新宿ニコンサロン、山脇敏次写真展「Fishes in the pond」


(c)山脇敏次

 新宿ニコンサロンは、山脇敏次写真展「Fishes in the pond」を7月13日から26日にかけて開催する。

 池という限られた空間を遊泳する魚。それを光と影が織りなす一つの宇宙、無限空間として捉えた作品である。

 泳ぐ姿は、束縛なき自由……日常の営みをひっそりと淡々と続けている。静寂の中、池に小石を投げ入れると、さっと反転し、水紋はうたかたと消え、何事もなかったかの様に、無言(しじま)が戻る。

 人の場合、ある地点から別の地点に移動する時、時間の概念が生まれる。魚は遊泳することで移動はするが、水の中でのポイントは曖昧で、そこでは時間という概念は消失してしまう。そんな無時間性、有限の中の無限性を表現しようとしている。

 人から見れば、水を通して池の中は狭い世界に感じられるが、魚から見れば、水面の向こう側は不安や閉塞感、焦燥感に溢れた住みにくい世界に映るかもしれない。

 たわいない風景であるが、「たわい」を思慮と捉えると、思慮なきものから、無心であるが故の思慮を授けられたようでもある。モノクロ33点。(写真展情報より)

  • 名称:山脇敏次写真展「Fishes in the pond」
  • 会場:新宿ニコンサロン
  • 住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • 会期:2010年7月13日~7月26日
  • 時間:10時~19時(最終日16時まで)
  • 休館日:会期中無休

(本誌:鈴木誠)

2010/6/23 13:54