新製品レビュー

OLYMPUS PEN E-P5

“メカらしさ”が心地よいボディ。新操作系にも注目

 6月28日にオリンパスPENの最新機種「OLYMPUS PEN E-P5」が発売となる。前機種E-P3から2年のブランクを空けてのフルモデルチェンジだ。同社からは同じマイクロフォーサーズ規格のOLYMPUS OM-D E-M5が登場し人気を得ている今、PENシリーズの牽引役としてE-P5にどのような差別化が図られているのか多くの人が気にしていたことだろう。

 その答えはPENとともに過ごす時間を楽しくするための「上質感」であり、PENフラッグシップに相応しい基本性能の進化にあった。

 カラーバリエーションはシルバー、ホワイト、ブラックの3色。執筆時点での大手量販店の予約価格は、ボディ単体(ボディキャップレンズ「BCL-1580」セット・受注生産)が9万9,800円前後。「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R」レンズキットが11万9,800円前後、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」レンズキットが13万9,800円前後となっている。また、グリップ部が天然木製のプレミアムモデルが数量限定で受注生産され、こちらはそれぞれ+6,000円である。

金属感が心地好い上質なデザイン

 まず目を引くのが“カメラ感”の一層高まった上質なボディデザインだ。2009年7月に登場したE-P1からつづく基本デザインを踏襲しているが、オリジナルとされる銀塩一眼レフカメラ「ペンF」の独特ながらも美しい形状をエッセンスとして取り入れつつ、現代的な新鋭機としての機能美を融合して見事にまとめ上げている。

 トップカバー前面のロゴには「PEN」の文字が追加され、プリントでなくわざわざ刻印に墨入れが施されている。トップカバーと前面カバーの接合部のラインに左右で段差があってシンメトリカルでないことなどは、オリジナル・ペンFのスピリットを継承したデザイン上の変更点であろう。

 外装のほとんどが金属製で、本体上部のボタンやダイヤルも全てアルミ削り出しである。細部の形状まで使い心地に配慮して高精度に造り込まれ、ボタン類はカラーバリエーションごとに表面処理を変更しているという徹底的なこだわりにようだ。ほどよい重量を感じながら、手になじむ心地好いメカの感触を楽しむことができる。

 背面モニターは上下チルト可動式になったが、収納時にボディからモニターが出っ張りデザインを崩すようなことはなく、思わずモニターが動くことを忘れてしまうほどスマートに組み込まれている。ちなみにE-P5のボディサイズは122.3×68.9×37.2mmで、前機種のE-P3が122×69.1×34.3mm。背面モニターが固定式から可動式になっても、サイズに影響はほとんど与えていない。

シャッターボタン、モードダイヤル周り。ダイヤルやスイッチ類は全てアルミの削り出し、テンションや指がかり等の操作感色まで考慮して細部まで入念に造り込まれている。
メインダイヤルが移動し十字ボタンも金属製に。見た目もカッコよく、操作もしやすくなった。
ポップアップ式の内蔵フラッシュ。ガイドナンバーは10(ISO200・m)。外部フラッシュのワイヤレス制御するコマンダー機能を搭載している。
背面のフラッシュスイッチ。とても押しやすく便利であるのだが、押しやすすぎて意図せずフラッシュが飛び出ることも……。
ホットシューおよびアクセサリーポート2。ストロボやEVFなど対応する周辺機器を使うことができる。
背面モニターは上80度下50度のチルト可動式液晶モニター。タッチパネル式を採用する。高精細104万ドットとなり、ハイアングルやローアングルでの撮影の自由度が増した。デザインが崩れることなく組み込まれている。
インターフェース部。上がHDMIマイクロコネクタ(タイプD)、下が専用マルチコネクタ(USB2.0)。
バッテリー及び記録メディア室。記録メディアはSDXC/SDHC/SDカードに対応する。Eye-Fiカードも利用可能
バッテリーはOM-D E-M5と同じBLN-1を採用。撮影可能コマ数はCIPAの試験基準で手ブレ補正ON時で400枚。同梱の充電器で充電する。
「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2」ブラックモデルを装着したイメージ。全世界3,000セット限定のレンズ。同じく黒塗装を施されたレンズフードの他に、レンズキャップとプロテクトフィルターがセットになっている。

