シグマ 4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMは、APS-Cサイズ一眼レフ専用としては唯一の円周魚眼レンズとして発売された。実は編集部からは当初、このレンズでの「交換レンズ実写ギャラリー」での記事を依頼されていた。しかしいろいろ撮影するうち“一般的な作例”の枠をはみ出してしまったため、このコーナーで取り上げることにした。そもそもこのレンズはあまりに特殊な写りをするため、一般的な作例を撮ること自体が不可能なのだ。
まず4.5mm F2.8 EX DC Circular Fisheye HSMは、APS-Cサイズの撮像素子にに直径12.3mmの円形画面が写り込むのが普通のレンズとの大きな違いだ。この円内に画角180度の風景が写っている。画面の左右にフェンスのほぼ両端までが写っており、画面下には三脚の脚も写り込んでいる。円の中心から外れる直線は湾曲し、フェンスは中央部が大きく膨らんで写っている。肉眼の感覚を完全に超越した円周魚眼特有の世界だ。
次は対角魚眼での撮影。同じく180度の画角を有する特殊な描写だが、画面が四角いので円周魚眼よりはだいぶ普通に思える。蛇足ながらこの写真、実は35mm判用の円周魚眼シグマ8mm F4 EX Circular Fisheyeニコン用を、マウントアダプター(近代インターナショナルのニコン-フォーサーズマウントアダプター)を介し、オリンパスE-410に装着して撮影している。フォーザーズ規格の撮像素子の面積は35mm判の1/4なので、35mm判用の円周魚眼をフォーサーズのデジタル一眼レフに装着すると、対角線魚眼となるのだ。もちろんフォーサーズ規格専用の対角線魚眼としてオリンパスからZUIKO DIGITAL ED 8mm F3.5 Fisheyeも発売されている。しかしぼくはこのレンズの発表前に、待ちきれずにシグマ8mm F4を「フォーサーズ用に」買ってしまったのだ。なお現在はシグマから新タイプの8mm F3.5 EX DG Circular Fisheyeが発売されているが、同レンズのニコン用は絞り環がないタイプで、マウントアダプターで遊ぶには旧タイプの8mm F4の方が適している。
その次、魚眼とは異なる超広角レンズの代表としてフォーザーズ用ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F4の7mm側でも撮影してみた。魚眼レンズとの大きな違いは、全ての直線をほぼまっすぐに写しながら、114度もの画角(対角線)を実現している点だ。こうして比較するとさらに普通に見えるが、魚眼レンズとは違う意味で使いこなしの難しいレンズと言える。