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2007年

2006年

2005年

【インタビュー】山田久美夫が占う2007年のデジタルカメラ(前編)


 デジタル一眼レフの低価格化と普及、コンパクトデジタルカメラの進化など、2006年もデジタルカメラの話題は尽きなかった。そして今年も、デジタルカメラを取り巻く環境は変化し続けている。2007年のデジタルカメラはどうなるのか。

 弊誌はじめ各カメラ誌でおなじみのプロカメラマン 山田久美夫氏に、2007年のデジタルカメラについて伺った。2日に渡ってお届けする。

※本記事は、1月19日に行なったインタビューを再構成したものです。


「次の10年」へ歩み出した2006年

──まず、デジタルカメラにとって2006年はどんな年だったのでしょう。

 Impress Watch 10周年記念サイトにも書きましたが、コンシューマ向けデジタルカメラが出てから2005年で10年め。これで一区切りつきました。個人的には2006年は次の10年へのステップとなる年と位置づけています。

 コンパクトデジタルカメラでは、WiFi、顔検出、センサーシフト式の手ブレ補正など、デジタルカメラならではの技術も出揃いました。コンパクトタイプは次の10年に向かい、着実に進み始めたといえます。

 一方、デジタル一眼レフはいろいろな製品が出ましたが、実際には足踏み状態。ちょっと騒ぎすぎの印象があります。デジタル一眼は画質や軽快感、システム拡張性といった本質よりも「値段も下がったし、デジタル一眼ってカッコいい」というような、ちょっとブーム的なところに行ってしまったのが気がかりです。


顔検出機能はニコン、ペンタックス、キヤノン、富士フイルムが搭載。写真は富士フイルムのFinePix F40fd
レンズ込みで6万円台のデジタル一眼「D40」

──今おっしゃったように、2006年にはさまざまな技術が出てきました。これらの技術の今後を、ひとつひとつ見て行きたいと思います。まず、2006年はやはり高感度撮影技術や手ブレ補正技術が普及したことが大きいと思いますが、いかがでしょう。

 そうですね。高感度に関しては、CCDサイズからいっても、そのまま感度を高めていってISO6400のさらなる超高感度にする方向はあまりないでしょう。普及したことで、感度はISO1600くらいあればいいのかなというのが見えてきた。今後は、「ISO1600でも安心して撮れる」方向に進むでしょう。

 たとえば、ISO1600が最高感度なら、ISO1600で撮影してもA4にプリントできる画質を得られる、というような、限界感度よりも実用画質の向上という感じですね。感度はやはり画素の大きさに縛られてしまうところがあるので、センサーサイズが1/2.5型ならISO1600、1/1.8型やAPS-CサイズならISO3200くらいまでで、その後は高感度撮影時の画質の向上がテーマになるでしょう。

 手ブレ補正ですが、センサーシフト式とレンズシフト式のメリット/デメリットが見えてきました。センサーシフト式は超望遠域では追従できない場合があるので、望遠域はレンズシフト式が有利です。一方で広角側ではレンズシフト式だとレンズが大きくなってしまうので、センサーシフト式にしたほうがいい。

 センサーシフトとレンズシフトのハイブリッドというやり方もありますが、手ブレ補正以外の技術との組み合わせで、より手ブレ補正効果を高めるというのもあるでしょう。たとえばパナソニックのLUMIXには、被写体が動いているかどうかをカメラが判断して、動く被写体なら感度を上げる「インテリジェントISO感度コントロール」という技術がすでに搭載されています。

 個人的に期待してるのは、電子式手ブレ補正です。電子式手ブレ補正なら、安価なローエンド機種にも手ブレ補正を搭載できますし、ボディを小型化できます。これはさまざまな画像処理技術との組み合わせなど、まだまださまざまな可能性があるはずです。


シャープの1/1.7型有効1,200万画素CCD
──次にセンサーについて聞かせてください。2006年は1,000万画素センサーが多数出ました。

 今年は1/1.8型CCDが1,200万画素、1/2.5型で800万画素くらいまで行くでしょう。

 また、高速連写やハイビジョン動画を考えると、高速読み出しが容易なCMOSセンサーを搭載したモデルが登場する可能性も十分あります。

 APS-Cサイズではローエンドが1,000万画素になってしまいました。ですから中堅機以上も1,000万画素では辛くなってきましたが、今年はまだ1,000万画素で通すかもしれませんね。

 ハイエンド機は、まだ画素数を増やすポテンシャルがあります。画質を保ちながら2,000万画素、2,200万画素になる可能性があるでしょう。高速連写への要求もありますので、そちらの性能が向上する可能性もありますね。

──35mmサイズのセンサーはもっと増えるのでしょうか。

 個人的にはもっと出てきてほしいと思っています。自前でセンサーを作っていないメーカーでも、CMOSセンサーなら大型サイズのものを供給できるセンサーメーカーがありそうです。読み出し速度から考えても、CCDでなくCMOSの時代になるでしょうね。


