デジカメ Watch

【新製品レビュー】オリンパス E-330

~絵作りが広がる独自の「ライブビュー機能」
Reported by 安孫子 卓郎

 E-330のプロダクトリーダーと話をさせていただく機会があった。その方はオートバイに乗るそうで、ヘルメットを脱がないでも撮れる一眼レフを作りたかったのだという。

 筆者も夏、麦わら帽子をかぶって撮影していると、ファインダーをのぞく都度邪魔に感じる。ファインダーから解放される自由なライブビュー機能を待ち望んでいた一眼レフユーザーは、かなり多いのではないだろうか。


ライブビューは一眼レフ第三の夜明け?

 筆者は一眼レフカメラの歴史の中で、撮影にまつわる「革命的」といえる技術革新が3つあったと考えている。クイックリターンミラーの実現など、一眼レフ普及前の古い話ではない。アマチュアには困難を伴って実質的に撮れなかった写真が、比較的楽に撮れるようになったという意味だ。

 ひとつめは1985年、ミノルタの「α-7000」に始まるオートフォーカス(AF)だ。最初のAFカメラが何であるかは議論もあるだろうが、一般化させたのはα-7000に間違いない。α-7000のAF自体は遅かったが、そこから進化した今日のAFは、もはや人間の域を超えていると言っても過言ではあるまい。熟練した一部のプロカメラマンしか撮れなかった写真が、一般のアマチュアにも撮れるようになった、そのきっかけを作ったのである。

 2つ目は1995年、キヤノンが発売した75-300mmレンズ搭載の手ブレ補正機構である。手ブレ補正がなくても三脚を使えばよいし、F2.8の高級レンズを抱えていけば速いシャッタースピードが得られるが、金銭的、体力的に大きな負担を強いられる。サンニッパが買えなかったり、三脚を持っていけなかった人々にとって、ブレにくい写真が撮れるようになったのは意義深い。

 これらに匹敵する3つ目、それが今回のE-330によるライブビュー機能である。ライブビュー機能によって、カメラマンはファインダーから解放され、より自由なアングルを得ることができるようになった。

 従来の一眼レフ用CCDやCMOSでは、長時間光を受け続けると加熱するなどの問題があった。そのためコンパクトデジカメのようにCCDで直接光を受けて、そのまま液晶モニターに表示する、スルー画を出す機能がなかった(できなかった)のである。単純にミラーアップしたままスルー画を出すという仕組みには、作りたくても作れなかったのだ。


ライブビューは背面の液晶モニターに表示される ライブビュー作動中。コンパクトデジカメのように離れてフレーミングできる

液晶モニターは上下に稼動。写真はローアングル時 下向きにするとハイアングル撮影で便利

ローアングルだと地面すれすれでの撮影も簡単 もちろん光学ファインダーも使用できる

 例えばローアングル。一般的なデジタル一眼レフカメラでも、腹這いになれば撮れることもあるだろう。アングルファインダーを使えば済むこともあるだろう。だが、乾いたコンクリートの上なら腹這いにも慣れるが、濡れた泥の上で腹這いになるのは気合いが必要だ。アングルファインダーも、水平なら使えても、下向きの花を見上げる場合には使えない。

 また、手を伸ばして撮影することもできない。従来はよほどでないと撮れなかったような困難な状況でも、楽に自由なアングルを得て撮影することができるという意味で、これは一眼レフにとって第3の技術革新であり、「画素数が増えた」などとは別次元の、大幅な進歩と言える。

 今回E-330が採用したLiveMOSセンサーはこの問題を解決し、ミラーアップから直接スルー画を出す機能を持っている。長時間光を受け続けても大丈夫なのかと気になるが、ISO100か200ならば、1時間や2時間の連続使用でも問題ないとのことだ。ただISO1600などに増感してしまうと、長時間の使用は厳しいとのことである。


精密なピントあわせと構図が可能なBモード

 E-330のライブビューにはAモードとBモード(マクロライブビューモード)の2種類が存在する。それぞれにできることとできないことがあり、特性に合わせた使い分けが必要になる。

