トピック
雨の瀬戸内、その空気まで写し止める旅――Itsuki Ariyoshi×ライカSL3-P
撮影に100%没頭できる信頼性に、可能性を広げる高速連写
- 提供:
- ライカカメラジャパン株式会社
2026年7月17日 09:53
デジタルカメラマガジンとデジカメ Watchの連動企画として、ライカから登場した最新フルサイズミラーレスカメラ「ライカSL3-P」についてのインタビューをお届けします。2002年生まれ、神戸大学在学中のItsuki Ariyoshiさんに、機材を手にして旅をした印象をお聞きしました。
Itsukiさんの写真の原点は、高校時代のニューヨーク1人旅や、大学時代の留学、アフリカ・ヨーロッパ巡りといった「旅」にあります。旅先の美しい光景をきれいに残したいという思いから、独学で写真とカメラを始めました。
旅をきっかけにライカを愛用するようになったItsukiさんが、最新の「ライカSL3-P」とともに雨の瀬戸内を巡って見出した表現の可能性と、撮影で得られた「新感覚」の核心に迫ります。
2002年生まれ、神戸大学在学中。
高校時代のニューヨーク一人旅や、大学時代のアフリカ・ヨーロッパ巡りといった「旅」を原点に、独学で写真表現を始める。栃木県にアトリエを構え、日本のみならず海外のランドスケープなどを撮影。旅の相棒としてライカを深く愛している。
※このページは『デジタルカメラマガジン2026年8月号』との連動企画です。
ライカという「透明な道具」
——Itsukiさんが普段の撮影時に何か意識されている技術的なアプローチや、マインドセットなどはありますか?
特に強く意識していることはないのですが、自分がパッと見て美しいと思ったものを、客観的に、脚色せずに「ありのままを素直に残したい」ということを、無意識のうちに大切にしているように思います。
——Itsukiさんの写真の原点は「旅」にあると伺いましたが、“ライカとの出会い”はどのようなものだったのでしょうか。
旅行に持って行きやすいコンパクトなカメラを探していたとき、雑誌やWebの記事でライカを知りました。まずプロダクトとしての佇まいに、他のカメラとは全く異なるものを感じて強く惹かれたのがきっかけです。
最初に「ライカQ」を使い、大学2年生のときにアフリカとヨーロッパを1人旅しました。これほど小さなカメラなのに、驚くほど階調や色の描写が美しいという点に衝撃を受けました。それからはM型ライカも複数機種を使ってきて、今は主に「ライカM10-P」と「ライカQ2」を愛用しています。
——Itsukiさんにとって、そこまでライカに深く惹かれ、使い続けている理由は何でしょう。写真と向き合う上で、ライカのどんなところに一番共感を覚えますか?
私は撮影しているときに、カメラの機能に自分の意識を邪魔されたくないという想いがあります。景色を見ているとき、カメラを介す部分が「なるべく透明であってほしい」と思うんです。
M型ライカはもちろん、QシリーズやSLシリーズも同様にUIがすごくシンプルで、撮ることに100%集中できるようになっているのが快適ですし、他のカメラを使ったときよりも撮影に没頭できている感覚があり、その点がとても好きです。
——今回、新製品である「ライカSL3-P」を初めて手にされたとき、どのような第一印象を抱かれましたか?
第一印象は、すごく違和感がなくて、「よく知っている感触だ」という安心感がありました。元々「ライカSL2-S」を使っていたこともあり、そこからブラッシュアップされているのも実感できましたし、QシリーズやM型ライカと同じようにUIがすごく整理されていて、マニュアルを全く読まなくてもすぐに直感的に手になじみました。
雨の瀬戸内、IP54の信頼が広げた表現
——今回のレビュー撮影では、瀬戸内を車で回られたそうですね。梅雨の時期と重なりましたが、雨天での撮影は機材への負担も大きく、精神的にも億劫になりがちです。「ライカSL3-P」の堅牢性はいかがでしたか?
今回の旅程の5日間すべてが雨だったのですが、雨の日ならではの面白い写真が撮れるのではないか、と期待していました。
「ライカSL3-P」は保護等級がIP54ですが、普段から愛用している「ライカQ2」(IP52)もかなり過酷な雨や砂漠などで酷使しています。それでも全然壊れなかったので、IP54ならもっと安心できるなと思っていました。
例えばM型ライカであれば「これだけ雨が降っているなら、撮影はやめておこう」と躊躇してしまうような場面でも、「ライカSL3-P」なら「この雨だからこそ、逆に面白いものが撮れるかもしれない」と、マインドを切り替えてポジティブな発想になれました。この意識の変化は自分の中でかなり大きかったです。
光、湿度、飾らないライカ特有の「色」
——実際の作品を見ていきたいと思います。こちらは薄暮の船着き場のシーンですね。
愛媛の宿の近くで撮影した1枚です。ずっと雨予報だったので、高速道路の移動中にこの美しい夕焼けが見えたときは急いで港まで向かいました。穏やかな波に、空のピンクやオレンジのグラデーションが本当に綺麗で、思わず夢中でシャッターを切っていました。
急いで撮ったためISO感度を高めに設定したのですが、ノイズが非常に少なくて驚きました。夕景の滑らかなグラデーションの表現力も素晴らしく、撮って出しの段階でここまで綺麗に写るのかと感動した記憶があります。
——こちらは森の中で、とても神秘的な光景ですね。
高知県の東部にある「伊尾木洞」という、両側に高い天然の壁があってコケもたくさんある、すごく神秘的な場所で撮影しました。雨がけっこう降っていたので、危なくない範囲で長靴を履いて、川に入りながらの撮影です。
ライカはやはり緑の色がすごく綺麗だなと思ったのと、ダイナミックレンジの広さだったり、自分にとってはライカの良さが詰まった写真だと思っています。
