写真展

写真展「石川竜一 okinawan portraits 2012-2016」

(三菱地所アルティアム)

《okinawan portraits 2012-2016》 OP2.0006178 宜野湾, 2016 © Ryuichi Ishikawa

三菱地所アルティアムでは、沖縄出身で現在もっとも注目を集める気鋭の写真家、石川竜一の個展を開催します。

本展では、新作《okinawan portraits 2012-2016》を全国に先駆けて公開するほか、2015年に木村伊兵衛写真賞を受賞した代表作の《okinawan portraits 2010-2012》、《絶景のポリフォニー》も合わせて展示いたします。《okinawan portraits》シリーズの続編となる《okinawan portraits 2012-2016》では、人物、風景、建物など、身のまわりのものすべてをポートレート的な視点で撮影しています。被写体により多くを委ね、社会のなかの個人が写しとられたポートレート数十点で構成されます。

代表作の《okinawan portraits2010-2012》は、2010年から3年間、沖縄の各地(那覇/宜野湾/浦添/うるま/読谷村/北谷町/宮古島/南城/国頭村/豊見城)で撮影されました。森山大道に「一瞬、オレは石川竜一に嫉妬した」といわしめたこれらの写真は沖縄の島をバイクで駆け巡り、出会った人に声をかけて撮影したものです。本作は石川の生まれ育った沖縄を舞台に、観光では決して見ることのできない風景や人々の暮らしが切り取られています。ストリートで出会うひとりひとりと向き合い、いま目の前にいる人と状況を目を通して受け入れようとするポートレートは、観る者に強烈な印象を与えるでしょう。 これまで沖縄は、基地問題や民族的な歴史など、数多くの写真家の被写体となってきました。

石川による「沖縄」の写真は、そうした政治的な問題や地域性を写し込んでもいますが、あくまでもそれは石川の生活圏内に「見えた」景色であり、風景の一部として写し取られています。そうした日常に寄り添ったリアリティは「沖縄」という固有性を超えて、私たちに社会と人々の在り方、地方都市に生きる若者たちのフラストレーションや背景にある大きな問題について普遍的に問いかけてきます。

また代表作のひとつ《絶景のポリフォニー》は、2009~2014年にかけて沖縄で撮影された人物像と風景のイメージから成る写真シリーズです。写真集のステートメントで石川は「今そこにあるものを、できる限り受け入れること。『研ぎすます』や『無駄を削ぎ落とす』ということは技術的なことではなく、自分の経験や培ってきた概念をできる限り捨て、今この時と向き合うことだ。」と語ります。沖縄の土地を舞台に、写真を媒介にして自身とひたすらに対峙し続ける石川の真骨頂とも言える作品群です。

本展ではこれらの代表作に加え、2012〜2016年に沖縄で撮影した注目の新作《okinawan portraits2012-2016》を初公開いたします。作品が集うこの機会に、多くの皆様にご覧頂ければ幸いです。

「石川竜一 okinawan portraits 2012-2016」展覧会ページ

会場・スケジュールなど

  • ・会場:三菱地所アルティアム
  • ・住所:福岡県福岡市中央区天神1-7-11イムズ8F
  • ・会期:2016年9月3日(土)~9月25日(日)
  • ・時間:10時~20時
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:一般/400円、学生/300円、アルティアムカード会員・三菱地所グループCARD(イムズカード)会員無料(前売料金・団体料金は100円引き。高校生以下、障がい者等とその介護者1名は無料。)

アーティスト・トーク

日時:9月4日(日)14時30分~(90分程度)
会場:セミナールームA(イムズ10階)
定員:60名
料金:500円
申込:アルティアムまで要電話予約
聞き手:倉石信乃(写真評論家)

作者プロフィール

1984年沖縄県生まれ。2010年から写真家 勇崎哲史に師事。翌年、東松照明デジタル写真ワークショップに参加。2012年『okinawan portraits』で第35回写真新世紀佳作受賞。2014年、写真集『絶景のポリフォニー』『okinawan portrait 2010-2012』を赤々舎より刊行し、第40回木村伊兵衛写真賞受賞。2015年、日本写真協会賞新人賞受賞。主な個展に、2015年「zkop+」沖縄 コンテンポラリーアートセンター、2016年「考えたときには、もう目の前にはない」横浜市民ギャラリーあざみ野。主なグループ展に2014年「森山大道ポートフォリオレビュー展」(沖縄)、2016年「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」森美術館(東京)、「野生派 夜明けの不協和音」UTRECHT(東京)など。2016年9月に赤々舎より新刊『okinawan portraits 2012-2016』が出版予定。