 まず、冒頭で軽く紹介したのが、撮像素子からダイレクトにスルー画を得るBモード。コンパクトデジカメと同じく視野率100%のスルー画を得られるものの、フォーカスは撮像素子上のコントラスト検出式ではなく、AFが動作しない。そのためマニュアルフォーカス(MF)専用になってしまう。


Aモードはファインダー内の映像を専用CCDで再現する 撮像素子が得た映像を背面液晶モニターに出すのがBモード

 ただしこの時、液晶モニターの表示を10倍に拡大して表示することが可能となっており、液晶モニター上で精密なピント合わせも可能である。

 拡大箇所として、画面のほぼ全部(最周辺部はのぞいて)から任意の1カ所を選ぶことができる。三脚に据えてフレーミングを決め、任意の場所を拡大してピントを合わせるわけだ。50mmレンズを使用したとき、10倍で500mmレンズを使っているのと同じくらいの拡大なので、カメラブレもきわめて大きく見える。

 ものすごく揺れて見えるので三脚使用が基本だが、実際にシャッターを切ると元の焦点距離に応じたブレ量でしかない。従って焦点距離に応じたシャッタースピードを確保しておけば、手持ち撮影でもそれなりの写真にはなる。つまり、拡大されたブレがそのまま写るわけではないということ。

 Bモードでは、シャッターを切ると一度ミラーが閉じて、またミラーアップしての撮影となるため、レリーズタイムラグとしては相当の時間がかかる。元々動体撮影向きのモードではないけれど、レリーズタイムラグの間に構図が動いてピントがずれると言うこともあるので、やはり三脚使用が原則と考えるべきだろう。

 またミラーアップ中はローパスフィルターにゴミがつきやすい。Bモード実現の裏には、単純にセンサーだけの問題ではなく、ダストリダクションシステムも役に立っているわけだ。


AモードとBモードの切替画面 Bモードを選ぶとMFになる

Bモード撮影中の画面表示 左の撮影画面を拡大したところ

Aモードは手軽さが特徴

ライブビューはファインダー横のボタンで切り替える
 順番が逆になったが、撮像素子の能力を活かしたのがBモードなら、ボディデザインを活用したのがAモードである。

 一眼レフのデザインは、クイックリターンミラーとペンタプリズムと言う構造から、ある程度限定されている。レンズから入ってきた光をミラーで反射させて、ペンタプリズムを通して何度か反射させつつ光学ファインダーに導き、レンズから入ってきた光をそのままファインダーで見せる、これが一眼レフといわれるものだ。

 ミラーはシャッターを押すと跳ね上がり、後ろの撮像素子に光を当てる。定められたシャッタースピードがすぎると自動的にミラーが降りて元に戻る。E-330(およびE-300)では、クイックリターンミラーの跳ね上げ方向を通常の上方向から、向かって右側に変更している。

 つまり通常ミラーが閉じている状態では、ペンタプリズムのカメラはミラーが光を上に送るようになっているのだが、E-330(E-300)は横開きなので、向かって右側に光を送り、ポロミラー光学系によって光学ファインダーにレンズから入ってきた光を送るようになっている。


Aモードの液晶表示。測距点に加え、コンパクトデジカメのように露出情報などを表示する
 このポロミラー光学系のファインダーの前、最後のミラーをハーフミラー(70%は透過し光学ファインダーへ、30%は反射させてAモード用の撮像素子へ)とし、そこに1/2.5型500万画素CCDを置き、ファインダー内の画像を液晶モニターに送る。CCDがファインダーの中を再現するため、基本的な機能は光学ファインダーと全く同じ。Bモードとは異なりAFも使える。

 液晶モニターも表示した上で、さらにCCDがデジカメ1台分余計に入っていることになるので、バッテリーの持ちが気になるところだ。しかし、筆者の撮影スタイルだと800枚くらい撮影できるようだ。液晶モニターONの時間が長く、しかも枚数が少ない場合は撮影可能枚数は減ることになる。