機内から撮った青空の青色もそうですが、ライカの青と緑はクリアで上品で、「ライカQ」を使っていた頃からずっと変わらない信頼を寄せています。
——暗い時間帯でも撮影されていますね。
手持ちで少し長めのシャッタースピードで撮ったのですが、手ブレ補正がある程度強力なのでこれぐらいいけるかなと思い撮影しました。1/5秒、ISO 400の手持ちでもブレていなくて、個人的に結構驚きました。肉眼での見た目は、この写真よりももう少し暗いシチュエーションでした。
——モノクロの描写も印象的です。
吊り橋の上から雨霧のかかった山を撮った写真です。ライカのモノクロ表現はすごくハッとさせられることが多いので、こういうグラデーションはモノクロに設定するとすごく際立つかなと思い撮影してみたら、やはり良かったです。
AFと約40コマ/秒連写の新体験
——「ライカSL3-P」は、AF精度と最高約40コマ/秒の高速連写も大きな進化点です。
今回の旅では不意に現れた電車を撮影したのですが、準備する時間もなく手持ち撮影だったため、正直に言えば最初はうまく撮れるか不安でした。しかしファインダーを覗けばAFに迷いはなく、完全にカメラを信頼してシャッターを切ることができました。
実際に約40コマ/秒の高速連写を試してみたところ、後から見返してもピントが外れているカットが1枚もありませんでした。連写した中から最適な瞬間を後から自由に選び取れるという感覚は、私にとってすごく新感覚であり、快感でした。この「ライカSL3-P」がここまで応えてくれるとなると、道具として本当に何ひとつ不満に感じることがありませんね。
「1台ですべてを表現できる」動画機としての魅力
——「ライカSL3-P」は最大8Kや4K120p記録、L-Logといった高い動画性能も備えています。Itsukiさんは普段、動画制作もされるのでしょうか?
趣味の範囲にはなりますが、普段からシネマカメラなども含めて色々なカメラで動画を撮影しています。今回、「ライカSL3-P」で4K120pのスローモーションやL-Logによる動画撮影をテストしてみましたが、シネマカメラと比べても機能的に遜色がないなと思いました。
L-Logもすごく色のりが良くて使いやすく、特に緑の色がすごく綺麗でした。動画機としても完成度が高くて、このカメラ1台だけでも色々なことができるなと感動しました。
新たな選択肢としての「ライカSL3-P」
——今回の体験を踏まえて、この「ライカSL3-P」をどのような写真家やユーザーにすすめたいですか?
大きく分けて2つのタイプの方におすすめしたいと思っています。
まずは、自分のように普段M型ライカを使っている人です。M型ライカユーザーにとって、このカメラはすごくスムーズに移行できる2台目の選択肢になると思います。ライカらしい写りや操作感をそのままに、AFやズームレンズ、チルト式背面モニターといった「現代的な自由」を味わうことができます。
もちろんそれぞれに良いところがあり、楽しみ方があると思うのですが、「ライカSL3-P」はM型ライカでは到達できない領域を補完して、そこへ連れて行ってくれるカメラだと思います。
——もう1つのタイプというのは?
これから初めてライカを使う方で、「このカメラ1台だけですべてをまとめたい」という人です。写真機としてはもちろん、動画機としても完成度が極めて高く、自分が触ってきた中で最もマルチに使えるカメラだと感じています。
「あえてライカ」を選ぶ
——近年、Itsukiさんのように若い世代にもライカユーザーが増えていると聞きました。
そうですね。同世代のライカユーザーと交流する機会もあります。やはり好きなブランドの話を近い世代と話せるというのは楽しいですし、写真にそんなに詳しくなくても、ライフスタイルの一部やデザインが好きで使っている人もいます。写真のみならず色々な領域の人と関わりやすい、関われるツールになっているというのはあると思います。
——現代はスマートフォンや手軽なコンパクトデジタルカメラが溢れている時代です。その中で、あえてライカを使って表現することにはどんな価値がありますか?
もちろん、スマートフォンでもとても綺麗な写真は撮れると思います。ただ個人的には、「何でもできる」ということと、「1つのことをする」ということを、道具として使い分けることも大事にしています。
色々なものに意識を分散してしまいがちなこの時代で、あえて機能を絞って、単一のことに集中させてくれる道具というのはある意味貴重なもので、ライカを構えるとそういう気分にさせてくれますし、私は今後も使い続けたいなと思っています。
——最後に、「ライカで作品を撮ってみたいけれど、まだ一歩を踏み出せない」と感じている同世代のクリエイターや読者の方へ、メッセージをお願いします。
私自身、以前はライカで撮ることに敷居の高さを感じていました。でも実際にライカを持ち、写真を撮ってみると、やっぱりすごく楽しいですし、撮れる写真も自分の中でかけがえのないものになります。
今という貴重な時間を、ちょっと良いカメラ、どこにでも持ち出せる自由度が高いカメラで収める体験というのは、すごくおすすめしたいです。敷居が高いというよりは本当に自由度が高いカメラだと思っているので、「ライカを使うという選択肢」もあるんじゃないかな、と思っています。
Itsukiさんの捉える光と影、そして雨に濡れた瀬戸内の空気感。それらは「ライカSL3-P」という絶対的な信頼のおける道具があったからこそ、臆せず写し止められたものでした。
デジタルが成熟した今だからこそ、あえて1つのことに集中させてくれるライカを相棒に選ぶ。「ライカSL3-P」がもたらす揺るぎない安心感と表現の自由は、すべての写真家を新たな創作の領域へ連れて行ってくれるはずです。
聞き手:宮本義朗(デジカメ Watch編集部)












