難しさ
松尾さんはバスケットボールの試合を撮影するコツとして「何を撮るか」を明確に決めることが重要だと話した。その中で、いくつかの方針を決めることを勧めている。主な内容は下記の5つ。
- 特定の選手を追いかけてみる
- 試合に出ている全員をまんべんなく撮る
- 誰が写っているかが明確にわかるようにする
- ボールを持っている人を追いかける
- 試合展開を理解して追う
ここでは試合の中で目ざましい活躍をしている選手に注目したり、ハイライトになるプレー内容を狙うなどの方針が示された。
バスケットボールの場合は各ポジションで役割分担があるため選手によって動きが異なるので、複数の選手を追うことで異なる画作りに挑戦できることが面白いポイントだという。パス回しをはじめ素早い動きが連続するスポーツなので撮影難度は高いが、その分カメラのコントロール能力を試す良い機会にもなるとした。
バスケットボール撮影特有の難しさとしてはこのほか、上下運動の多さやAFを保持するか、手放すかの素早い判断が求められる点を挙げている。
松尾さんは撮影するうえで留意すべきポイントとして「結果的に何も残らない状況は避けるべき」との見解を示している。
攻めすぎてピントも構図も甘くなった結果「使える写真が1つもない」事態を避けるため、慣れないうちは引き気味に撮っておいて、慣れてきたら寄る撮り進め方を推奨している。狙いの成否をカメラのモニターで確認し、成功も失敗も受け入れながら、試合の中で起きたことと自分の行動を照らし、顧みて、次の撮影方針を柔軟に変えていくトライアンドエラーが上達の秘訣だとアドバイスした。
安全を意識しつつ撮影に集中
セミナー後は昼食を挟んで移動。撮影に入った。今回の撮影現場は真上から常時一定の照明がある体育館内。昼から夕方にかけて4時間ほど撮影した。
夏場であり夕方でも明るい季節だが、外光はほとんど影響しない。松尾さんによれば屋内スポーツ撮影としては標準的な環境ということで、目安となるカメラ設定として「シャッタースピード1/2,000秒」「ISO 6400」「絞り開放(今回はF2.8)」の基準が示された。
地明かりがほとんど変わらないため、ここから演出意図などを考慮してマニュアルで設定を変更するよう指示している。
試合はメンバーを入れ替えつつ、4クォーターの試合を2試合実施。場所の制約もあって選手との距離はかなり近く、常にボールが飛んでくる危険がある。確実に安全と言い切れる位置はほぼないため、参加者は「避ける」ことを最優先に細心の注意を払って撮影を行なっていた。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/200mm/マニュアル露出(1/1,600秒、F3.2)/ISO 4000
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/70mm/マニュアル露出(1/2,000秒、F2.8)/ISO 2000
今回は体育館上階のキャットウォークにも立ち入り可能で、俯瞰のアングルを選ぶこともできた。
途中、バッテリーを長持ちさせる設定について松尾さんが説明する場面もあった。ここではZ8のモニターモード設定を「ファインダー優先1」に切り替える方法を紹介していた。
その内容は「背面モニターには何も表示せず、ファインダーに顔を近づけたときにEVFを点灯する」もの(静止画撮影時)。ファインダーを覗き込むとき以外はEVF/背面モニターともに消灯しているため、電力消費が抑えられる。必要に応じてモニターをチルトさせると背面モニターが点灯する。
松尾さんのアドバイスを得ながら進む撮影。撮影者自身、手応えを感じる写真を撮れているようだ。選手とボールのバランスが良い写真や、動きや表情から迫力が感じられる作品が見られる。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/70mm/マニュアル露出(1/2,000秒、F2.8)/ISO 2000
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/115mm/マニュアル露出(1/1,250秒、F2.8)/ISO 3200
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/70mm/マニュアル露出(1/1,250秒、F3.2)/ISO 2200
試合間やメンバー交代を兼ねた休憩時間は、写真のセレクトに充てることが推奨された。プロの世界では休憩時間とは名ばかりのもの。参加者もそれに倣い、連写した中からのセレクトにいそしんでいた。
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/180mm/マニュアル露出(1/2,500秒、F2.8)/ISO 5500
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/70mm/マニュアル露出(1/1,600秒、F3.2)/ISO 4000
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/200mm/マニュアル露出(1/2,000秒、F2.8)/ISO 3600
作品をプリントして講評・鑑賞
撮影後は、セミナー会場に戻って最後のセレクトとプリントを行なう。これと決めた作品を1人1点選んでプリントし、松尾さんによる作品講評を受けるという流れだ。
「今日撮影したバスケットボールは撮影難度の高いスポーツです。しかし、参加された皆さんがそれぞれ狙いを持って撮影されたことが伝わってきます。もし今回の経験がスポーツ撮影に興味を持つきっかけになったなら、それはとてもありがたいことです」(松尾さん)
参加者へのインタビュー
イベントに参加いただいたGANREFメンバーのうち3名から、今回の感想をお聞きした。
tanakenさん
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/140mm/マニュアル露出(1/2,000秒、F2.8)/ISO 4000
松尾さんのアドバイスのうち特に役立ったのが、3D-トラッキングの使い方でした。そのおかげでAFはカメラに任せて、フレーミングに集中することができました。追従性能は、私がこれまで使ってきた機材と明らかに違います。何度もフォーカスし直さなくていい、任せてしまっていいんだ、という体験は収穫でした。
あとは何といってもレンズの軽さですね。ほぼ1日中持ち歩いて撮影していましたが、前モデルと比べて疲労感が全然違います。
北狸さん
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/150mm/マニュアル露出(1/1,250秒、F3.5)/ISO 6400
3D-トラッキングの有用性に気づけたことは大きかったですね。今後、動きものを撮影するときは積極的に使っていきたいと思いました。今まで技術的に難しかったことが、技術によって容易に実現できるようになりました。
それと、録画ボタンに拡大機能を割り当てられることを覚えました。これは便利ですね。
重量についても「360g軽くなったところで……」なんて思っていましたが、長時間持つとなると、数字の印象以上に感じますね。
梓さん
ニコン Z8/NIKKOR Z 70-200mm f/2.8 VR S II/70mm/マニュアル露出(1/2,500秒、F2.8)/ISO 5600
バスケットボールは選手の動きが速く、表情をうまく捉えたり、満足いく構図で撮るのが難しかったです。それだけに狙い通りに撮れたときは嬉しかったですね。使えば使うほど、3D-トラッキングの効果が実感できたと思います。
松尾さんのアドバイスにもあった「あえて引きの構図で撮っておく」という意識も役立ちました。
普段子どものスポーツ写真を撮ることも多いので、基準になるような設定を助言していただけたのはありがたかったですね。自分なりにアレンジして使っていきたいと思います。


























