ソニー「LCS-EME」

〜ボディバッグ風のミラーレス向けカメラバッグ

 ミラーレスカメラの普及が進む一方で、いまひとつ盛り上がりに欠けるのが、ミラーレスカメラ向けのカメラバッグだ。ミラーレスカメラはボディが小さく、交換レンズも数多く持ち歩かない。そのため、通常のバッグに収まるからだろう。それでも2011年以降、いくつかのカメラバッグブランドからは、ミラーレスカメラ向けを謳う製品が出てきている。レンズを交換しないなら一般的なバッグに突っ込んでおけば良いが、交換レンズをいくつか持ち歩くとなると、やはりこうしたカメラバッグが便利だ。

LCS-EMEの使用例。写真はブラウン。他にブラックも

 今回紹介するソニーのLCS-EMEもそのひとつ。特徴は、いままでありそうでなかったボディバッグ風のデザインを採用したことだろう。筆者も以前からミラーレスカメラの持ち歩き用として、ボディバッグの利用を考えていた。しかし実際に汎用のボディバッグを試してみると、カメラバッグとしてはひまひとつ使い勝手が良くない。特に交換レンズの収納や着脱の不便さには閉口した。ボディ+標準ズームレンズ、あるいはボディ+パンケーキレンズだけなら問題ないが、もう1本レンズがあると内部でごちゃごちゃになってしまう。複数の気室を持つボディバッグもあるが、今度はひとつひとつの気室が小さすぎて、サイズがあわない。根気よく探せばしっくりくるものが見つかるのだろうが……

 そこへくるとLCS-EMEはカメラバッグだけに、メインコンパートメントに中仕切りを装備。通常のカメラバッグと同様、機材を仕分けられる。ベルクロ式で位置の調整も可能だ。

E 18-55mm F3.5-5.6 OSSを装着したNEX-5がスムーズに出し入れできた。左手で握っているのがE 55-210mm F4.5-6.3 OSS前面ポケットにはアクセサリー類や携帯電話などをいれておける

 また、バッグのサイズも絶妙で、縦方向はE 18-55mm F3.5-5.6 OSSを装着したNEX-5を収めることができる。その左右には交換レンズを収納可能。「さすがに無理かな」と思っていたE 55-210mm F4.5-6.3 OSSも、フードを逆さまにつけた状態で縦に収納できた。さすが純正メーカーがデザインしただけのことはある。

 機材を取り出す際は、ワンショルダータイプのカメラバッグと同様、ぐるっと前に回してファスナーを開ける。ベルトの形状や位置からして、左肩にかけたバッグを左手で手前に回し、右手でファスナーを開けるのが自然だろう。普段使っているロープロのワンショルダーバッグと同じなのですぐなじんだ。

こちらはブラックベルトのバックル

 開口部は横に長く、NEX程度の大きさのボディならスムーズに取り出せる。ファスナーの引き手が大きめなのも好印象だ。ベルトを引っ張るだけで締まる「クイックフィット機構」の操作性も良い。

 前面のポケットも利便性が高い。新書が入るぐらいの高さで奥行きも結構あり、ストロボなどアクセサリー類が楽に収納できる。ポケット内部に薄手のポケットがさらに設けられているので、記録メディアやスマートフォンなどを入れておくのも良いだろう。背中側に仕込まれたパッドも、背中に当たる機材の感触を和らげてくれる。

 ボディバッグとしては大きめで、人によっては少し野暮ったい見た目に感じるかもしれないが、使い勝手はなかなかのもの。ミラーレスカメラという新しいシステムのことをよく考えたカメラバッグといえる。サイズ面で、特にNEXユーザーにおすすめだ。





本誌:折本幸治

2012/1/25 00:00