データカラー「スパイダーキューブ」

立体チャートで正しい色再現を

SpyderCUBE

　カラーマネージメントツールでお馴染みのソリューションシステムズから、米データカラーのSpyderCUBE（スパイダーキューブ、8,900円)が発売された。今までのSpyderシリーズは、モニターやプリンターなどのキャリブレーション用だったが、SpyderCUBEは画像の露出や色調整用のツールだ。

　大きさは公表されていないが、約3.7cm四方の立方体だ。そのうちひとつの面には穴が開いていて、その下に三脚穴、上部には銀色のボールと吊りひもが付いている。色は吊りひもがついた上から、グレー、ホワイト、ブラック。SpyderCUBEは色調整用チャートのひとつということがわかるだろう。

　これまでのチャートは、平面が普通。チャートを写し込んだ画像を作っておき、RAW現像時にソフトのスポイトツールで、チャートのグレーやホワイトの部分を測り、ホワイトバランスやカラーバランスを整えていた。SpyderCUBEも同様にホワイトバランスやカラーバランスを整えるためのツールだが、立方体なのが特徴となっている。被写体は通常、立体であることが多い。より正確なカラーバランスが得られるように、チャートも立体化し、光源状態に応じたコントロールを可能にしたものだ。


正面。上からクロマボール、グレーフェース、ホワイトフェース、ブラックフェース	背面	右側面


左側面	上面	底面

　グレー部分は標準反射率の18%。ここをRAW現像時にスポイトで測ることで、ホワイトバランスやカラーバランスが調整できる。ホワイトはハイライトのコントロール用。ブラックはシャドーのコントロール用だ。そしてブラックの面に開いている穴は、絶対ブラックを調整するためのもの。では、具体的にSpyderCUBEを使ってみよう。


クロマボールを見ると、光源がどの位置にあるのかがわかる。光の方向を知るのに便利だ	三脚穴があるので、三脚に固定して使用することもできる

最初に、被写体と一緒にSpyderCUBEを入れて撮影する。カメラ記録モードはRAWに設定。光源はクール色の蛍光灯。ホワイトバランスはオート

　まずは、被写体の前や横にCpyderCUBEを置く。光の当たり方がメインの被写体と同じになるように設置するのがポイントだ。次にSpyderCUBEを置いたまま被写体を撮影する。なおカメラの記録モードは必ずRAWにすること。もし被写体の前や横にSpyderCUBEを置くことができなければ、三脚に装着したり、ひもで吊り下げる。

　この時、SpyderCUBEに付いている銀色のボール（クロマボール）を見てみよう。商品撮影で照明の位置をチェックしたり、ポートレートで目に入れるキャッチライトの状態を見たり、どこから光が来ているのかが確認できる。そしてSpyderCUBEを外して本番撮影。以上で撮影は終了だ。

　次にPCでRAW現像ソフトを起ち上げ、SpyderCUBEを入れて撮影した画像を開く。グレーの部分(グレーフェース)をホワイトバランス用のスポイトツールでクリック。これで正確なホワイトバランスと色調が得られる。


SpyderCUBEを入れた画像と本番の撮影を終えたら、まずSpyderCUBEを入れた画像をRAW現像ソフトで開く。なおここでは、市川ソフトラボラトリーの汎用現像ソフト「SILKYPIX Developer Studio 3.0」を使用。オートホワイトバランスでは、やや赤っぽい色だ	グレーバランスツールでグレー部分をスポイト。これでホワイトバランスや色調が整えられる

赤っぽかった色調が補正され、自然な色になった

　続いて明るさの微調整。さらに絶対ブラックのR、G、Bの数値がすべて0になるように調整。ただし絶対ブラック周囲のブラック部分(ブラックフェース)まで数値が0にならないように注意する。これで明るさとコントラストの調整が終了だ。

　SpyderCUBEは、RAW現像時の調整ツールだ。調整されたSpyderCUBE入りの画像を現像するのではなく、調整されたパラメーターを一旦保存。そのパラメーターを本番画像に反映させる。これで本番撮影のデータもホワイトバランスや明るさが整った状態になる。その後TIFFやJPEGに現像し、完成だ。


ヒストグラムを見ながら、明るさを微調整	コントラストで黒レベルを調整する


SpyderCUBEのブラックフェースにある穴部分が、絶対ブラック（R、G、Bの数値がすべて0）になるように調整	調製が終わったら、パラメーターを保存。そして本番用の画像に、保存したパラメーターを貼り付ける