便利に使える新操作系「2×2ダイヤルコントロール」

 従来、カメラ背面に設置されていたメインダイヤルとサブダイヤルは、トップカバー右手側の前後に位置が変更され、後ダイヤルがメインダイヤル、前ダイヤルがサブダイヤルとなった。従来モデルでは電子ビューファインダーを覗いたままだと窮屈で操作しづらいことがあったので、これは操作性の向上という面で歓迎したい変更点だ。

E-P3まで背面にあったメイン/サブダイヤルはトップカバー右手側に前後ダイヤルとして移動した。

 ただし、メインダイヤルと間違えてモードダイヤルを回したために、いきなり撮影モードが変わって驚いたことが何度かあり、接眼したままで操作を行なうにはダイヤルの位置を覚えるのに少し慣れが必要だろう。

 背面の動画ボタン周囲には「Fn(ファンクション)レバー」が新たに備えられ、これと2ダイヤルを掛け合わせて操作する「2×2ダイヤルコントロール」と呼ばれる新操作系が搭載された。「2×2ダイヤルコントロール」は、Fnレバーのポジションを切り換えるだけで「絞り/シャッター速度」「露出補正」「ISO感度」「ホワイトバランス」など撮影時に操作頻度の多い機能をダイレクトにダイヤル操作することを可能とするもの。4種類のモードが用意されており、通常の「2×2ダイヤルコントロール(MODE1/2)」に加え、Fnレバーを「動画ボタン切り替え(MODE3)」、「フォーカスモード切り替え(MODE4)」のためのレバーとしても使用可能だ。

 簡単にいえば、Fnレバーのポジションによってメイン/サブダイヤルの機能を入れ替えることができる操作系であり、実際の使用でもストレスなく直感的にISO感度やホワイトバランスを変更できて大変に便利な機能だと実感できた。ただ、Fnレバーのポジションが今どちらにあるのかを常に把握していないと、サブダイヤルを回して露出補正をするつもりがISO感度変更になってしまう、といったミスを犯すことになるので注意が必要である。

ムービーボタンと同軸にFnレバーが新設された。メイン/サブダイヤルと一緒に新操作系「2×2ダイヤルコントロール」をなす。
Fnレバーは2つのポジションを切り換えることができ、切り換える機能はmode1からmode4まで4種類を選択可能。
mode1は「2×2ダイヤルコントロール」で、Fnレバーをポジション2にするとメインダイヤルでホワイトバランス、サブダイヤルでISO感度を設定できる。ポジション1は通常のメイン/サブダイヤルの撮影機能だ。
mode2も「2×2ダイヤルコントロール」。Fnレバーをポジション2にするとメインダイヤルでISO感度、サブダイヤルでホワイトバランスを設定できる。ポジション1は通常のメイン/サブダイヤルの撮影機能だ。
mode3ではムービーボタンの機能切り替えができる。ポジション1では設定した割り当て機能、ポジション2では動画撮影になる。
mode4では、S-AF/MFのように、それぞれに設定したAF方式に切り換えることができる。
操作中の「2×2ダイヤルコントロール」の画面。写真はmode1でFnボタンをポジション2にセットし、ISO感度/ホワイトバランスを設定しているところ。
操作性の特徴としてLVスーパーコンパネ(左)の搭載がある。設定項目を一覧で表示し、ダイレクトに設定変更ができるので便利だ。タッチ操作も可能。

一眼レフ上級機に匹敵する基本性能

 イメージセンサーは有効1,605万画素の4/3型Live MOSセンサー。E-P3が1,230万画素だったので、これで下位機種のE-PM2やE-PL5に先を越されていた有効画素数で追いつき、OM-D E-M5と同等のスペックになった。

 特筆すべき点はミラーレス機で世界初という1/8,000秒の高速メカニカルシャッターだ。一眼レフにおいて上級機であるための条件のひとつでもある高速シャッターの搭載は、PENフラッグシップ機たるE-P5にとって相応しい基本性能の進化といえるだろう。

