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【特別企画】4人の写真家とEOS 5D 第4回
小山伸也「オリエント急行」


絞り優先AE / ISO400 / 1/15(秒) / F8 / -1 / WB:オート / キヤノン EF 24-105mm F4 L IS USM(28mm)

 「オリエント急行と5つ星ホテルに泊まるイタリア周遊」というツアーを家内が見つけてきたので、秋休みをとってイタリアに行ってきた。ここではEOS 5Dで撮影したオリエント急行の世界を紹介しよう。

 オリエント急行は、パリ(フランス)とコンスタンチノープル(現在のトルコのイスタンブール)を結ぶ列車として、1883年10月4日に運行を始めた。豪華な車内はもちろんのこと、食事も一流シェフによって作られるので、当時のヨーロッパのお金持ちたちの憧れの列車であった。

 2度に渡る戦争で運行がとぎれたこともあったが、何とか継続された。しかし1977年5月にはついに打ち切られてしまった。そして、車両は競売に掛けられたが、オリエント・エクスプレス・ホテルズ会長ジェームズ・B・シャーウッドが車両を購入し、5年の歳月と約30億円をかけて復元した。1982年5月25日に、ロンドンからミラノを経由してベニスへの運行が再開された。そして1988年には日本でも約1カ月に渡って運転された。

 現在は、イギリス国内、パリ~ベニス間、マレー半島で運転され、日帰りや車内泊を伴うものなどがある。もちろん観光目的の列車であり、乗車を楽しむものである。但し、日本の列車のように毎日の運転ではなく、週1回の運転であったり、期間が限定されていたり、あるいは貸し切り運転となっているので、簡単に乗ることはできない。

 値段は乗車区間や食事有無、車内泊の有無によって大きく異なり、中には20万円超のものもある。


オリエント急行がフィレンツェを出発して約1時間。太陽は沈み、いよいよ食事が始まる。誰もいないテーブルを食前に撮影した。ダイニングカーの内部をストロボ撮影しては雰囲気が伝わらないと思い、ストロボはOFFにして車内の明かりだけで撮影した。デジカメの便利なところで、このコマはISO800にして撮影した。それでもシャッター速度は0.3秒と手ブレの限界を超えていたが、ISレンズが手ブレを軽減してくれた
プログラムAE / ISO800 / 1/60(秒) / F4.5 / -1/2 / WB:オート / キヤノン EF 24-105mm F4 L IS USM(24mm)

 16年前にオリエント急行が日本国内を走り回ったときには見るのが精一杯であったが、ようやく乗ることができる。この感動は何ともいえず、お付き合いのある方全てに感謝だ。

 フィレンツェの駅に着いたときに列車は入線しており、ピカピカに磨き上げられた車体が出迎えてくれた。車内に入り、指定された個室に入ると、そこはアガサ・クリスティの世界。まさに「オリエント急行殺人事件」の光景が目に浮かぶ。白く高い天井、マホガニーの壁や扉、磨き上げられた金属類、ゆったりと3人が座れるシート(実際は2人用)、白熱球のスタンドなどなど、日本では見ることのできない空間であった。

 ほどなくしてディナー。食事の準備ができたのでダイニングカー(食堂車)に来るようにアナウンスがあり、正装をした男女が集まる。誰しもが驚いたのは、3つ星レストランと間違えるほどの設備とサービスのお出迎えだ。今日のメインディッシュはフィレステーキで、美味しい赤ワインと一緒にいただいたが、時間はあっという間に過ぎてしまった。

 車両は1930年前後に作られたもので、日本の新幹線と比べるわけにはいかないが、心地よい揺れが何ともいえない。ストロボを使っても撮影するのには少しきかった。


シグマ製12-24mmの超広角ズームも持っていったのは、オリエント急行の狭い室内を撮影するためだった。このズームレンズの広角側までカバーできるストロボが無いことと、ストロボの強い光を被写体に与えたくないのでバウンス撮影。ストロボ光の色温度は太陽光に近いので、部屋の雰囲気は冷たくなってしまうが、どのような部屋であるかはご理解いただけると思う
プログラムAE / 400 / 1/60(秒) / F4.5 / ±0 / WB:オート / シグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM(15mm)

ミラノ。新しい市電7000系と、50年は走っていると思われる1900系市電。よくよく見ると市電だけではなく、車も建物も古いものを大切にしているようだ
絞り優先AE / ISO400 / 1/180(秒) / F5.6 / -1/2 / WB:オート / キヤノンEF 70-200mm F4 L USM(70mm)
フィレンツェで泊まったホテル「エクセルシオール」。筆者が宿泊した部屋は天井の高さが4m以上あり、吹き抜けの部屋にいる気分だった。部屋の大きさは16畳くらいで、バス、トイレ、洗面所がまとめられたスペースも10畳くらいあった。暖かみのある電灯光を使っている部屋で撮影するときは、ストロボを使わないでロングタイムシャッターを使ったほうが、雰囲気を出せる
絞り優先AE / ISO100 / 6(秒) / F11 / -1/2 / WB:オート / シグマ 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM(12mm)

絞り優先AE / ISO400 / 1/20(秒) / F4.5 / -1/2 / WB:オート / キヤノン EF 24-105mm F4 L IS USM(24mm)



小山 伸也
中央大学理工学部卒業後、オーディオメーカー、カメラメーカーを経て2002年春にフリーになる。カメラ雑誌で写真やカメラの解説、鉄道や航空雑誌で車両や航空機の解説など幅広く活躍している。カメラメーカー勤務時には日本カメラショーなどの講師を務めていた。1955年生まれ東京都出身。

2005/12/26 00:02
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