【特別企画】東京スカイツリーのオススメ撮影ポイント

~シフトレンズや超広角レンズでも撮ってみた
Reported by 種清豊

撮影当日(5月18日)の高さは379mだった東京スカイツリー

 墨田区押上業平橋地区に新電波塔および商業施設として、2012年の開業を目指し建設中の「東京スカイツリー」。2008年7月の建設開始から約2年経った現在、高さが379mに達しており、完成後は第一展望台やレストランとなる部分が確認できる。完成時には634mの高さになるということはすでに多くの方がご存知だろう。

 東京タワーの高さを超えた辺りから一層周辺への観光客が増加したそうで、平日、休日ともに周辺地域は多くの人でにぎわい、加えて写真撮影が目的の方も多く訪れている。完成後は大型商業施設も併設されることから、一大観光地としての期待が大変高まっている。

 しかしツリー建設現場周辺は、もともと住宅地や商店、工芸品店などが点在するいわゆる東京の下町が広がっていて、多くの人が集中して訪れる環境はこれから整備されていくようだ。実際、見学者が増えているため東武鉄道株式会社と東武タワースカイツリー株式会社は、三脚を使用しての撮影が可能な「見学広場」や「撮影スポット」を用意している。

 当然スカイツリーは背の高い建造物なので、そこに限らず現在の高さでも、遠くは筑波山や宇都宮からも確認できるそうだが、今回はそれら「撮影スポット」を中心に、東京スカイツリー周辺からの撮影を行なってみた。撮影場所の地図も掲載したので、撮影の際に参考にして欲しい。


近くから全体を撮るには超広角レンズが必須

今回の撮影に使用した機材。キヤノンEOS 5D Mark II、TS-E 17mm F4 L(カメラに装着)、EF 70-200mm F2.8 L IS II US(奥)、EF 16-35mm F2.8 L II USM(手前)、EF 24-70mm F2.8 L USM(左)

 まずは東京スカイツリー最寄駅となる東武伊勢崎線、業平橋駅から時計回りに建設現場沿を歩き、撮影場所を探す。すぐに「見学広場」があるので三脚を使っての撮影が可能だ。ただ、ツリーの麓からの撮影になるので、全景を入れるとなると17mm近くの超広角レンズが必要となる。ここでは、キヤノン「EF 16-35mm F2.8 L II USM」を中心に撮影した。ツリーのみを撮影することもできるわけだが、線路沿いということで、架線も少し入れて撮影している。

 今回は実験的ではあるが、建物などの歪みを抑制して撮影できるキヤノン「TS-E 17mm F4 L」というシフトレンズを使っての撮影も試みた。ツリー自体のすぼまりも多少は軽減できるが、それよりも周囲に写る建物の歪みの違いがよくわかった。

 「見学広場」と「撮影広場」は東武伊勢崎線の線路沿いにそれぞれ1カ所づつある。東京スカイツリーのオフィシャル撮影スポットといったところだ。ちなみに、見学広場は2012年3月一杯で閉鎖の予定。撮影広場は、工事の進捗により将来閉鎖になることもあるとのことだ。いずれも住宅に近い場所なので、近隣住民の迷惑にならないように利用したい。


※撮影データ付きのサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの実写画像を表示します。

見学広場

EOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 1/500秒 / F11 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 16mm
東武鉄道と東京スカイツリーの事業会社である東武タワースカイツリーが用意した敷地の1つである見学広場。三脚の利用が可能だ鉄道保守作業時などを除くといつでも利用できる。自動販売機やベンチがあり、休憩にも良いだろう
残念ながら列車も構図に入れようとすると、柵も映り込む。見学広場は三脚の利用が可能だ


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撮影広場

EOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 3,744×5,616 / 1/2秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 42mmEOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 10秒 / F6.3 / -0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mm
こちらもオフィシャルに用意されている撮影スポット。三脚が使用できる
撮影広場には日中に一度訪れたが、光がもうひとつだったので夜に再度訪れて夜景を狙った撮影広場近くの踏切には、撮影は撮影広場を利用して欲しい旨の掲示があった


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地下鉄押上駅A3出口向かい側付近

EOS 5D Mark II / TS-E 17mm F4 L(シフト使用) / 5,616×3,744 / 1/250秒 / F16 / 0EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 17mm見学広場から撮影広場に向かう途中にある歩道から撮影。レンズをフォール側にシフトさせて遠近感をより強調している