撮像素子は有効1,605万画素のLive MOSセンサー。小型化することで搭載可能となった5軸手ブレ補正機構を内蔵している。
最高1/8,000秒のシャッターにより、明るい日中でも大口径レンズの開放付近を使って背景ボケを活かした表現ができる。新設のISO LOWを併用すればさらに効果的だ。

 またISO100相当の「ISO LOW」が新たに搭載され、これと高速シャッターを併用すれば、日中の明るい条件でも大口径レンズの絞りを開けて、背景ボケを活かした写真を撮ることができる。ただし、ISO LOWは拡張感度であり、基準感度のISO200に比べると諧調性は劣る。特にハイライトの粘りは失われがちなので、あくまで標準感度では露出のコントロールが難しい場合の非常用と考えるようにしたい。

 その他にもレリーズタイムラグが最短約0.044秒になる「高速レリーズタイムラグモード」の新搭載、最大9コマ/秒の高速連写(AF追従時最大約5コマ/秒)、流し撮りを自動検知する「IS-AUTO」に対応したボディ内5軸手ブレ補正など、外見のデザインだけでなく撮影能力の向上もシッカリと図られており、ミラーレス機でトップクラスといえるレスポンスのよい撮影が可能だ。

ピンポイントに合わせられるAF

 AFスピードは「FAST AFシステム」の搭載によって大変速い。E-P3でも当時は十分に速いと感じたのだが、「新16M Live MOSセンサー」の駆動速度を利用したAFシステムはOM-D E-M5でさらに高速化を達成し、それが本機にも受け継がれたかたちだ。

 フォーカス位置をピンポイントで細かく指定したいときに便利な拡大枠AFも進化し、「スーパースポットAF」となった。5〜14倍に指定したポイントを拡大したまま(拡大枠はタッチで操作可能)さらにその中心部分のみをAFポイントにすることができ、位相差AFを超える極小のAFポイントで緻密なピント合わせが可能。しかも拡大中は自動的に手ブレ補正が働き、画面が安定するという親切設計だ。

拡大枠AFを搭載し、選択したポイントを5〜14倍の拡大率で表示できる。拡大枠の位置はタッチで自由に移動できる。
拡大枠AFで選択したポイントを拡大したまま、さらに中央部分をAFポイントにする「スーパースポットAF」が搭載された。これまでにない極小のAFポイントで精密なピント合わせが可能である。

 また「スーパースポットAF」とは別で、35点のAFエリアの1点あたりの面積を、通常よりも小さくできる「スモールAFターゲット」も搭載されている。この機能はE-PM2とE-PL5で初搭載された機能で、AFターゲットの面積を常時小さくしておくことができるので、ピンポイントでのピント合わせを多用する人は便利に使えるだろう。

視認性が向上した電子ビューファインダー

 レンズキットに同梱される電子ビューファインダー(EVF)「VF-4」(単体価格は3万3,600円)は236万ドットの液晶パネルを搭載し、視野率100%、ファインダー倍率1.48倍と大きく非常に視認性が高い。これまでの144万ドット・倍率1.15倍の「VF-2」、それと同等でOM-D E-M5に内蔵の電子ビューファインダーも、なかなか視認性が高く定評があったが、改めて見比べてしまうとその差は歴然。アイセンサーの応答速度も良好で、このVF-4が同梱されるだけでもレンズキットを買う価値がある。

電子ビューファインダー「VF-4」を装着したイメージ。236万ドット液晶で倍率は1.48倍。広く高精細でフルサイズ一眼レフ上級機と同等の視認性を誇る。
可動式チルト機構、シューロック機構、視度調整機構を備え、使い勝手にも優れる。E-P5に装着した場合のアイセンサーの反応も秀逸だ。
【参考】「VF-4」(左)とOM-D E-M5(右)の内蔵EVFを見比べてみた。144万ドット、倍率1.15倍のOM-D E-M5に比べると、視認性の向上は明らかである。

アートフィルターとフォトストーリー

 同社デジタルカメラで定評ある「アートフィルター」は、もちろん本機にも搭載されている。搭載されるアートフィルターは、ドラマチックトーンやウォーターカラーなど全12種類。これにソフトフォーカスやアートフレームといった6種類の「アートエフェクト」効果を掛け合わせることができる。

