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環境配慮型登山の新拠点が東北・栗駒山麓に開設

環境配慮型アウトドア活動を推進するLeave No Trace Japan(以下LNT)は12月2日(月)、栗駒山麓ジオパークビジターセンターを東北エリアの拠点施設として選定したと発表した。6月に選ばれた長野県の「なべくら高原・森の家」に続く国内2例目となる。

栗駒山は東北の秋を代表する紅葉スポット。秋田・岩手・宮城の3県にまたがり、標高1,626mの山頂に向けて広がる鮮やかな紅葉は「神の絨毯」と称され、毎年9月末から10月中旬にかけて、全山がクリムゾンに染まる。その絶景を一目見ようと、多くの観光客や登山客が訪れる一方、いわかがみ平登山口での渋滞発生や、登山道の損傷など、自然環境への影響が深刻な課題となっていた。

LNTは米国発祥の環境倫理プログラムで、94カ国に広がる国際的な取り組み。原生自然から都市公園まで、あらゆる環境で実践できる7つの原則を掲げている。「事前の計画と準備」から始まり、「影響の少ない場所での活動」「ゴミの適切な処理」「見たものはそのままに」「最小限の焚き火の影響」「野生動物の尊重」「他のビジターへの配慮」まで、自然との共生のための具体的な指針を示している。

栗駒高原では2022年からLNTのスポットライトプログラムを導入。環境配慮型の登山方法を紹介する動画制作や、環境意識調査などを実施してきた。その結果、地域におけるLNTの認知度は2022年の3%から2023年には33%まで上昇。

日本でのLNT活動は設立からわずか3年で会員数1,000名を目前に控えており、急速な広がりを見せている。新拠点となる栗駒山麓ジオパークビジターセンターでは、今後LNT本部と連携しながら、東北エリアでの環境教育プログラムの普及や指導者の育成支援に取り組む方針としている。

本誌:佐藤拓