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イルミネーション撮影で「丸ぼけ」を作る方法

〜マイクロフォーサーズと小型三脚で挑戦
Reported by 吉住志穂

E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/100秒 / 0.0EV / ISO200 / WB:白熱電球 / 25mm  / 多重露光

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 今年もイルミネーションの季節がやってきました。毎年各地で多くのイルミネーションスポットが生まれていることもあり、皆さんも一度はデジタルカメラや携帯電話で撮影したことがあるのではないでしょうか。

 イルミネーションの撮影で特徴的な表現といえば、「丸ぼけ」(まるぼけ)が思い浮かびます。点光源を大きくぼかすことで現れる円形のぼけで、「玉ぼけ」とも呼ばれています。明るい光源をぼかすと丸くぼける、あの独特の表現です。大きな丸ぼけはとてもファンタジックですし、ぼけ表現のひとつだけあり、携帯電話やコンパクトデジタルカメラでは不可能な世界。レンズ交換式カメラでこそ楽しめる表現といえます。

 大きな丸ぼけをつくるには、それなりの機材とコツが必要になります。使うカメラとレンズは、なるべくぼけが大きくなる組み合わせを推奨します。35mm判フルサイズセンサーを搭載したデジタル一眼レフカメラが有力候補ですが、今回はあえて、マイクロフォーサーズのオリンパス・ペンE-P2を使ってみました。というのも、マイクロフォーサーズのレンズに、コシナ「NOKTON 25mm F0.95」(以下25mm F0.95)が登場したためです。後で詳しく述べますが、F0.95という明るいレンズは、丸ぼけの強い味方です。

 それに加えて、こちらも発売されたばかりのオリンパス「M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7」(以下75-300mm F4.8-6.7)を使ってみました。35mm判換算で600mm相当の望遠ズームレンズです。開放値はもの足りませんが、望遠に強いレンズほど、丸ぼけに有利。焦点域にも幅があり、使いやすそうです。

今回使った機材。上段左から、E-P2、NOKTON 25mm F0.95、M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7。下段はベルボンのウルトレック45L 撮影現場での状態。レンズはNOKTON 25mm F0.95

 カメラとレンズの組み合わせがコンパクトにまとまるのも、マイクロフォーサーズのうれしい点です。そこで、今回は三脚を小型のものにしてみました。使用したのはベルボンの「ウルトレック45L」と「カルマーニュG5400 III」。どちらもコンパクトで扱いやすく、特にウルトレック45Lは、縮めると295mmになり、トートバッグの片隅に入れて持ち歩くことができます。カルマーニュG5400 IIIはいつも私が使っている三脚。大きさの割にしっかりしているのが好みです。

 機材がすべて軽量でコンパクトなので、今回のロケは、イルミネーション撮影とは思えないほど軽装備でした。もちろんフルサイズ用のデジタル一眼レフカメラと大口径レンズの組み合わせにはかないませんが、この機材でどこまでできるか、参考程度にみてもらえればと思います。


きれいな丸ぼけの作り方

「大きな丸ぼけを作る」といっても、技術的には「背景を大きくぼかす」と同じ。つまり、なるべく背景をぼかすことで、自然と点光源ボケも大きくできるわけです。そのため今回のテクニックは、ポートレートや花のマクロ撮影などで、大きなぼけを得るためのテクニックとして流用できます。

 ではここからは具体的に、なるべく大きな丸ぼけを作るためのテクニックを紹介しましょう。


・焦点距離の長いレンズを使う

 焦点距離の長いレンズ、つまり望遠側に強いレンズほど、ボケは大きくなります。広角レンズより標準レンズ、標準レンズよりも望遠レンズが有利。標準ズームレンズの場合、望遠端までズームさせることで、条件によってかなりぼけます。といっても、望遠レンズにはかないません。

 マイクロフォサーズのレンズは種類が増えてきており、望遠レンズならオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4-5.6や、LUMIX G VARIO 45-200mm F4-5.6 MEGA O.I.S.があります。さらに今回使った新製品の75-300mm F4.8-6.7になると、35mm判換算で焦点距離600mm相当の超望遠に。開放値F6.7と暗いのはともかく、ここまで望遠に強ければ、大きな丸ぼけを期待できます。

 下の作例では、E-P2の標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」(以下14-42mm F3.5-5.6)の望遠端と、M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7(以下75-300mm F4.8-6.7)の丸ぼけを比べてみました。両方のレンズで、柵の上に置いたくまが同じ大きさになるように撮っています。

E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約4.9MB / 4,032×3,024 / 1.6秒 / F5.6 / +1.0EV / ISO200 / WB:オート / 42mm E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 / 約4.2MB / 4,032×3,024 / 1.6秒 / F6.7 / +1.3EV / ISO200 / WB:オート / 300mm

 14-42mm F3.5-5.6でも結構ぼけが丸くなっており、背景をある程度残しつつ、ファンタジックな雰囲気を出すには十分な表現力です。一方、75-300mm F4.8-6.7の丸ぼけは大きく、14-42mm F3.5-5.6の写真とは印象が一変しています。画面端に行くに従って、丸ぼけがラグビーボールのように歪んでいるのが残念ですが、大きさのインパクトはかなりのものでしょう。

 どちらのレンズにも持ち味と活用すべきシーンがあるわけですが、大きな丸ぼけを作りたい場合、同じF値なら焦点距離がなるべく長いレンズの方が有利です。


・明るいレンズを使う

 ぼけを大きくしたいなら、明るい(開放F値が小さい)レンズが有利です。経験上、望遠レンズで丸ぼけが大きく出せるのは、35mm用の200mm F2、135mm F2、85mm F1.4などの明るいレンズ。これらのレンズは丸ぼけの出方にもこだわっているようで、きれいで大きな丸ぼけが出せます。