 アートフィルターは同梱のRAW現像ソフト「OLYMPUS Viewer 3」を使うと、撮影後のRAWデータに自由に効果を反映できるのが特徴。積極的に楽しんでもらいたい独自機能のひとつだ。

 「フォトストーリー」は同社のコンパクトデジタルカメラ「STYLUS XZ-10」で初めて搭載された機能であり、本機には「スタンダード」と「ファンフレーム」の2種類のテーマが用意されている。分割されたひとつの画面内に複数の視点で見た表現を並べることが可能で、テーマを選んだ後に画面内の分割数、黒フチやピンホールといった効果を選択する。

 フォトストーリーの撮影は、ほとんどの操作は液晶モニターをタッチするだけで直感的かつ簡単にできる。分割されたフレームの順序と撮影、あるいは撮影が気に入らなかった場合の撮り直しなども全てタッチパネル上の操作で可能だ。

ひとつのシーンを複数視点で切り取り一枚の写真にすることのできる「フォトストーリー」を搭載。E-P5には「スタンダード」と「ファンフレーム」の2種類のテーマが用意されている(クリックでオリジナルサイズを表示)。

Wi-Fi機能の内蔵

 本機はPENシリーズで初となるWi-Fi機能を内蔵している。スマートフォンに無償の専用アプリ「OLYMPUS Image Share」をインストールすることで、カメラとスマートフォンの連携が可能となる。

 Wi-Fiでカメラとスマートフォンを接続する場合、初期設定で苦労することが多いが、本機ではカメラに表示されるQRコードを読みとるだけで、面倒な初期設定も数ステップで完了するのが優れたところ。

Wi-Fiとスマートフォンの接続設定は往々にして面倒なことが多いが、本機ではQRコードを読み取るだけで簡単に初期設定が完了する。

 あとは背面モニターのWi-Fiボタンを押すだけでアプリと接続でき、「シェア予約」機能を使えば選んだ画像だけを簡単にスマートフォンに転送することができる。スマートフォンにカメラのライブビュー画面を表示してリモート撮影ができる「ワイヤレスタッチAFシャッター」も便利な機能だ。

実写サンプル

  • ・作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • ・縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・ISO感度

高感度ノイズリダクション:OFF

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:強

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:弱

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

高感度ノイズリダクション:標準

ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600

アートフィルター(RAWから現像)

ウォーターカラー
クロスプロセス
ジェントルセピア
ジオラマ
デイドリーム
トイフォト
ドラマチックトーン
ファンタジックフォーカス
ポップアート
ライトトーン
ラフモノクローム
リーニュクレール

・作例

E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 / 約8MB / 4,608×3,456 / 1/25秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / 12mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 / 約5.9MB / 3,456×4,608 / 1/2,000秒 / F2 / -0.7EV / ISO200 / 12mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約6.4MB / 3,456×4,608 / 1/640秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO100 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約6.8MB / 4,608×3,456 / 1/1,600秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 / 約6.2MB / 3,456×4,608 / 1/100秒 / F2 / -0.7EV / ISO200 / 12mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 / 約5.9MB / 3,456×4,608 / 1/125秒 / F2 / -0.7EV / ISO200 / 12mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2 / 約7.7MB / 4,608×3,456 / 1/200秒 / F2.8 / +0.7EV / ISO200 / 12mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約5.7MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F2 / -0.7EV / ISO200 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約6.7MB / 4,608×3,456 / 1/125秒 / F5 / -0.7EV / ISO200 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約6.9MB / 4,608×3,456 / 1/160秒 / F7 / +0.7EV / ISO200 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約6.5MB / 3,456×4,608 / 1/6,400秒 / F2 / -0.7EV / ISO200 / 17mm
E-P5 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 / 約5.3MB / 4,608×3,456 / 1/8,000秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO200 / 17mm

曽根原昇

(そねはら のぼる)信州大学大学院修了後に映像制作会社を経てフォトグラファーとして独立。2010年に関東に活動の場を移し雑誌・情報誌などの撮影を中心にカメラ誌等で執筆もしている。写真展に「エイレホンメ 白夜に過ぐ」(リコーイメージングスクエア新宿)など。