いま“知っておきたい”トレンドワード
M2 ProとM2 Maxは何が違うのか…ユーザー別おすすめモデルとは?
2023年4月4日 07:00
昨今の技術の進歩は目まぐるしく、気づいたら知らない言葉が増えている、ということはありませんか? この連載では、よく聞くけど何となくしか知らない、気になっているけど今更聞きにくい、といった「トレンドワード」を易しく解説していきます。(編集部)
M2 ProとM2 Maxって何が違うの?
2023年2月にAppleから次世代チップ「M2 Pro」「M2 Max」搭載のMacBook Proおよび、Mac miniが発売されました。
写真や動画を編集するユーザーはこれらのパワフルなプロセッサを搭載したMacを検討することも多いと思います。そこで今回はAppleシリコンとは何なのか、Pro、Maxモデルにはどのような特徴があるのか、どのモデルがおすすめなのかをまとめてみます。
Appleシリコンって何だっけ?
AppleシリコンとはAppleがARMアーキテクチャを使用して自社設計したシステム・オン・チップ(SoC)の総称のことで、CPUやGPUなどコンピュータに必要な機能が1つのチップにまとまったプロセッサです。
Macに限らず、iPhoneやiPad、Apple WatchなどあらゆるApple製品に用いられています。初めて搭載されたのは2010年のA4プロセッサで、iPhone4、初代iPadに採用されました。
一方で、当時のMacにはIntel製CPU/AMD製GPUという組み合わせが用いられる時代が長らく続きました。Appleシリコンの初搭載は2020年11月に発売されたMacBook Air、Mac mini、13インチMacBook Proです。ここではモバイル機器向けのAシリーズよりも高速なApple M1プロセッサが採用されました。
「Appleシリコン」と聞くとApple Mシリーズを連想する方も多いと思いますが、iPhoneなどに搭載されるAシリーズもAppleシリコンなのです。
Intel Macとの違い、Mシリーズのグレードは?
これまでのIntel Macとの違いで最も大きなものは、AppleシリコンはSoCであるということです。
Intel MacではIntel製のCPUをはじめ、GPUやメモリーなどMacを動かすために必要なパーツはすべてバラバラでしたが、Mシリーズ搭載のAppleシリコンMacでは1つのチップにこれら必要な機能をすべて搭載し、Macに最適化することで省電力性能と高い処理能力を両立していることが特徴です。iPhoneで磨きをかけた省電力設計に加え、主な通信が1つのチップ内で行われることから、極めて効率的な処理を行うことが可能なのです。
私もIntel MacからM1 Pro搭載のMacBook Proに乗り換えたユーザーの一人ですが、重いRAW現像も内蔵バッテリーだけで十分作業できますし、原稿執筆程度の軽作業なら1日でバッテリーを使い果たすのは困難というくらいの驚くべき性能といえます。
AppleシリコンはIntel CPUとは異なるアーキテクチャで設計されるため、アプリの互換性にやや難がありました。しかし、現在はPhotoshopやLightroomなど主要なアプリの多くがAppleシリコンにネイティブ対応しているほか、Intel Mac時代の古いアプリもRosetta 2というApple純正アプリをインストールすることでそのまま使う事ができます。
M1やM2などMの後に付く数字は世代を表していると考えればOKです。M1からM2へは様々な処理能力が向上していますが、正常進化と呼べる範囲であり、Intel→M1の時ほどの大きな変化はありません。それより大事なのがMシリーズ内でのグレードの違いです。
Mシリーズプロセッサには現在、無印、Pro、Max、Ultraの4グレードが存在します。
例えばM2世代で無印、Pro、Maxの違いを簡単にまとめると以下のような違いがあります。
M2 | M2 Pro | M2 Max | |
---|---|---|---|
CPU高性能コア | 4 | 6~8 | 6~8 |
GPU高効率コア | 4 | 4 | 4 |
GPUコア | 10 | 16~19 | 30~38 |
メモリ容量 | 8~24 | 16~32 | 32~96 |
メモリ帯域 | 100GB/s | 200GB/s | 400GB/s |
表を見ると、M2プロセッサと比べて、M2 Pro/MaxはCPU、GPU、メモリ性能のすべてが向上している上位モデルです。一方、ProとMaxモデルではCPU性能にはほぼ差はなく、GPUとメモリ性能が倍増しているというイメージ。
ちなみに、M2シリーズにUltra版はまだ登場していませんが、M1 UltraはM1 Maxチップを物理的に2つ接続したような構造となっており、コア数やメモリ容量がMaxからさらに倍増した超高性能お化けチップです。
M2、M2 Pro、M2 Maxどれがおすすめ?
現在の所、写真や動画ユーザーに人気のMacBook ProにはM2、M2 Pro、M2 Maxを搭載したモデルが存在するため、どれを選ぶべきかと考えている人も多いでしょう。
個人的にざっくりとした目安を言えば、写真がメインならM2 Pro、動画ならM2 Maxがおすすめです。前述したとおり、ProとMaxの主な違いはGPUとメモリで、CPU性能に大きな差はありません。
PhotoshopやLightroomのほか、メーカー純正のRAW現像アプリなど、写真編集用アプリの多くはCPUをベースに動きGPUは補助的に働くことが多いため、一般的なRAW現像をする程度ならM2 Proでも十分なイメージです。
少し古いですが、私が所有しているM1 Pro搭載MacBook Pro(CPU10コア、GPU16コア、メモリ16GB)ではLightroomで作業するならWindowsデスクトップPC(Ryzen9 3900X、GeForce RTX2070super、メモリ64GB)と遜色ない驚くべきパワーを発揮します。フルHDの一般的な動画編集でも問題なく使えるでしょう。
一方、動画編集をバリバリ行いたいという場合はMaxモデルの検討をおすすめします。動画編集アプリの多くはGPUを積極的に活用した処理を行うため、GPU性能が高いほど快適に作業できます。フルHDでもエフェクトを多用する複雑な編集を行ったり、4K動画の編集を行う場合はGPUやビデオメモリ(Mシリーズはメインメモリとビデオメモリが共通)を強化するほどサクサク動作します。
また、メインはデスクトップPCでモバイル用途にMacを使いたいというユーザーなら、無印のM2モデルでも満足できてしまうというユーザーも多いかもしれません。