 残念ながらマイクロフォーサーズに、こうした大口径の望遠レンズは用意されていません。そのためこれまでは、マウントアダプターを使って、ほかのマウント用のレンズを使うしかありませんでした。しかし前述した通り、この冬発売されたコシナのNOKTON 25mm F0.95は、開放値F0.95と明るいレンズです。ぼけをとりいれた表現を試したい人には、うってつけのレンズでしょう。

 次の作例は25mm F0.95を使い、F0.95からF8まで絞りを変えて撮ったものです。最も丸ぼけが大きいF0.95は、丸ぼけというより画面全体が輝かしい感じで、これぞ大口径単焦点レンズといった表現。ぼけが歪んでいるのが気になりますが、絞りを閉じていくと落ち着いていきます。その代わり、絞るにつれて角が目立つようになり、丸ぼけ自体も小さくなります。撮影意図にもよりますが、今回のケースでは、F2やF2.8でもイルミネーションの華やかさは伝わるでしょう。

 25mm(35mm判換算で50mm相当)の焦点距離は、望遠ではなく標準画角です。それでもこれだけぼけるのですから、レンズの明るさはイルミネーション撮影で重要なことがわかるでしょう。望遠レンズより画角が広いので、望遠レンズとは違った絵作りも楽しめます。

E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.0MB / 4,032×3,024 / 1/10秒 / F0.95 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 1/8秒 / F1.4 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm
E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.4MB / 4,032×3,024 / 1/4秒 / F2 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/2秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm
E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.7MB / 4,032×3,024 / 1.0秒 / F4 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.2MB / 4,032×3,024 / 2秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm
E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 4秒 / F8 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm

 同じ撮影位置から、14-42mm F3.5-5.6の絞り開放でも撮ってみました。焦点距離は25mm F0.95にあわせています。これが最大にぼけた状態だと考えると、やはりイルミネーション撮影では明るいレンズが欲しくなりますね。

E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 2秒 / F5.6 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm

・被写体に近づく

 カメラと被写体までの距離も、ぼけの大きさが変える要素になります。被写体に近いほど、背景が大きくぼけます。つまり、手前にピントを合わせるほど、背景のぼけが大きくなります。最短撮影距離が短いレンズほど有利というわけです。

 被写体までの距離を変えてみたのが、下の例になります。ある程度引いて撮った最初の例に対し、被写体のくまに迫って撮った次の作例の方が、大きな丸ぼけになっていることがわかります。

E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.1MB / 4,032×3,024 / 1/15秒 / F0.95 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm 左の写真を撮ったときのカメラと被写体の距離。これぐらい離れている
E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.1MB / 4,032×3,024 / 1/15秒 / F0.95 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 25mm 背景のぼけを大きくするため、上の作例より近づいてみた(左写真)

 ただし、常に最短撮影距離やぼけにこだわる必要はないでしょう。あくまでも、メインの被写体がどう見せたいかが重要。構図が良ければ、ぼけが小さいからといって、がっかりする必要はありません。


・背景を遠ざける

 もう一つ重要な原則があります。それは、背景が遠いほどぼけやすくなるということです。被写体に近づいたとしても、背景の点光源が近いとあまりぼけません。アングルを変えて、遠くの点光源を背景に入れるようにしましょう。

E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.4MB / 4,032×3,024 / 1/15秒 / F0.95 / 0.0EV / ISO200 / WB:日陰 / 25mm 左の写真を撮ったときの状況。背景の点光源までの距離はかなり近い
E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.0MB / 4,032×3,024 / 1/25秒 / F0.95 / 0.0EV / ISO200 / WB:カスタム(7,000K) / 25mm 今度は背景の点光源をはるか遠くの観覧車にしてみた。大きくぼけたのがわかる(左写真)

まとめ

 以上の4つのポイントを実践すれば、より大きな丸ぼけを作ることができます。覚えてしまえばそんなに難しい話ではありませんが、問題は条件を満たす撮影場所があまりないこと。また、あまりぼけの大きさにこだわらず、どちらかというと、被写体の魅力と構図で勝負した方が良いでしょう。

 今回はマイクロフォーサーズで撮ってみましたが、レンズの選び方次第で、ぼけを取り入れた作品がしっかり撮れることがわかりました。また、25mm F0.95はマニュアルフォーカスしかできないレンズですが、ライブビューで画面を拡大できるマイクロフォーサーズの場合、三脚を使うとマニュアルフォーカスのみでも問題ありません。むしろフォーカスリングの操作性が良いので、近距離の被写体にじっくりとピントを合わせるのに都合が良かったです。

 最後に、イルミネーション撮影ではE-P2の多重露光モードが役立ちます。レンズを最短撮影距離にして遠くの点光源をぼかしてとり、次に被写体にピントを合わせて撮影。2枚を合成すれば、背景をぼかしにくいシチュエーションでも丸ぼけを作り出せます。多重露光機能のあるデジタルカメラを持っている人は、ぜひ試してみてください。


作品


E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.5MB / 4,032×3,024 / 1/80秒 / ISO200 / 25mm / 多重露光

E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 / 約4.9MB / 4,032×3,024 / 2秒 / F6.7 / +1.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 300mm

E-P2 / M.ZUIKO DIGITAL ED 75-300mm F4.8-6.7 / 約4.8MB / 4,032×3,024 / 1/8秒 / F5.5 / +0.3EV / ISO200 / WB:オート / 132mm / 仕上がり:モノクロ

E-P2 / NOKTON 25mm F0.95 / 約5.6MB / 4,032×3,024 / 1/100秒 / F2 / +2.0EV / ISO200 / WB:晴天 / 25mm




(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。日本自然科学写真協会(SSP)会員。

2010/12/9 12:00