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グッドデザイン・ベスト100に、「SIGMA fp」と「キヤノンEF-EOS Rアダプター」が選出

「2019年度グッドデザイン賞」の受賞結果が10月2日に発表された。ここではグッドデザイン・ベスト100(グッドデザイン金賞等特別賞候補)に選ばれた中から、スチルカメラ関連製品を取り上げる。

シグマ「SIGMA fp」

35mmフルサイズセンサーを搭載するミラーレスカメラ。本体そのものは最小限のパッケージングとしながら、シネマ用途なども見据えた拡張性を持たせた点が特徴。今秋発売予定とアナウンスされていたが、受賞ページには「発売予定 2019年11月」と記載されている。

SIGMA fp

デザインのポイント(引用)

1.様々な撮影スタイルの中核として、必要要素を凝縮し先鋭化させたコンパクトかつミニマルなボディ。
2.コンパクトボディで撮影機能を最大化するために、大型ヒートシンクを搭載し、放熱性を高めた。
3.fp特有のサイズ感や形状によって導かれる撮影スタイルを体現した専用アクセサリー群。

審査委員の評価(引用)

「そう、これが欲しかった!」という多くのカメラマン、映像作家の声が聞こえてきそうな、フルサイズミラーレスのカテゴリーに他社とは全くコンセプトの違うカメラが登場した。静止画、動画、スナップ、風景、ドローン、スポーツ、シネマ等々、多様化するカメラというプロダクトの構成を一旦バラバラにして、その最小公倍数を撮影システムのハブとみなし、小さな箱に結実させたような存在。そこから広がるあらゆる撮影スタイルへの展開を、多くの「撮りたい」と願う人々に容易にイメージさせる。取り外し式のストラップ金具や放熱のためのヒートシンクなど、細やかに配慮されたディテールもこのプロダクトの魅力を更に高めている。

キヤノン「マウントアダプター EF-EOS R シリーズ」

EOS一眼レフカメラ用のEFマウントレンズを、ミラーレスカメラ「EOS R」シリーズのRFマウントで使えるようにするアダプター。電子式のコントロールリングを備えた点、ドロップインフィルターに対応した点がメーカー純正品として珍しい。

「マウントアダプター EF-EOS R シリーズ」の一例

デザインのポイント(引用)

1.アダプターに内蔵された回転リングを左手の操作で露出補正等を可能にし、撮影時のカメラ操作性を向上させる
2.可変の濃度調整や円偏光フィルターで写真表現を拡張、従来より交換も簡単なドロップインフィルタアダプター
3.大型望遠レンズの装着も考慮した高い堅牢性と、防塵防滴性への十分な配慮。迅速なカメラの装着性

審査委員の評価(引用)

一眼レフからミラーレス一眼へカメラシステムを変更、または追加する際、これまでのレンズ資産をいかに活用出来るかという点に多くのユーザーが頭を悩ませる。通常マウントアダプターは、他社製品や以前の一眼レフ用レンズも一応使える、というどちらかというと場当たり的な解決策として扱われてきた。しかしこの製品はそこにコントロールリングやドロップインフィルターなどの機能を加えたことにより、同社レンズ資産の有効活用という範疇を超えて、この組み合わせでなければ実現できない価値を生み出した点が素晴らしい。特にドロップインフィルターとの組み合わせでは、あえてミラーレス機に一眼レフシステムのレンズを組み合わせて使いたいという、モチベーションの逆転現象まで生み出すかもしれない。

本誌:鈴木誠