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【New Kiss Digital活用講座】 ストリートスナップ編

~街の記録を残そう

Kiss Digital Nでストリートスナップ中の渡部さとる氏
 キヤノン EOS Kiss Digital Nは、大幅に向上した機能やスペックもさることながら、その小ささも話題を呼んだ。サイズこそ最小とはならなかったものの、重量はデジタル一眼レフでは最軽量となっている。

 この小ささを生かして、自宅周辺で「ストリートスナップ」に挑戦してみよう。写真家の渡部さとる氏に、Kiss Digital Nによるストリートスナップのコツを伺った。

 なお、この記事は、3月30日に行なわれた渡部さとる氏へのインタビューを編集部で再構成したものである。


ストリートスナップの意義

 今回は、「自宅から最寄り駅までを撮る」のをテーマにしよう。わざわざ遠くへ出かける必要はない。自宅周辺を撮って、自分だけの地図を作るのだ。

 街は変わっていくものだ。ストリートスナップは、街の変化を記録しておく意義がある。撮影して今すぐ楽しむために撮るのではない。CDやDVDに保存して、日付を付け、「重要」と書いて保存しておき、10年後、20年後に見て楽しむものだ。

 自分が住んでいる街の記録は、自分だけでなく、子どものためにもなる。子ども自身の写真を撮る人は多いが、住んでいる街を撮る人はあまりいない。子どもが成長して、子どもの頃の自分自身の姿を見るだけでなく、育った家や周囲の写真があれば、楽しみは増す。育った街を撮っておいてあげよう。

 また、写真を撮ることは、「見る」ことでもある。季節ごとの街の変化、たとえば花が咲いたり、日差しが変わったりということを、普段は意外と見過ごしているものだ。写真を撮ることで、街の変化に敏感になり、今まで気づかなかったことを発見する。生活の楽しみを増やすことにもつながる。

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。
※キャプション内の撮影データは、露出時間/絞り値です。


自宅周辺の記録を残そう
ストリートスナップは10年後、20年後に見て楽しむことができる

出かける前の準備

 まず、出かける前にカメラの設定を済ませておく。今回は、露出やホワイトバランスを、カメラの自動制御に極力頼らない方針を採った。カメラの内蔵露出計は敏感なので、ちょっとカメラの向きを変えただけでも露出が変わる。ホワイトバランスも同様だ。

 これでは、同じ日、同じ時間に同じ街を撮っているのに、空の色などがまちまちな写真ができあがってしまう。露出やホワイトバランスを固定しておけば、何枚撮っても色や明るさの揃った写真になる。ただし、日陰や室内など、あまりに暗いところでは若干設定を変更する。

 まず、ホワイトバランスは「太陽光」に固定してしまおう。日陰が青っぽく写ることになるが、これはこれでよしとする。ただし、ストリートスナップの最中に喫茶店などに寄って、蛍光灯や白熱灯などの人工照明がある室内を撮るときだけ、「オート」にする。「蛍光灯」や「白熱灯」を選ばずにオートにするのは、万が一ホワイトバランスの設定を戻し忘れて外に出てしまっても、オートなら一応ちゃん写るからだ。

 ISO感度は400を選択する。400でも十分な画質が得られるし、暗いところでも速いシャッタースピードを使えるからだ。


ホワイトバランスを太陽光に固定する ISO感度は400で

露出の決め方のコツ

モードダイヤルはMに
 露出モードは、モードダイヤルのMに合わせておく。晴天の日、午前中から午後2時くらいまでは、絞りをF5.6、シャッタースピードを1/3,000にしておく。太陽光のあたっているところなら、この設定できれいにちゃんと写る。

 晴天の日の日陰や、15時以降、あるいは曇りの日は、シャッタースピードを1/500にする。Kiss Digital Nは、Mモードでは電子ダイヤルを回すだけでシャッタースピードを変えられる。絞りを変えるには、Avボタンを押しながら回さなければならない。シャッタースピードだけを変えていくほうが簡単だ。


晴天ではF5.6、1/3,000が基本 シャッタースピードを変えるのは電子ダイヤルを回すだけ

 とりあえず「絞りをF5.6にしておいて、シャッタースピードは晴れが1/3,000、日陰/曇り/15時以降は1/500」と、2つの露出だけ覚えておけばいいわけだ。

 室内を撮りたい時はF5.6、1/15あたりがよい。が、1/15で手ブレが心配なら、室内の時だけはPにして、プログラムAEに頼ってしまってもいい。ホワイトバランスは前述のようにオートにしておく。

 なお、ストロボは記念写真のとき以外は使わないつもりでいよう。今回の方法では極力、その場の光を生かして撮る方針を採っている。ストロボでその場の光を殺してしまわないようにしよう。デジタルは暗部がよく写るのが特徴だし、暗いところではブレた写真も雰囲気が出るものだ。

 今回の撮影すべてに言えることだが、ありとあらゆることを極力単純にしておこう。細かい設定をしていると、こんがらがってわからなくなってしまう。ちなみにKiss Digital Nは、初期設定では露出ステップ幅が1/3になっている。これも複雑なので、カスタム機能の設定でステップ幅を1/2に変更しておくと、シャッタースピードの選択に迷いが少なくなる。