 ライブビュー機能を使用した場合、光学ファインダーのアイピースシャッターを閉じたほうがよい。閉じなくても撮影はできるが、フレアなどをひき起こすことがある。特に順光で後ろから光が当たっている場合に起こりやすいので、基本的にライブビューで撮影するときはアイピースシャッターを閉じるようにしたい。

 またAモードでのファインダー視野率は92%と低くなる。もともとE-300の視野率が95%で、それをCCDで撮影しているのでさらに低くなるのが原因。92%になるとだいぶ違和感はある。特に今回は地面ぎりぎりの撮影を多く行なったので、地面の線が思っていたよりも多めに写り込んでいたことが多かった。ただしデジタルカメラなので、撮った画像はその場で確認できる。撮影は一期一会ではあるものの、構図を修正しながら撮影しても差し障りのないことも多い。

 なおAモード、Bモード共に、ライブビュー機能ではホワイトバランスや露出補正の結果が液晶モニターに反映されない。ファインダー内を再現するAモードはやむを得ない。Bモードのほうは可能と思われがちだが、撮像素子で光を受けた段階ではホワイトバランスも露出補正もないわけで、撮影後の画像処理で反映された画像が作られる。

 そう考えるとAモードでも擬似的に反映させることが可能になりそうだが、厳密に反映させることに問題も多かったらしい。コンパクトデジカメ並の、だいたいの目安としてなら可能だが「一眼レフなので中途半端な表示はできない」とのことで、現在の仕様になったという。


アングルファインダー対ライブビュー

オリンパスのバリマグニアングルファインダー「VA-1」。E-330にも取り付けが可能
 さて、ローアングル用アクセサリーのアングルファインダーとライブビュー、どちらが優れているだろうか。

 まずアングルファインダーにできないことは、「離れて見る」行為だ。アングルファインダーはぴったり目を付けないとほとんど見えない。カメラを地面においたとき、アングルファインダーでは地上20cmくらいの所まで頭を下げないと撮影できず、姿勢的にはかなり苦しい。体が硬く太り気味の筆者にはかなりの苦行である。しかしライブビューなら、しゃがむだけでよい。

 また頭の上に掲げるような撮影も、カメラから離れてしまうのでアングルファインダーでは対応できない。さらに、藪の中にいる猫を撮影するなど、手を前に伸ばして撮影することもできない。

 しかもアングルファインダーは直角にできているため、真横に対する撮影には向いているが、下向きの花を見上げるように撮りたい場合などは、顔を地面に押しつけるようにしなくてはならない。逆に多少上からの角度で撮りたい場合は、オーバーハングして身を乗り出すようにする必要が出てくる。

 E-330ではメニュー内の「ライブビュー拡張」をONにすると、暗い場所でAモード用CCDが画素混合を行ない、増感して明るく表示する。室内で絞り込んだりすると暗すぎて増感も限度が来るが、暗い場所での撮影や、MFレンズで絞り込んで撮影するような場合にも、明るく表示するので便利である。

 かなり限定された状況向きのアングルファインダーに対して、汎用性が高いのがライブビューなのである。ただし、顔をアングルファインダーまで持っていけて、姿勢的にも無理がないのであれば、精密なピント合わせにはアングルファインダーのほうが向いている場合がある。

 花のしべにピントを合わせたいというような場合、E-330に限らずどのカメラでもAFでは限界がある。どうしてもMFでの撮影が多くなるのだが、AモードではAFでのピント位置が精密には確認できず、Bモードで10倍拡大して撮影するには手間がかかる。魚眼などでワイドマクロの場合はピントの心配が少ないためライブビューが活躍するが、長焦点のマクロレンズで雌しべだけにピントを合わせるような撮影をする場合は、アングルファインダーも有効である。


AFポイントの選択に難あり

 液晶モニターは2.5型21.5万画素のハイパークリスタル液晶(半透過型TFTカラー液晶)で、上に90度、下向きに45度の回転が可能。多彩なアングルに対応するが、左右方向に動かないので、縦位置撮影には対応していない。ただ、コンパクトデジカメをお使いならわかるように、離して見ればそこそこ確認はできる。不満はあるが、光学ファインダーとの比較なら、縦位置ローアングルでも有利だ。

