新宿ニコンサロン、矢内美春写真展「愛をさがしに」


 新宿ニコンサロンは、矢内美春写真展「愛をさがしに」を26日から開催する。

1991年6月、NHKの報道カメラマンをしていた作者の父は、長崎県雲仙普賢岳の火砕流で殉職した。当時作者は1歳だったので、父親がどんな人物かわからなかった。
父の不在について、作者はこれまで目を瞑ってきたが、昨年成人式を迎えたことをきっかけに、父を知るための旅に出る事にした。
昨年の夏、父が撮影したホームビデオを見つけた。ビデオには作者が1歳の誕生日を迎えるまでの日々が記録されていた。作者は、父が愛用していたフィルムカメラで、テレビ画面に映し出された当時の記録を、複写した。当時父が見ていた同じ光景を、ファインダーを通してみたいと思った。液晶画面を通してかつてあった出来事を見るという行為は、今まで想像していた父との距離感によく似ていた。
ホームビデオを複写したことは、他者によって作られた現実を、コピーで所有し自らの現実にしたいという気持ちで行った。まるで過去を追体験しているようだった。
今年は雲仙普賢岳の噴火から20年という節目の年でもある。本展には作者が現場を訪れた際に撮影した写真も織り交ぜた構成となっている。
作者は、ここから新たなスタートが切れるのだと思っている。モノクロ・カラー約50点。

(写真展情報より)

 作者によるギャラリートークを7月30日の13時~14時に開催する。

  • 名称:矢内美春写真展「愛をさがしに」
  • 会場:ニコンサロンbis新宿
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28階
  • 会期:2011年7月26日~2011年8月1日
  • 時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:武石修)

2011/7/11 13:56