今回扱ったキヤノン「EOS-1D Mark IV」と「EOS-1Ds Mark III」の一番の違いは、イメージャーがAPS-Hサイズか35mmフルサイズかとなる。前者は35mm判換算の焦点距離が1.3倍。APS-Cサイズ相当のイメージャーよりは35mmフルサイズに近く、広角中心の絵を撮影しない限り、あまりその差が気にならない。実はこの1.3倍、筆者にとって非常に懐かしい画角だったりする。
1996年頃、デジタル一眼レフカメラで「EOS DCS 1c」というカメラがあった。ただ今のボディと比較すると、バッテリー固定、液晶モニター無し、ローパスフィルター無し、赤外線カットフィルター無し、RAW記録オンリーなど、いろいろな面で別物。そしてファインダー内に実際に写るエリアの枠が書かれている、つまり視野率100%以上という、銀塩のボディに無理無理デジタルバックを付けたような仕様だった。筆者が初めて触ったデジタル一眼レフカメラなのだが、その換算が1.3倍。EOS-1D Mark IVで撮っていた時に、何となく懐かしさを感じたのはこれが理由かも知れない。14年後に、こうなっているとは誰も予想できなかったのではないだろうか。
そして当時はコダックのRAW現像エンジンを使っていたが、その後、キヤノンもオリジナルのRAW現像ソフトウェアを開発、今に至っている。筆者の知る限りカメラ同梱で提供しているRAW現像ソフトとしては、キヤノンのものが一番多機能で完成度も高い。この頃のノウハウが生かされているのだろう。
EOS-1D Mark IV + EF 24-70mm F2.8 L USM ISO200 / WB:オート / F3.5 / 1/200秒 / RAW(Digital Photo Professionalで現像) |
さて、話をEOS-1D Mark IVに戻すが、今回試さなかった機能で便利そうなのが、「Mモード+ISOオート」だ。これはマニュアルでF値とシャッタースピードを設定、それに露出が合うように、自動的にISO感度が上下する仕掛けだ。例えば筆者のパターンだと、絞りF5.6、シャッタースピード 1/200秒に固定したまま、明るさに応じてISO感度が変わる。手ブレ&被写体ブレを抑えつつ、被写界深度が固定でき、均一な雰囲気の写真を撮ることができる。ノイズの少ない実用的な絵が幅広いISO感度で撮れるようになったことで可能になったファンクションだ。現状でもかなり完成度が高くなったデジタル一眼レフカメラ、次の14年後はどうなっているのだろうか?
actress木村亜梨沙@Style Corpration
photographer西川和久
EOS-1D Mark IV
EF 24-70mm F2.8 L USM
2010/5/28/ 00:00