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業平2丁目交差点付近

EOS 5D Mark II / TS-E 17mm F4 L(ティルト、シフト不使用) / 5,616×3,744 / 1/250秒 / F13 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 17mmEOS 5D Mark II / TS-E 17mm F4 L(ティルト、シフト使用) / 5,616×3,744 / 1/250秒 / F13 / 0EV / ISO100 / マニュアル露出 / WB:オート / 17mm
少し移動して浅草通りからカメラを向ける。ここでは背の低い商店の背後にツリーが入る作品が撮れるこの場所では、シフトレンズのノーマル状態とシフトおよびティルト状態を比べてみた。アオリ機能を使うことで歪みが大きく改善しているのがわかる


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業平2丁目歩道橋上

EOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 3,744×5,616 / 1/125秒 / F16 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 25mm上記の業平2丁目交差点からすぐの歩道橋。ビルの間から伸びるツリーを収められる


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東武橋の浅草通り側たもと

EOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 3,744×5,616 / 1/80秒 / F16 / -0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 32mm業平橋駅改札からもほど近い東武橋のたもと。手前のクレーン群を絡めた構図で撮影できる。建設中ならではの風景だ


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向島1丁目24番と北十間川の間

EOS 5D Mark II / EF 24-70mm F2.8 L USM / 3,744×5,616 / 1/125秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 40mm東武伊勢崎線の高架とビルが作るV字からのツリーが撮影できる


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源森橋上

EOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 1/160秒 / F9 / +0.3EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mmEOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 1/200秒 / F9 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 20mm
建設現場から少し離れた場所として、スカイツリー見物スポットとしてすでに有名になっている北十間川と東武線の高架を入れたツリーを撮影できるスポットだ


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向島3丁目2番付近

EOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 1/160秒 / F9 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 16mm向島周辺では路地からまっすぐにツリーが見えるポイントなどがある


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三囲神社前歩道

EOS 5D Mark II / EF 70-200mm F2.8 L IS II USM / 3,744×5,616 / 1/800秒 / F9 / -0.7EV / ISO200 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mmEOS 5D Mark II / EF 70-200mm F2.8 L IS II USM / 5,616×3,744 / 1/125秒 / F9 / +0.7EV / ISO100 / 絞り優先AE / WB:オート / 70mm
ツリーから少し離れた位置からだと、望遠レンズでの撮影も楽しめるだろう


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桜橋下

EOS 5D Mark II / EF 16-35mm F2.8 L II USM / 5,616×3,744 / 1/200秒 / F7 / 0EV / ISO100 / プログラムAE / WB:オート / 16mm
さらに少し足をのばして、隅田川に架かる桜橋から首都高速を入れた撮影も可能である。さらに隅田川の対岸からは桜橋の曲線を活かしたフレーミングができる


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時間帯や天気の違いも活かして撮影しよう

場所によってはツリーの左右の稜線が対称にならず、ねじれたように見える。こうしたポイントを探してみるのも楽しい。(桜橋上から)

 先にも述べたように、東京スカイツリーは高い建物なので、あらゆる地点から撮影することができる。当然ながら、ツリーそのものを撮影する以外に、周辺の状況も取り入れた撮影が肝心になってくる。今回撮影したポイントなどはほんの一握りであるが、天候や太陽の位置、時間帯によっても見え方は変化していくので、同じ場所でも写真に変化は現れるだろう。

 また、少し離れた位置になると撮影位置によって目立ってくるツリーの特徴として、ツリーそのものが少しねじれたように見えることがある。これは、ツリーの基部は三角形なのに対し、上層部に行くにしたがって断面が円形になるためだそうだ。あくまでも現在の379mの高さを基本にしての撮影であるので、完成した時点でどのようにスカイツリーが見えるのか全く想像できない。そういった意味では、これからでも遅くないのでぜひ自分だけが知る撮影ポイントを探してみてほしい。






種清豊
(たねきよ ゆたか)1982年大阪生まれ。京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業後、写真家竹内敏信氏のもとで約3年間のアシスタントを経て、2007年よりフリーランスに。主に日本各地に残る明治、大正、昭和初期のクラシックな素材から現代の街まで幅広く撮影中。また人物撮影や、東京の下町の祭も撮影。キヤノンEOS学園講師、NPO法人フォトカルチャークラブ講師。ブログはこちら

2010/5/26 00:00