トピック
ロングトレイルという新しい“撮影旅”のすすめ
山頂ではなく「歩いて出会う景色」を楽しもう
- 提供:
- 日本ロングトレイル協会
2026年7月31日 07:00
山を歩くと聞くと、多くの人は「頂上を目指す登山」をイメージするかもしれない。しかし今、もうひとつの歩き方として注目されているのが「ロングトレイル」だ。
ピークを目指すのではなく、自然の中に続く1本の「道」をゆっくりと辿っていく——トレイルによっては途中に観光地ならではの施設や飲食店もあり、自分の時間割で好きに歩くことができる。そんな旅のスタイルは、写真好きにとっても見逃せないフィールドだ。
今回は、八ヶ岳山麓に広がる「八ヶ岳山麓スーパートレイル」の一部を実際に歩き、カメラを片手に感じたその魅力をレポートする。
ロングトレイルとは?
登山道や自然歩道、時には国道・県道といった既存の道をつなぎ合わせ、数10〜数100kmにわたって歩き続けられるように整備された長距離の「歩く旅」のルートのことだ。日本ロングトレイル協会は、こうしたロングトレイルの普及と魅力発信に取り組む団体で、全国各地のトレイル情報や、後述するフォトコンテストの運営も行っている。
登山との大きな違いは、「頂上を目指すかどうか」にある。ロングトレイルは必ずしもピークハント(山頂を目指すこと)が目的ではなく、道そのものを歩くことが目的だ。そのぶん歩行中の視線は自然と水平方向に開け、刻一刻と移り変わる景色や、道端の草花、集落の風景といった「歩きながら出会う被写体」に目が向く。これはスナップ的な写真表現との相性がよく、山岳写真とはひと味違った撮影体験ができるジャンルと言える。
「数10〜数100km」と聞くと身構えてしまうかもしれないが、必ずしも一気に踏破する必要はない。多くのロングトレイルは区間(エリア)ごとに区切られており、気になる区間だけを選んで歩ける。——そんな「片道歩き」ができるのも、ロングトレイルの楽しみ方の1つだ。
実際に八ヶ岳山麓スーパートレイルを歩いてみた
八ヶ岳山麓スーパートレイルは、八ヶ岳山麓の豊かな自然を楽しんでもらうために設定された「歩く旅」のステージだ。登山道や自然歩道、国道・県道など既存の道を連続的につなぎ、総距離はおよそ200kmにおよぶ。エリアごとに区切られており、今回はそのうちの天女山〜美し森〜清里駅の区間を実際に歩いてみた。
訪れたのは7月上旬。麓ではすでに夏の気配が濃くなり始めていたが、標高1,500mを超える天女山周辺は、都心よりひと足遅れた初夏の空気に包まれていた。梅雨の晴れ間を狙えば、雨上がりの瑞々しい緑や、高原特有の澄んだ空気を活かした1枚が撮りやすい。
天気は曇りがちながら時々青空も望め、気温は高めでも湿度は低く、さわやかだった。「天女山」と大きく書かれた石碑の近くでは、山野草として人気のホタルブクロが釣り鐘状の花を咲かせていた。
八ヶ岳の裾野に広がる高原の道を進むと、美し森周辺で視界が大きく開ける。夏の澄んだ空気の下、黄色いニッコウキスゲが咲き誇っていた。八ヶ岳連峰は雲に隠れてしまったが、富士山はかすかに顔をのぞかせてくれた。
ベンチでヨガのポーズを取っていた若い女性から、笑顔で声をかけられた。「聞けば彼女は茨城県の筑波から来たそうで、これから1週間、八ヶ岳で仕事をするという。この辺りは初めてとのことで、おすすめの観光地や日帰り温泉を伝えて別れた。町中でこんな風に気軽に声をかけられることはそうそうない。山はやはり特別な場所だと改めて実感する。
美し森を下りて駅へ向かう途中、このあたりで一番の観光地・清泉寮に寄り道した。名物のソフトクリームを買い、牧場を望むテラスのベンチで一息つく。
スイスのシャレー(山小屋風リゾートホテル)を思わせる宿泊棟は、母校である立教大学との関係が深い。清里開拓の父と呼ばれるアメリカ人、ポール・ラッシュ博士の胸像やポートレートが目につく。戦前に立教大学で教鞭を執っていた縁で、そのお名前は何度も耳にしてきた。キープ協会・清泉寮でのセミナーも、今なお続いているという。せっかく清里に来たのだから、こういう寄り道も楽しい。歩くペースだからこそ気づけるディテールの多さが、このトレイルの魅力でもある。