【2005/4/30追記】1/3,000などのシャッタースピードは露出ステップ幅を1/2にしないと選択できません。1/3の場合は1/3,200などになります。


画質サイズはSでもいい

画像のサイズと画質はS/Fineで
 画像のサイズと画質はS/Fineでいい。SでもL判程度のプリントなら十分な画質があるし、PCから印刷すればA4にも伸ばせる。大きく伸ばしたいということならM/Fineでもよいだろう。今回はS/Fineを選択した。

 Sを選んでおけば、画像のサイズが小さくて扱いやすいこと、メモリカード1枚に大量に保存できることなどのメリットが享受できる。また、画像サイズが小さいと、デジタルカメラで問題になりがちなわずかな手ブレなどが目立たなくなる。


カメラの持ち方

 ストリートスナップでは、周囲に警戒心を与えないようにしよう。カメラを向けられると、人は身構えるものだ。カメラを首から提げているとそれだけで警戒されてしまう。

 そこで、カメラは片手で持つ。ストラップを手首に巻いておけば、落とす心配も少なくなる。こうすればカメラが目立たず、警戒されない。


ストリートスナップではカメラは片手で、目立たぬように持つのが基本。小さくて目立たないKiss Digital Nはうってつけ 首から提げていると、周囲の人たちに警戒心を抱かれる

片手で持つときは、ストラップを1回ひねって輪を作り、手首を通して巻きつける
こうしておくと万が一手がカメラから離れても落とさずにすむ

 手を空けたいときは首でなく、肩にストラップをかけよう。その際、レンズが自分の体に向くようにしておけば、レンズを保護できる。

 ところで、Kiss Digital Nはその小ささゆえ、手の大きな人にはグリップが小さく感じられることがある。とくに小指がグリップにかからないため、ホールドに不安を覚える人もいるだろう。そんなときは、ストラップを小指と薬指ではさみ、薬指でボディ底面を支えるようにするとよい。


肩から下げるときはレンズを自分の体に向ける
小指があまるときは、小指と薬指でストラップをはさむ

それでは出かけよう

 さて撮影に出かけよう。フィルムの枚数を気にしなくていいのだから、目に留まったものをどんどん撮っていこう。看板、標識など、目に付いたものはどんどん撮っておく。フィルム代を気にしなくていいのだから、どんどん撮っていこう。


1/3000、F5.6
1/3000、F5.6

1/125、F5.6
1/2000、F5.6

1/2000、F5.6 1/750、F5.6

 渡部氏おすすめの被写体は「交差点」。交差点は時間による変化が出やすい。交差点の周囲をぐるりと撮影しておき、後で見比べると楽しいのだという。


交差点をぐるりと撮影


1/3000、F5.6
1/3000、F5.6

1/3000、F5.6
1/3000、F5.6

 また、日の当たっている、明るいものを写すようにしよう。明るく、情報がたくさん写りこむ写真のほうが、後で見て楽しい。

 とはいうものの、ストリートスナップの途中には日向もあれば日陰もある。光の具合が違うところで露出に迷ったら、露出を変えて何枚か撮り、液晶モニタで確認しよう。たとえば、日陰の露出に迷ったら、シャッタースピードを1/1,000、1/500、1/250、1/125、1/60と変えて撮ろう。デジタルカメラだから、枚数を気にせずにどんどん試して撮れる。

 露出を変えて撮った画像を液晶モニタで見て、いいと思ったシャッタースピードを覚えておこう。次に同じような光の場所にきたら、そのシャッタースピードに合わせればいいのだ。


露出に迷うようなところは、何枚か露出を変えて撮る
F5.6、1/3000
F5.6、1/2000
F5.6、1/1500

 なお、どんな失敗ショットでも、カメラ上では削除しないで、不要なものはPC上で消していくようにしよう。カメラ上では間違って削除してしまうことがあるし、そうしたら復活させるのは困難だ。


ズームは18mmに固定

 渡部氏は、撮影中はあまりズームを使わない。18mm(広角)にしたままである。もし大きく写したいものがあれば、ズームを使わずにどんどん被写体に近寄って撮ろう。そのほうが迫力が出る。ズームはどうしても近寄れないときだけ使おう。

 広角側では、ファインダーをのぞかずに撮影する「ノーファインダー撮影」の成功率も高まる。構図に変化をつけたいときや、急いで撮りたいときに有効だ。


面白いと思ったものは、ズームを使わずにどんどん近づいて撮る ノーファインダー撮影にも挑戦してみよう

画像の整理

 帰ってきたら、画像をPCに転送して、整理する。明らかな失敗画像などを削除するのはこのときだ。また、同じ構図で露出を変えて撮ったカットも、気に入った露出の物だけ残して削除する。

 こうして整理したら、先にも述べたように、CDやDVDに保存しよう。ラベルには「自宅周辺」などと書いておき、撮影日と、「重要」と書いておく。こうしてしまっておけば、10年後や20年後に街の変化を楽しむことができる。




渡部さとる
(わたなべさとる) 1961年山形県米沢市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、日刊スポ-ツ新聞社に入社。スポーツ、報道写真を経験。同社退職後、フリーランスとして、雑誌、写真集などでポートレートを中心に活動。 著書に「旅するカメラ」などがある。

2005/04/27 00:25
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