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吉原かおり写真展「サヨナラと香辛料」

(大阪ニコンサロン)

作者は中学、高校と周囲の人間となじめず、学校に行かなかった時期がある。

それから5年後、小さな個室とそのとなりに共同スペースとしてキッチン、リビングルームなどがあったゲストハウス「カプセルアパート」に住むことになった。

たくさんの知らない人たちと同じ屋根の下に住んでいるということだけで、どこから来たのかも知らなかった人たちとの間で、居心地の良い距離感があったことを覚えている。

プライベートな場所である個室のなかで、写真を撮らせてもらった。そのことがその人をもっと知るためのひとつのアプローチになっていた。

写真の面白さと同時に人に興味を持ち始め、このことが内向きだった作者が外へと向かうきっかけとなった。

写真と人とが自身の世界を広げていく。

自分と何か共有できるものがあるかもしれないという思いから、今までは苦手だった同世代の人たちに声をかけるようになった。

「カプセルアパート」と同じように、部屋の物もその人自身であるかのように、写真を撮らせてもらうようになった。

しかし、写真があればどこかで通じ合えるという思いは思い込みでしかなく、自分に足りないものを満たしてくれるものでもなく、自己を投影するものでもなかった。

結局は写真を使い、他者を見ることで自分を知りたかったのだ。

作者は何が撮りたいというわけではなく、写真を撮る理由を探していた。ただ、写真を撮らないと前に進めない気がして、写真を撮り続けている。

人との出会いも別れも、そして写真も、作者にとっては人生のスパイスになっている。

カラー10点。

(写真展情報より)

  • 大阪ニコンサロン
  • 住所:大阪府大阪市北区梅田2-2-2ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13階
  • 会期:2013年7月25日〜2013年7月31日
  • 時間:10時30分〜18時30分(最終日は15時まで)
  • 休館:会期中無休

(本誌:折本幸治)