やがて街中に入り、清里駅へ。すぐ隣の清里高原観光案内所「あおぞら」ではトレッキングシューズなどのレンタルもしていた。並びにあるピクニックバスの発着所には、ちょうどJR小海線で降り立った団体がバスに乗り込むところだった。
このバスを使えば、行きはバスで天女山まで入り、そこから清里駅まで歩く、といった組み立ても可能だ。途中で疲れても、ルート上からバスに乗り継いでゴールまで移動できる。体力や天候に合わせて距離を調整できる安心感があり、初心者や体力に自信のない人にも取り組みやすい区間と言えるだろう。
この後は少し時間があったので、野辺山方面へ移動。畑の中を歩いて、八ヶ岳の好展望台として知られる平沢峠へ向かった。
太平洋と日本海の分水嶺として知られ、飯盛山の登山口でもあるこの場所は、ちょうどニッコウキスゲの季節とあって多くの登山者で賑わっていた。野辺山駅への道すがら、野辺山宇宙電波観測所もある。45m電波望遠鏡までの見学コースがあり、観光もできるのが、ロングトレイルのよいところだ。
無理のない荷物量で挑もう
トレイルを歩くには、飲料や軽食、レインウェアなど街中とは違った装備が必要になる。それらを自分の肩で背負って歩くため、装備は軽いに越したことはなく、カメラ機材にも同じことが言える。
実際、トレイルでの撮影では、レンズ交換の手間を減らすためにズームレンズ1本で構成するなど、機動力と軽量化を意識した機材選びが重要になる。今回使用した機材はニコンZ7にNIKKOR Z 24-200mm f/4-6.3 VRで、三脚は持たなかった。もし途中で泊まりながらトレイルを歩く場合は、星空撮影のチャンスもあるので、軽めの三脚と明るいF値の超広角レンズも持参したい。
全国にあり、四季折々の写真が撮れる
ロングトレイルの魅力は、八ヶ岳山麓に限った話ではない。日本ロングトレイル協会が紹介するトレイルは全国各地に広がっており、エリアごとに異なる地形や植生、季節感を楽しむことができる。春は新緑と山野草、夏は涼を求めて歩ける高原ルート、秋は紅葉、冬は霧氷や雪景色——同じトレイルでも訪れる季節によってまったく違う表情を見せてくれるのも、繰り返し通いたくなる理由のひとつだ。
1度歩いたルートでも、季節を変えて再訪すれば新しい発見がある。近所の「定点観測フィールド」としてロングトレイルを撮影に取り入れるのも、ひとつの楽しみ方と言えるだろう。
フォトコンテストも開催中
日本ロングトレイル協会では、ジャパントレイルで撮影した写真を対象にしたフォトコンテストを実施している。また過去3年(2024年~2026年)まで遡って、1人3作品まで応募可能。応募期間は9月1日(火)〜11月30日(月)で、今回歩いたような春から夏にかけての1枚も、応募に向けてじっくり撮りためておきたいところだ。応募方法や詳細は公式ページで確認できる。
今回紹介した八ヶ岳山麓スーパートレイルはもちろん、お住まいの近くにもロングトレイルが見つかるかもしれない。ぜひこの機会に、歩く旅と写真を組み合わせた新しい撮影スタイルを楽しんでみてほしい。
コンテスト概要
コンテスト名
JAPAN TRAILフォトコンテスト2026
応募期間
2026年9月1日(火)~11月30日(月)
応募部門
- トレイル上の絶景部門(JAPAN TRAIL/JAPAN TRAIL plusおよびその周辺の景色・景観・風景)
- トレイルでのスナップ部門(対象ルートおよび周辺での思い出、出会い、または日清食品製品を楽しむ食シーン)
副賞(全部門共通)
・最優秀賞(1名):50万円
・優秀賞(2名):20万円
・佳作(2名):10万円
・日清食品賞(若干名):日清食品製品詰め合わせ
応募方法
写真共有サイト「GANREF」内の特設ページにある投稿フォームから応募
※投稿フォームは9月1日(火)に開設
特設ページ:https://ganref.jp/common/photo_contests/japantrail2026/






