 この液晶モニターは一度引き出した状態で上下に動かすようにできているが、引き出しておいて真上を向け、そのまま液晶をたたむようにすると、逆に上に反った状態にすることができる。このような形にしておくと、下向きの花を見上げながら撮影するときに便利だ。

 縦位置撮影よりもむしろ最大の不満点は、AFポイントの選択にある。メニューなどE-500の操作性を受け継いでいることは悪くないのだが、E-500では専用のAFポイント選択ボタンがあった。E-330にはこのボタンがない。

 にも関わらずE-500のメニューを引き継いでしまったため、AFポイントの選択が面倒になってしまった。メニューの中からたどって変更するか、OKボタンで背面のスーパーコンパネ(情報表示)を呼び出して変更するかになる。しかも2段階ある情報表示のうち、各アイコンが小さくなる詳細表示にしなければならない。AFポイントが3つしかないのはオリンパスの弱点だが、その上選択もしにくいのでは困ったことである。


ライブビューOFFで現れるスーパーコンパネ。これは基本表示 詳細表示。AFポイント選択が可能なのはこちら

 なお、本体のドライブ/コピー/プリントボタンはカスタマイズでき、ワンタッチホワイトバランス、試し撮り撮影、マイモード撮影、プレビュー、電子的プレビュー、ドライブモードから任意の1項目を割り当てるられる。ここにAFポイントの選択も入れてほしいところだ。また、フォーカスエイド機能もあるが、対応するのはZUIKO DIGITALレンズだけ。MFレンズで使いたい機能なのに、対応していないのはもったいない。

 さらにE-500にもあるマニュアルフォーカスブラケットは、一度AFを動作させてピントを検出してから、そこからブラケットする仕組み。AFポイントがその位置になかったり、AFが働きにくい低コントラストの被写体などではほとんど意味がない。もちろんMFレンズでは使えない。

 AFはTTL位相差検出方式。ZUIKO DIGITALレンズは超音波モーターではないが、フォーカスモードをS-AF+MF/C-AF+MFにしておくと、他のメーカーの超音波モーターレンズと同様にAFからそのままMFに入ることができる。


新開発のLiveMOSセンサー

Aモード用CCD(左)とLiveMOSセンサー(右)
 LiveMOSセンサーの有効画素数は750万。フォーサーズ規格に準拠する17.3×13mmのサイズで、ISO感度はAUTOと100~400の設定がデフォルト値。メニューで1600までの増感に拡張できる。その際ノイズフィルター(NF)のON/OFFが選択できる。

 NFでよく誤解されているのが、長時間露光におけるノイズリダクションとの錯覚だ。コンパクトデジカメを含めて基本的に増感すると内部的にNFがかかっている。それによってノイズは減るのだが、ディティールは失われ気味になる。そこでE-500とE-330にはON/OFF選択を入れているわけ。長時間露光用のノイズリダクションのようにバッファが効かないとか連写できないことはないので、基本的にONにしておいてよい。

 当初筆者はLiveMOSセンサーがCMOSなのかと思っていた。CMOSの場合は原理的にCCDよりノイズが多い。そのため、搭載機種は自動的に(内部で)ノイズフィルターがONなっているという。ところがE-330にはON/OFF選択があるのが疑問だった。

 実はLiveMOSセンサーはCMOSではなくNMOSなのだそうで、画素あたりの受光面積がCMOSの3倍あり、CMOSより低ノイズであることからOFF設定も採用したそうだ。


測光方式の選択メニュー。下2つがハイライト/シャドーコントロール
 測光方式はTTL開放測光で、49分割デジタルESP測光が搭載されている。従来のオリンパスEシステムはESPより中央部重点のほうが使いやすい部分もあったのだが、E-500から搭載された49分割デジタルESP測光は、だいぶ正確に具合よく露出を決めてくれる。

 そのほか中央部重点平均測光、スポット測光(全画面の2%)、スポット測光ハイライト/シャドーコントロールも備えている。ハイライトコントロールは、ハイライト部をスポット測光すると、そこへプラス補正した値を露出値にすることで、ハイライトを適正なハイライトにしようというもの。シャドーコントロールはその逆で、シャドー部をスポット測光してマイナス補正する方式だ。

