デジタルカメラマガジン

没後30年・アイルトン・セナ メモリアルカレンダー2025

デザイナー福田氏が語る「インタビューから見つめ続けた30年」

2024年は偉大なF1ドライバー、アイルトン・セナの没後30年になります。インプレスではこれまで写真集「Ayrton」、2025年カレンダー、Tシャツ、写真展などさまざまな企画を行ってきました。そのすべてのディレクションをデザイナーの福田典嗣さんが行っています。

今回はその中の1つ「AYRTON SENNA CALENDAR 2025 Ayrton」(価格:2,640円)について福田さんにお伺いしました。

30年前、取材でアイルトン・セナに出会った

日本グランプリで来日していたセナ選手に、ブリヂストンの『POTENZA』というPR誌の取材でお会いしたことがあります。超多忙のセナ選手ではありましたが、1978年の世界カート選手権でブリヂストンタイヤを使用した縁もあり「20分間」を条件に取材に応じてくれたのです。

舞浜のホテルの会議室で待つこと30分……予定の時間は過ぎて「今回は無理かも」と諦めかけていたそのとき、突然やって来ました! アイルトン・セナです! 自分の目の前に! その瞬間から緊張と興奮でしばらく記憶がありません。気付けば、カート時代の思い出話に花が咲いて20分という約束を大幅に超えて話してくれていました。そして忘れられないのは、テレビや雑誌で見る表情とは全く違う、少年のような瞳をキラキラさせて思い出を語る彼の姿でした。

あれから30年です。その節目の年に熱田護氏の写真による写真集、カレンダー、Tシャツ、そして写真展のディレクションとデザインを担当させていただけたことに、とても感謝しています。

写真集のようなカレンダー

今回は、カレンダー制作について少し解説したいと思います。仕様はA3見開き(展開時600×380mm)ということで、見開いた状態で「縦位置」になります。「横位置」が多いモータースポーツ写真でポスターのように全面写真を配置するレイアウトは難しくなります。そこで、写真集や雑誌などをレイアウトする感覚でやってみることにしました。

まず、日付部分(玉組)のデザインはシンプルで視認性の良い既存フォントを用い、カレンダーとしての機能性は持たせつつ、ホワイトスペース(間)を大切にしました。配置する写真のリズムを崩さないように心がけました。

3月と5月は特別な配慮を

写真選びについては、彼の誕生月である3月には「笑顔」を、最後となったサンマリノGPが開催された5月には「最後のグリッド」を。この2点を核として、そこから展開していきました。走りや表情などのバランスをとりつつ、大小の写真でリズムをつけ、熱田護氏とも相談しながら決定しました。

3月
5月

これまで何度も熱田氏のセナ選手の写真を使い作品作りに携わってきましたが、毎回新たな発見があります。そして僕の心には、いつもあのときの姿がよみがえります。