ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11 宍戸清孝(新宿ニコンサロン)



3月11日、故郷の海は牙を剥いた。畑や田んぼはヘドロで埋まり、先祖伝来守り続けてきた墓や人々の生活を見守ってきた神社までも流され、見慣れた町は変わり果てた。
震災直後、土台だけ形見のように遺して、それまでの暮らしを一切さらわれた家の跡地を眺めながら、彼らが戻るべきHomeはどこにあるのだろうと暗澹とした思いにとらわれた。
しかし、時とともにその光景には小さな変化が現れた。被災地の至る所で、人形やランドセルなど大切な想い出の品々が集められていた。土台だけが遺された家に新しく植えられた庭木や津波のヘドロを被った広大な荒れ地のなかに小さな緑の畑を見つけた。
故郷の甚大な被害を前に、この震災をどう考えればいいのか、はっきりとした答えは出ていない。ただ、木が根を張ることで枝を伸ばしていけるように、人々は心のHomeを取り戻そうとすることで、明日への一歩を踏み出そうとしているように思えてならない。
カラー・モノクロ合計30〜40点。(写真展情報より)

  • 名称:ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11 宍戸清孝
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2012年3月20日〜2012年3月26日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休



(本誌:折本幸治)

2012/3/5 18:31