 ただスポット測光ということもあってなかなか思ったような具合にはゆかず、使いこなしにはかなりの熟練が必要だ。普通に露出補正したほうが簡単だろう。


充実した仕上がりモード

仕上がりモードの設定メニュー
 仕上がりモードとしてVIVID、NATURAL、FLAT、モノトーン、セピアを選べる。モノトーン、セピアはコントラスト、シャープネスを各5段階、VIVID、NATURAL、FLATには加えて、彩度も調整できる。

 仕上がり設定のVIVIDはE-300と同様の設定になっており、コントラストや彩度が高くて鮮やかで見栄えのする仕上がりとなる。NUTURALはE-1のような設定で、より自然で素直な仕上がりとなる。

 FLATは上記2つとは考えが違っており、撮像素子の持つ素性をできるだけそのまま伝えようというモードとのこと。地味なイメージで使い渋りがちなモードだが、アップ目のポートレートなどではよい結果が出るようで、上級者には妙味のある仕上がりモードといえるかもしれない。

 またモノトーンとセピアには、黄、橙、赤、緑フィルターを設定することが可能。黄、橙、赤はコントラスト強調フィルターで、この順番で効果が強く出る。モノクロフイルムと同じテクニックだが、フイルムでは露出倍数がかかって使いにくかった。しかしE-330はデジタルフィルターなので感度低下が起こらず、設定したISO感度のまま使用できる。

 緑はポートレート用で、赤らんだ肌を色白美に写す効果がある。さらにモノトーンに対し、セピア、青、赤、緑の調色を設定することも可能である。


階調設定。ハイキーとローキーを選択可能
 階調設定では標準のほかに、ハイキーとローキーが選べる。トーンカーブのグレー点を中心に上を持ち上げるのがハイキー。下を下げるのがローキーである。露出補正と違って全体を変化させるわけではなく、ハイライト部分に影響を与えずにシャドーを締めたり、シャドーに影響を与えずにハイライト部分を明るく表現したりできる。

 シーンセレクトの中にもハイキーとローキーが存在するが、この場合、フルオートでしか撮れない。メニューから設定すればほかのの項目も変更して自由に撮影できる。


JPEG派にうれしい多彩なホワイトバランスブラケット

 ブラケット撮影は多彩で、露出ブラケットのほか、R-B(レッド-ブルー)、およびG-M(グリーン-マゼンタ)のホワイトバランスブラケットや、フラッシュブラケットが可能である。自然光の場合にはR-Bでよいが、人工光源の場合にはG-Mにも偏りができる。R-BとG-Mの両方を設定することもでき、その場合R-Bのブラケット3枚、G-Mのブラケット3枚、両方3枚の、合計9枚が1回のシャッターで記録される。これならば人工光源にも対応できるといえよう。

 ブラケットではない普通のホワイトバランス設定でも、プリセットホワイトバランス 7種類とワンタッチホワイトバランス、2,000Kから14,000Kまで指定できるカスタムホワイトバランスがある。オートWB、プリセットWB時には、R-B軸、G-M軸 各±7ステップのホワイトバランス補正が可能である。


WB BKTではR-B、G-Mのブラケットも可能 通常の設定でも±7段階の補正ができる

カメラ内でRAW現像が可能

CFとxDピクチャーカードのダブルスロットを搭載
 記録媒体はCFでMicrodriveにも対応、xDピクチャーカードのスロットも備えている。画像フォーマットは12bitのRAW、8bitのTIFFとJPEGで、RAW+JPEGの同時記録も可能。RAWとJPEGの同時消去もできる。

 連写速度は秒3コマ。ただし、Aモードでライブビューを使用していると、秒あたり1コマから1コマ強程度になるようだ。Bモードでは遅くならないので、ライブビュー用CCDの性能に制限されているのだろう。もともとスポーツや動きの激しい被写体はライブビューより光学ファインダーのほうが適しており、連写速度を重視したい場合は光学ファインダーを使うほうがよい。

