これまでは旅先や休日における使い方について紹介してきたが、高倍率ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6」とクリップオンストロボ「FL-36R」の購入を機に、E-PL1は日々の取材でも活躍している。今回はその2つのアイテムを用いた、私なりの試行錯誤を紹介したい。
E-PL1にM.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6とFL-36Rを装着したところ |
■コンパクトな高倍率ズームレンズ
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6は、E-PL1を取材カメラとするにあたり待ち望んでいた高倍率ズームレンズである。35mm判換算28-300mm相当の焦点距離をカバーし、動画対応を謳うAF駆動は標準ズームレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 L」より静かで高速だ。
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6 |
最大径63.5mmの鏡胴はバッグ内の収納場所に困らず、重さも260gと軽量。たとえば超広角ズームレンズの「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4-5.6」(155g)を機材に加えても759g(E-PL1+14-150mm+9-18mm)である。手ブレ補正をボディに任せるオリンパスならではの身軽さといえるだろう。
M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4-5.6の価格は大手量販店で実勢7万台前半と、E-PL1ダブルズームキットに迫る価格ではあったが、レンズはボディ以上に長く使えるだろうと考え購入に至った。
とはいえ、普段は標準ズームレンズのM.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 Lを装着していることがほとんどだ。どちらのレンズでも私にとって満足できる画質は得られるため、積極的に写真を撮る予定がない時は持ち運びのラクさを重視する。
■ペンにもお似合いのFL-36R
取材で使うクリップオンストロボはオリンパスの「FL-36R」(実売2万5,000円前後)を購入した。当初は最上位モデルの「FL-50R」を検討していたが、E-PL1とのバランスや、実売4万5,000円前後という価格を見てFL-36Rにした。
FL-50Rとの主な仕様面の違いは最大ガイドナンバー(FL-50RはGN50、FL-36RはGN36)や、FL-50Rが単3電池を4本必要とするのに対し、FL-36Rは2本で済む点(そのぶんチャージ時間は長くなるが)など。型番末尾の「R」は、オリンパス機独自の「RCフラッシュシステム」機能に対応していることを示す。E-PL1はペンシリーズで初めてRCフラッシュシステムに対応した機種だ。
FL-50R(左)とFL-36R(右) | E-PL1を使用したワイヤレス多灯撮影のイメージ |
購入後に気づいたことだが、FL-36RとFL-50Rでは、発光部を動かす際の使い勝手が異なる。FL-50Rは側面のボタン1つで上下方向と左右方向のロックが一度に解除されるが、FL-36Rでは上下方向と左右方向のロックボタンが独立しているのだ。回転方向のロック解除ボタンはサイズも小さめ。
私の使い方において横方向のロックは必要ないので、煩わしさ軽減のため解除ボタンの隙間に錠剤シートの切れ端をはさんで、横方向のロックが機能しないように細工した。試される場合は自己責任でお願いしたい。
ロック解除ボタンに錠剤シートをはさんだ | 見た目のサイズ感は小型のデジタル一眼レフカメラに近くなる |
■「マイモード」ボタンを活用
取材現場において登壇者とプレゼンテーション画面を交互に撮影するような場合、その都度ストロボの設定変更を行なうのが億劫だった。そこで、「マイモード」機能をボタンに割り当てて使用する方法を思いついた。
マイモード機能をボタンに割り当てると、設定したボタンを押しっぱなしにしている間はあらかじめ保存した撮影設定(撮影モード、露出など)に固定される。マイモードにストロボ発光禁止とそれに合うシャッタースピードやISO感度を設定しておけば、ワンプッシュで即座に設定を切り替えることができる。私は右手の親指で押しやすい動画ボタンに割り付けた。
背面右上の動画ボタンに割り当てた |
おかげで、メモを取りながら片手でカメラを持ち上げ、動画ボタンを押しながらプレゼンテーション画面を片手撮りし、カメラを机に置くという流れがスムーズになった。ストロボ撮影時は、動画ボタンを押さずにただシャッターボタンを押せばいいのである。
■EVFと外部ストロボを併用
ここまできたところで、電子ビューファインダーの「VF-2」も併用したくなった。片手撮り時に顔でもカメラを支えられるため、より安定するだろうという狙いだ。
クリップオンストロボとVF-2はいずれもE-PL1のホットシューに取り付けるアクセサリーのため、同時使用はできない。しかし、前述したRCフラッシュシステムを利用すればその限りではない。ストロボをホットシューから外してワイヤレス発光させれば、ホットシューおよびアクセサリーシューが空くという寸法である。
これはオリンパス・ペンシリーズにおいて今のところE-PL1でしか使えない力技だ。ストロボは量販店で見かけるLEDライト用のブラケットでカメラの横に固定してみることにした。ちなみにオリンパス純正のブラケット「FL-BK04」を選択しなかったのは、デジタル一眼レフカメラ向けで重そうだったのと、実験段階で購入するには高価(実売2万円前後)だったため。
完成図 | 購入したLEDライト用ブラケット2品。奥がLPLの「UB-90」、手前がエツミの「ストレートブラケット」(E-194) |
早速社外品のLEDライト用ブラケットを買ってきたものの、そこからが大変だった。最初に購入したLPLのユニバーサルブラケット「UB-90」(実売920円)は長さがE-PL1に適していたものの、アクセサリーシューの向きを固定するネジにワッシャーがなく、固定や調整が難しかった。
また、次に購入したエツミの「ストレートブラケット(E-194)」(実売735円)は、アクセサリーシューの幅がFL-36Rと合わず装着を断念。結果、エツミのブラケットに付いていたワッシャーを拝借し、LPLのブラケットに取り付けた。
このように試行錯誤したものの、結局のところは「重量バランスが悪い」、「RCモードに切り替えるのが手間」(ライブコントロールが使えなくなる)などの不満点から、積極的に使おうと思えずお蔵入りになった。そもそも機材がかさばるため、E-PL1購入当初の「身軽な取材カメラ」という目的がどこかに行ってしまっていたのだ。
描いていた使用イメージ |
■「やろうと思えばできる」の魅力
以上のようにEVFとストロボの同時使用を試してみて、やはりマイクロフォーサーズ機は割り切ってコンパクトに楽しむカメラと再認識した。外部アクセサリーなどで欲張ると、結局のところは「ならデジイチでいいじゃん」となるのである。
とはいえ、アイデア次第でいろいろな使い方を試せる点もまた、私がE-PL1に感じている魅力のひとつである。今後もこの小さなボディが持つ可能性を探ってみたい。
最近お気に入りのストラップはユリシーズの「クラシコ ピッコロ」(5,985円)。たまに用もなく手触りを楽しむ |
2010/11/12 00:00