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【新製品レビュー】ニコンCOOLPIX AW100

〜現在地の地図表示が可能。ニコン初の防水・耐衝撃デジカメ
Reported by 本誌:折本幸治

 ニコンからついに防水・耐衝撃デジタルカメラが発売された。「COOLPIX AW100」は、水深約10m・60分までの防水性能、約1.5mからの耐落下性能、約-10度までの耐寒性能を実現。さらにGPS機能を搭載するなど、他社のタフネス系と遜色ないスペックとなっている。

 しかも、電子コンパスや現在地の地図表示が可能。後発だけに一歩先行く機能を盛り込んでいるのが特徴だ。

 撮像素子は有効約1,600万画素の1/2.3型裏面照射型CMOSセンサー。レンズは焦点距離28-140mm相当(35mm判換算)F3.9-4.8の光学5倍ズーム。液晶モニターは3型46万ドット。手ブレ補正機構「VR」は、レンズシフト式と電子式の併用になっている。

 発売は9月8日。価格はオープン。実勢価格は3万4,400円前後。


ニコンらしかぬ? ポップな見た目

 ニコンの水中用カメラとして有名なのは、レンズ交換式の「ニコノス」シリーズだろう。その耐久性とレンズの描写力から、水中撮影では定番ともいえる立場を築いたのは良く知られた話だ。

 一方本機はレンズ一体型であり、他社のタフネス系デジタルカメラと大差ないサイズとスタイリングを採用している。すなわち、薄型のボディ、屈曲光学系レンズ、パッキンを備えた記録メディアおよび電池室という構成。その観点からすると新鮮味はないが、カラーバリエーションに目をやると、濃いオレンジ、カモフラージュ柄、ホワイトといったニコンらしかぬ派手な前面外装に、従来のCOOLPIXにはないテイストを感じる。試用したオレンジの前面外装は手触りが良く、塗装などの仕上げも高級感たっぷりだ。

 同時にオレンジは、ニコノスVやニコノスRS AFのイメージカラーという印象もある。個人的にはかつての栄光をまといながらも、現代のパッケージングで甦った「ニコン全天候カメラ」の新製品という雰囲気もなくはない。

 見た目のアクセントになっているのが、本体右手側のバッテリー/SDカバー開閉ダイヤル。ロック解除ボタンを押しながら回して開けるタイプで、実にアウトドアギアらしいギミックとなっている。しかもダイヤカットの滑り止めが施されており、高級感がある。

 オリンパスTough上位モデルのような、電源に連動して開閉するレンズバリアはなし。このクラスで多数派を占める、カバーガラスがレンズを常時保護しているタイプになる。

 タフネスカメラにはシャッターボタンが固い製品が見受けられるが、本機のシャッターボタンは軽い力でレリーズできる。若干、前後左右に遊びがあるものの、押すだけで手ブレしそうになる程固い他社製品より好印象だ。

 背面の操作系にはこれといって特徴がなく、背面外装の素材にも重厚感は感じられない。ボタンは若干固めで小さい。グローブをした手での操作は難しいが、後述する「アクション操作」で、ある程度まかなえる。

レンズは焦点距離28-140mm相当(35mm判換算)F3.9-4.8の光学5倍ズーム SDXC/SDHC/SDメモリーカードに対応。パッキンはニコンらしく黄色だ

 メニュー操作も他のCOOLPIXシリーズを踏襲。文字が大きく、水中でも視認性が高いのはうれしいポイントだ。ただ、ボタンの反応が多少遅いのは残念だった。

 操作系でユニークなのは、本体左手側にあるアクションボタンだろう。「地図表示」、または「アクション操作」を割り当てられる。

 アクション操作は、カメラを上下、または前後に振ることで操作するモード。撮影モードの選択、動画撮影の開始、クイック再生、現在地表示をアクション操作で実行できる。同じく加速度センサーを搭載したオリンパスのToughシリーズに類似したギミックであり、グローブをつけた状態での操作を想定した機能になる。

 面白いのは、ストラップ取り付け部が左右それぞれにあること。このクラスの製品でストラップの両吊りを行なう人は少ないと思うが、おそらく本体上部のGPSアンテナを空に向けるための工夫なのだろう。GPSアンテナの感度が良いので、必ずしも常時両吊りで使う必要はないと感じたが、普段から両吊りを好む人には見逃せないポイントとなるはずだ。