 光学ファインダーの視野率は約95%。倍率は約0.93倍、アイポイントが約18mm。ライブビューの前振りとして出てきたようなE-300だが、光学ファインダーとしては視野率94%、倍率等倍、アイポイント20mmなので、E-330/E-500を超えているのが救いだろう。

 再生画面では、輝度ヒストグラム、RGB別ヒストグラム、ハイライト警告表示、シャドー警告表示、各種撮影情報表示が可能である。E-1の時は表示切替が複雑でわかりにくかったが、E-330は単純にINFOボタンを押していくと順に切り替わる。

 再生モードでは画像の編集が可能で、JPEG/TIFFに対して、モノクロ、セピア、赤目補正、鮮やかさ補正、リサイズを実行後、別画像として記録される。RAW画像の現像もカメラ内で行なえるが、調整はできず、単にJPEGを生成するのみとなる。


再生モードではRGB別ヒストグラムも表示できる カメラ内でRAW現像も可能。ただし、露出補正などの調整はできない

まとめ

 デジカメの開発の方とお話しさせていただく機会が時々あるが、オリンパスの開発陣には「カメラが好き、写真が趣味」という人が多い。かなりの割合で写真を趣味とする人がデジカメに携わっているようだ。

 今回もプロダクトリーダー氏は雑談の中で、個人的にはOM-3を使うことが多いと語っていた。かの名玉、OM 90mm F2 Macroの開発にも携わったそうで、「引退してからの楽しみとして、1本未開封のままとってあるのです」とのこと。

 不満点はあるし、改良してほしい部分もいろいろとあるが、世界で唯一無二、ライブビューができるレンズ交換式デジタル一眼レフには、他に代えられない大きな魅力があるといって間違いない。どんなに画素の多いカメラよりも、筆者には魅力的である。


作例

※作例のリンク先はJPEGで撮影した画像をそのままコピーしたファイルです。
※写真下の撮影情報は、使用レンズ/記録解像度/露出時間/レンズF値/露出補正値/ISO感度/実焦点距離を表します。


モデル:秋本未莉(ドットシティ)


●ISO感度(NF ON)


14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / 24mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 24mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO400 / 24mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO800 / 24mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO1600 / 24mm

●ISO感度(NF OFF)


14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / 24mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/100秒 / F5.6 / 0EV / ISO200 / 24mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO400 / 24mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO800 / 24mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO1600 / 24mm

●カラーモード


【VIVID】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/320秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm 【NUTURAL】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/320秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

【FLAT】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm 【セピア】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

【モノトーン】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm 【モノトーン黄色】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

【モノトーンオレンジ】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm 【モノトーン赤】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

【モノトーン緑】50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

●ローキーとハイキー


【ローキー】14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 45mm 【標準(-0.7EV)】14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO100 / 45mm

【ハイキー】14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/1,250秒 / F4 / 0EV / ISO100 / 22mm 【標準(0.7EV)】14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/1,000秒 / F4 / 0.7EV / ISO100 / 22mm

●猫

 たとえば塀の上にいる猫。塀は一般的な大人より高いので、塀と平行にたたずむ猫を真正面から撮るのは難しい。今までなら左右からの写真しかないところだが、ライブビューのおかげで真正面から超望遠で狙うことも可能になった。


光学ファインダーで撮影
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / 200mm
光学ファインダーで撮影
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/400秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / 200mm

ライブビューで撮影
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / 200mm

 また、猫という動物は駐車場に良くいるものだが、車の陰に入ってしまうと絵になりにくい。しかしローアングルならさまになる。猫を撮る人なら、この場面におけるライブビューのありがたさを理解してもらえるだろう。


50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO100 / 200mm 50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/80秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / 200mm

カメラを差し上げて、屋根にいる猫を下からライブビューで撮影。400mm相当の超望遠。アングルファインダーでは届かないし、ノーファインダーで適当に撮るのはきわめて難しい。脚立などを持ち歩かない限り、ライブビューなしでは撮れない場面だ
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/4,000秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 200mm
ブロック塀の間から、向こうにいる猫を魚眼で撮影。ほとんどレンズがブロック塀の中に入りそうなところまで近寄っている。光学ファインダーでも撮れる場面だが、下手をするとカメラやレンズをブロックにぶつけてしまう。ライブビューのほうが圧倒的に撮りやすい
8mm F3.5 / 3,136×2,352 / 1/100秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / 8mm