ワイヤレスが鍵に

──今年はレンズには革新が起きるでしょうか。

 一眼レフ用レンズは、レンズを楽しむユーザーが増えれば製品もたくさん出てくるものです。ここ数年は銀塩の一眼レフが減ったので、新しいレンズもなかなか作れなかったのですが、デジタル一眼レフブームのおかげでレンズの需要が増えた。ですので、楽しい製品が出てくる可能性がありますね。ズームも、単焦点も。

 コンパクトデジタルカメラの世界も、まだまだ面白いものを出す余地があります。以前カシオが手がけたセラミックレンズなど、硝子以外の素材のレンズもありえるでしょう。一眼レフではレンズを通した絵をそのままファインダーで覗きますが、コンパクトデジタルカメラでは画像処理回路を通して液晶モニターなどで見るわけですから、レンズに色が付いていても問題ないわけです。

 また、コンパクト機では、ワイド系からの高倍率ズームを搭載したモデルが広がる可能性はありますね。個人的にも期待したいところです。

──画像処理回路は、どんな傾向になるでしょう。

 2006年は高感度に対応したアナログフロントエンドやDSPが出てきて、高感度撮影時の画質がよくなりました。

 2007年は、高解像度動画に注目しています。コンパクトデジタルカメラでも720pの動画を撮影できるようになる。2007年から2008年にかけては、デジタルカメラで撮影した静止画とともに、動画を大画面TVで再生することが重視されてくるでしょう。720pの動画は、大画面TVで見ると、ノートPCなどの小さな画面では見たくなくなりますよ。


Canon EXPOでのデモ。デジタルカメラを振ると、TVに画像がワイヤレスで転送される
──2006年は、無線LANを搭載したデジタルカメラがいくつか登場しました。

 先ほどの話の続きになるんですが、大画面のTVを買ってみてわかったのですけど、大画面TVになるとTVの前に行くことがなくなるんです。離れたところからでないと、画面全体を見ることができないから、すべてリモコンで操作するようになる。

 となると、デジタルカメラとTVをつなぐのも、ケーブルでは短すぎるしやりにくい。リモコンにメモリカードスロットがあって、そこから吸い出すとか、デジタルカメラからワイヤレスでTVに画像を飛ばしたくなります。一番スマートなのは、家に帰ってクレードルにカメラを載せると、充電されると同時に無線でTVに画像が転送されるという形ですね。2005年のCanon EXPOでは、IXY DIITAL WIRELESSから、無線LANでSED TVに飛ばすというデモをやっていました。


カシオ EXILIM CARD EX-S770
 もうひとつ、10周年記念サイトにも書いたように、デジタルカメラ自身が情報を受け取って、撮影をより楽しいものにする、という用途にも無線LANは使われるでしょう。カシオがEXILIM CARD EX-S770に「データキャリング機能」というのをつけました。PCで入手した情報をデジタルカメラに転送して持ち歩けるわけですが、これが無線でできれば便利ですよね。

 無線LANというとデジタルカメラを直接インターネットにつなげるところが注目されてしまいます。しかし、家の外で無線LANを使える環境は、世界的に見ればまだ限られています。デジタルカメラは世界中で同じものを売る商品ですから、市場が限定的すぎると辛い。また、たしかに外出先でデジタルカメラをインターネットにつなげると楽しいのですけど、ふと気が付くと「これってカメラ付きケータイと同じことやってるな。むしろあっちのほうが使いやすいかも」なんてこともあります。

 インターネットに無線につながる前のステップとして、家庭内の無線接続があるのではないでしょうか。

──2007年はワイヤレスに注目ですね。

 もうひとつのワイヤレスでの情報受け取り手段として、「ワンセグ」も気になるところです。

──ラジオやミュージックプレーヤー機能をもったハイブリッドカメラはこれまでもありましたが、いまひとつぱっとしなかったように思います。

 ラジオや音楽再生より、むしろ2.5~3型の液晶を活かしたワンセグのほうが期待できますね。たとえば天気予報や交通情報を自動的に録画しておいて、撮影に生かすなんてやりかたもあるでしょう。

──このほかに注目していることはありますか?

 高級なコンパクトデジタルカメラが売れる環境になりつつあると思います。コンパクトデジタルカメラは値段が下がってしまったけど、その一方でマスが広がったので、高級なコンパクトを求めるユーザーも出てきた。その答えが今年出てくるでしょう。

 とくに、APSやフォーサーズクラスのセンサーを搭載したコンパクトカメラが、高級コンパクト機として各社から登場する可能性もありますし、大いに期待したいところですね。

(続く)




本誌:田中 真一郎

2007/01/29 00:00
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