背面液晶モニターで現在地の地図を表示

 では、本機の目玉であるGPS機能を見てみよう。特徴はA-GPS(アシストGPS)対応、ログ機能装備、電子コンパス対応、そして本体での地図表示だ。測地系はWGS84。GPSの取得時間は6時間、12時間、24時間、72時間から設定できる。

GPS機能関連の設定を行なう地図表示メニュー 電子コンパス(画面下部中央)を表示させたところ。画面を上向きにすると、方位磁石のような表示になる

 衛星の補足速度や電池の持ちは、後発だけに他社の性能を上回っている。ビルに囲まれた都市部でも比較的容易に衛星を補足するし、「COOLPIX P6000」や「GP-1」を使用した印象からすると、コールドスタート、ホットスタートともこの手の製品としては抜群に速い。もちろん、条件によってはホットスタートにまだ数10秒を要するときがあり、ログ記録が1分単位なのも、用途によっては物足りないかもしれない。今後の進化にも期待したい。

 表示される地図は、現在地とその周囲に限られる。スクロールさせて別の場所を表示させることは不可能だ。不満を覚える人もいるかもしれないが、GPS機能はあくまでも位置情報の記録とログのためにあると割り切り、おまけで現在地を確認できる程度に考えたい。ウェイポイントを設定してルートを割り出し、ナビ代わりにするような使い方はあきらめて欲しい。

 都市部の地図の縮尺と情報量は結構細かい。さすがにスマートフォンのGoogleマップに比べると情報量の面で不足を感じるものの、地名やランドマークはまずまず表示される。ちなみに、沖縄の離島で自動車の中から使ったところ、海岸線と道路とおおまかな地名だけが表示された。それでも現在地はわかったし、走行中の追随性にも問題はなかった。電子コンパスによる方位表示とあわせ、アウトドアでの利用価値は高い。

地図表示の例。徐々にスケールを細かくして見た

 撮影画像には緯度・経度・標高・方位が加えられる。また、「POI(Point of Interest)記録」をオンにすると地名も含まれ、再生モードで地名の表示が可能になる。また、今回は細かく試さなかったが、POIの表示レベルやPOI情報編集も行なえる。上記の地図内の情報量については、デフォルトのPOIレベルでA-GPS適用時の印象だ。

 ちなみにA-GPSは、「更新用A-GPSファイルダウンロード」からダウンロードし、本体への入力はSDメモリーカード経由で行なう。

 特筆すべきは電池の持続時間。厳密に計測したわけではないので参考程度に見てほしいが、従来のGPS機能内蔵デジタルカメラに比べて、かなり電池の持ちが良い印象を受けた。GPS取得のまま撮りつつ持ち歩いても、電池残量は一般的なコンパクトデジタルカメラより若干持ちが悪い程度の感覚。この辺りも後発の強みだろう。

同梱ソフト「ViewNX 2」で位置情報を表示させた状態
他のソフトでも表示できる。写真はAperture 3。ロガー機能で得られたトラック情報を重ねたところ ロガー機能で生成されたトラック情報を、一緒に持ち歩いた別のカメラで撮影した画像に適用

アート系エフェクトも搭載

 防水カメラなので、画質についてはあまり期待はできない。実際、JPEGの圧縮率を低く設定しても画素の分離が悪くて描写に切れがなく、一緒に試用したCOOLPIX S8200と比べても、周辺が乱れが目立つ。また、輝度差が強い輪郭に縁取りができやすいなど、どうもレンズがひまひとつのようだ。もっともこれは等倍付近まで拡大した場合の話で、例によって縮小表示で鑑賞するぶんには問題ない。防水・耐衝撃カメラということで、画質はある程度割り切る必要もあるだろう。

 反面、高感度画質はかなり良くなっている印象。低感度との差が少なく、条件によってはISO800でもノイズが気にならない。水中では高感度になることが多いので、こういった進化はありがたい。裏面照射型CMOSセンサーと画像処理エンジン「EXPEED C2」の力なのだろう。

 GPS関連以外の新機能としては、いわゆるアート系エフェクトの「スペシャルエフェクト」が面白い。効果を確かめながら撮影できるもので、「ソフト」、「ノスタルジックセピア」、「硬調モノクローム」、「ハイキー」、「ローキー」、「セレクトカラー」から選べる。セレクトカラー以外はパラメーターを設定することは不可能で、重ねがけもできないなど、今となってはシンプルな構成だ。