猫と椅子、つまらないシーンだが地面から撮ればそれなりに格好がつく。本当に絵作りがしやすくて、手放せなくなりそうだ
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/2,500秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm
通り過ぎるおばあさんを入れながら、猫を撮る。地面において構図を確認できるからこそ、こういったシャッターチャンスもものにできる。
14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / -0.3EV / ISO100 / 14mm

魚眼で最接近。左下に影が入っているが、魚眼は自分の影が映りやすいので、手を伸ばして撮れるライブビューは好適だ。ここまで近寄ると、レンズを猫になめられたり、猫パンチを食らって傷つく可能性があるので、慎重に
8mm F3.5 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO100 / 8mm
塀の下の猫をライブビューで。猫は物陰に入ってしまうことも多いので、ライブビューは大変ありがたい
14-54mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F7.1 / -1EV / ISO100 / 14mm

同じ目線で撮影することで、背景も大きくぼかせて印象強くなる
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F3.2 / -0.3EV / ISO100 / 123mm
藪の下で寝ている子猫。手を伸ばさなくては撮れない場面だ
14-54mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F5 / -0.3EV / ISO100 / 14mm

塀の上から突然カメラが出てきたので、びっくり顔の子猫。まさかこんなところで撮られるとは思っていなかったのかも
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/320秒 / F3 / 0EV / ISO100 / 130mm

●ポートレート


14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 45mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/160秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / 43mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/125秒 / F6.3 / 0EV / ISO100 / 45mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F8 / 0EV / ISO100 / 14mm

14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F9 / 0EV / ISO100 / 14mm 14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/160秒 / F7.1 / 0EV / ISO100 / 18mm

50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/4,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm 50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/2,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

7-14mm F4 / 3,136×2,352 / 1/60秒 / F5.6 / -0.3EV / ISO100 / 7mm 7-14mm F4 / 3,136×2,352 / 1/60秒 / F5 / 0EV / ISO100 / 7mm

7-14mm F4 / 3,136×2,352 / 1/100秒 / F11 / 0EV / ISO100 / 7mm ライブビュー機能で歩きながら撮影
14-45mm F3.5-5.6 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO200 / 14mm

●そのほか


やっと咲き始めたマンサクの花を魚眼レンズで。太陽の位置を合わせながらの撮影は、撮影そのものは光学ファインダーのほうがやりやすいが、光が強いので目が痛む
8mm F3.5 / 3,136×2,352 / 1/250秒 / F9 / 0EV / ISO100 / 8mm
こちらは50mm F2のマクロレンズで、光学ファインダーで撮影。こういうシーンは光学ファインダーのほうがよい。ハーフミラーで光は減っているものの、視認性に問題はない
50mm F2 / 3,136×2,352 / 1/1,000秒 / F2 / 0EV / ISO100 / 50mm

目線を変えると、たくさんいる普通の鴨でも立派な被写体に変わる
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO400 / 200mm
白鳥やカワセミなどをじっくり狙って撮る人は多いが、スズメのために地面に這いつくばる人はそう多くはないだろう。かわいいスズメの世界も、ライブビューなら身近になる
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / 200mm

岸に腹這いになり、水面近くまで手を伸ばしての撮影。腹這いになっただけではこの角度は得られない
50-200mm F2.8-3.5 / 3,136×2,352 / 1/640秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO200 / 200mm
地上の花を魚眼で撮るとき、もはやライブビューは必須アイテムとも感じる
8mm F3.5 / 3,136×2,352 / 1/200秒 / F7.1 / EV-0.70 / ISO100 / 8mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-esystem.jp/products/e330/
  レンズ交換式デジタルカメラ機種別記事リンク集(E-330)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/link/dslr.htm#e330



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2006/02/21 01:25
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