新製品レビュー
OLYMPUS STYLUS 1S(実写編)
小さなボディで幅広い画角が楽しめる!
Reported by 桃井一至(2015/1/8 12:00)
まずは前回のおさらいとして、主なスペックから。撮像センサーは1/1.7型。1/1.7型センサーは普及価格帯のコンパクト機と比較すれば恵まれているが、縦横サイズは約7.6×5.7mmとMicroSDカードにも満たない面積から描き出されている。ちなみにマイクロフォーサーズとの面積比では約5倍以上も開きがある。
描写力
外観はレンズ交換式カメラ風だが、35mm判換算28-300mm相当F2.8のレンズ一体型。10群12枚で特殊低分散ガラスや大偏肉正面非球面レンズ、高屈折レンズなどを使う、コンパクト機としてはかなり贅沢な仕様だ。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
画像をご覧いただくとわかるように、細部まで緻密で美しい描写を見せる。階調再現も滑らかで、一昔前のコンパクト機とは一線を画す。一般的にセンサーの面積は大きな方が画質に優位とされるが、これを見せつけられると1/1.7型センサーも「なかなかやるな!」と頬が緩む。
もちろん、拡大再生すれば、通常使用でまったく気にならない極細部のディテールや輪郭のくっきり感、ボケ再現などに、より大きなセンサーのモデルとの差異は見られるが、10倍超ズームのコンパクト機から描き出されたと思えば、文句のつけようもない。
接写ではスーパーマクロへ切り替えると、広角時のみになるがレンズ前5cmまで対応。28mm相当の広角から300mm相当の望遠、さらにデジタルテレコンで600mm相当が、厚さ52mm、400g強の手のひらサイズで楽しめるのだから、写りと利便性に味をしめたらやめられなくなるはずだ。
ISO感度
設定可能範囲はISO100~12800まで。自動制御のオートも備える。
夜景のような厳しいシーンでは、レンズ、センサー、画像処理の総合勝負がモノを言うが、ISO800~1600程度なら、低ノイズと解像の良好なバランスを見せる。ISO3200あたりから、ノイズが目立ち始めて、黒の締まりやディテール再現が見劣りしてくるようだ。
アートフィルター
搭載するアートフィルターは、ポップアート、ファンタジックフォーカス、デイドリーム、ライトトーン、ラフモノクローム、トイフォト、ジオラマ、クロスプロセス、ジェントルセピア、ドラマチックトーン、リーニュクレールの計11種類。残念ながらウォーターカラー、ヴィンテージ、パートカラーは非搭載だ。
写真に枠が付けられるフレーム効果など、エフェクトの追加も可能だ。
ピクチャーモード
色の風合いを変えられるピクチャーモードはi-Finish、VIVID、NATURAL、FLAT、PORTRAIT、モノトーンの6種類。さらにコントラスト、シャープネス、彩度、階調、効果など、好みに応じた味付けも可能としている。
ワイドコンバーター
別売オプションに新設されたワイドコンバーター「WCON-08X」は、28mm相当の画角から、22.4mm相当の超広角へと様変わりする。しかしながら本体サイズはやや大きく、質量もレンズ186g+アダプターと、ボディに対して重量がかさむ。本体メニューからの切り替えも必要だ。
動画
フルHD動画
インターバル動画
まとめ
一眼レフとコンパクト機の中間的な存在として、両者の良いとこ取りで誕生したのがミラーレス機ならば、本機は“ミラーレス機とコンパクト機の良いとこ取り”とでも言おうか。
OLYMPUS OM-D E-M10など同社の小型ミラーレス機とさほど変わらぬボディサイズに28-300mm相当の高倍率ズームを搭載。F2.8固定の大口径レンズに加えて、NDフィルターまでも内蔵する。
利便性を活かしつつ、ファインダーを覗きながら、ミラーレス風の撮影スタイルが楽しめるのが本機いちばんのウリだ。
描写も不足なく、AFも常用で不満を感じることはない。これならば、スタイルだけでなく、実践でも大いに活躍することだろう。
レンズ交換式カメラに憧れを持ちつつ、コンパクトカメラの利便性も捨てきれない方や、SNSも楽しみでいつでもカメラ欠かせない方。風景から花まで、旅行で手軽にきれいな写真を取りたい方などにうってつけの製品だ。