スペシャルエフェクト:ソフト スペシャルエフェクト:ノスタルジックセピア
スペシャルエフェクト:硬調モノクローム スペシャルエフェクト:ハイキー
スペシャルエフェクト:ローキー スペシャルエフェクト:セレクトカラー(左のカラーパレットから残す色を選ぶ)

 なお、再生モードで適用できる「フィルター効果」には、「ミニチュア効果」、「魚眼効果」、「クロススクリーン」など、より複雑なエフェクトが楽しめる。そのうち「かすみ取り」は、水中撮影で発生しやすい画像のかすみを軽減するという、本機らしい効果が得られる。

 動画は圧縮方式H.264/MPEG-4 AVC、1,920×1,080/30fpsに対応。水中では静止画も面白いが、動画の方が臨場感を記録しやすい。動画ボタンもあり、手軽にフルHD動画が撮れるのは心強い。


まとめ

 ニコン初のタフネス系ということで期待をしつつ試用したが、画質以外に大きな不満はなかった。液晶モニターも水中で見やすく、オート主体で撮る分には使い勝手も悪くない。もちろん、試用中に浸水することもなかった(水温と気温の差があったので、レンズが曇る現象はあった)。

 また、GPS機能の出来にはとにかく感心した。ロガーとして使える上、電池の持ちも良いので、デジタル一眼レフカメラをメインとした撮影旅行のお供として連れて行くのも悪くないだろう。

 GPS機能を搭載するデジタルカメラが増えてきが、地図表示が可能なのは、本機とカシオ「EXILIM EX-H20G」だけだ。そのうち防水・耐衝撃性能を有するのは本機のみ。スノーケリングやスノーボードなどで使うアウトドアカメラを探している方は、ぜひ一度手にしてほしい。


実写サンプル

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

・画角

広角端 / COOLPIX AW100 / 約5.8MB / 4,608×3,456 / 1/1,000秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm 望遠端 / COOLPIX AW100 / 約6.0MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F4.8 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 25mm

・感度
ISO125 / COOLPIX AW100 / 約6.2MB / 4,608×3,456 / 1/125秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm ISO200 / COOLPIX AW100 / 約6.6MB / 4,608×3,456 / 1/200秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm
ISO400 / COOLPIX AW100 / 約6.7MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm ISO800 / COOLPIX AW100 / 約5.9MB / 4,608×3,456 / 1/800秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm
ISO1600 / COOLPIX AW100 / 約6.2MB / 4,608×3,456 / 1/1,250秒 / F4 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm ISO3200 / COOLPIX AW100 / 約6.5MB / 4,608×3,456 / 1/640秒 / F8 / 0.0EV / WB:オート / 7.7mm

(撮影:酒井梨恵)


・水中
シーンモード:水中 / COOLPIX AW100 / 約6.8MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5.9mm シーンモード:水中 / COOLPIX AW100 / 約5.9MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F4.8 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 25mm
シーンモード:水中 / COOLPIX AW100 / 約6.6MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm シーンモード:水中 / COOLPIX AW100 / 約6.9MB / 4,608×3,456 / 1/400秒 / F4.4 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 13.9mm

・スペシャルエフェクト
スペシャルエフェクト:ソフト / COOLPIX AW100 / 約6.6MB / 4,608×3,456 / 1/200秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm スペシャルエフェクト:ノスタルジックセピア / COOLPIX AW100 / 約3.6MB / 4,608×3,456 / 1/250秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm
スペシャルエフェクト:硬調モノクローム / COOLPIX AW100 / 約6.3MB / 3,456×4,608 / 1/400秒 / F8 / -0.3EV / ISO125 / WB:オート / 7.7mm スペシャルエフェクト:ローキー / COOLPIX AW100 / 約4.9MB / 4,608×3,456 / 1/1500秒 / F7.8 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm
スペシャルエフェクト:ローキー / COOLPIX AW100 / 約5.0MB / 4,608×3,456 / 1/1,250秒 / F3.9 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm
オート撮影モード / COOLPIX AW100 / 約6.6MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F7.8 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm スペシャルエフェクト:セレクトカラー / COOLPIX AW100 / 約6.1MB / 4,608×3,456 / 1/500秒 / F7.8 / 0.0EV / ISO125 / WB:オート / 5mm

・動画
  • 動画作例のサムネイルをクリックすると、未編集の撮影動画をダウンロードします。再生についてのお問い合わせは受けかねます。ご了承ください。
約22.4MB / 1,980×1,080 / H.264 /30fps
約18.3MB / 1,980×1,080 / H.264 /30fps




本誌:折本幸治

2011/10/7 12:14