ソニー「S-Frame DPF-X800」

充実の補正機能を有する高画質機

 今やデジタル家電の一ジャンルとして定着した感があるデジタルフォトフレーム。この1年で多様化も進み、無線LANへの対応や、PCのサブディスプレイとして使用できる製品なども登場している。このコーナーでは、デジカメWatchがピックアップしたデジタルフォトフレームについて、特徴的な機能や使用感を紹介する。

DPF-X800

 ソニーの「DPF-X800」は、同社のデジタルフォトフレーム“S-Frame”シリーズの中級機に当たる製品だ。インターネット接続やパソコンとの連携といった付加価値は見られないものの、写真を見せるというデジタルフォトフレームの王道を突き進むモデルといえる。

 液晶パネルは8型。フレームカラーとして「ブラック」と「ウッディー&ブラック」が選べる。実勢価格は2万9,800円前後。

 新ディスプレイの「TruBlack」は、従来モデルである「DPF-V900」や「DPF-V700」と比べてコントラスト比約15倍、輝度は13%アップしているという。実際に見ても、漆黒といえる黒の深さがあり、高コントラストに高彩度も相まって、はっきりとした色使いがなされている印象を受ける。画面サイズは8型(有効範囲は7.6型)と大きく、高精細な「クリアフォト液晶」を採用した。クリアフォト液晶といえば、同社のコンパクトデジタルカメラ“サイバーショット”シリーズや、デジタル一眼レフカメラ“α”シリーズで採用されているのも同じ名称の「クリアフォト液晶」だ。

 コントラストはやや高めに調整されている印象だが、上下左右の視野率は広く、「プリントせずに写真を楽しみたい」というユーザーにはもってこいの製品と言えそうだ。なお、縦横位置感知センサーを内蔵したことで、本体の置き方に合わせて、表示写真が自動で回転するようになっている。縦位置での撮影が多い人は、本体を縦にして設置すると、多くの写真を大きく表示できるわけだ。

 使っていて感心させられるのが、設置場所の明るさを検知し、バックライト光量を自動調整する「明るさセンサー」を搭載していることだ。部屋の照明を落としたり、部屋間の持ち運びをよく行なう場合も、これにより常に最適な明るさで写真と向き合える。

本体上部のビューモード(表示モード)ボタンとアラームスイッチ。照度センサーの丸窓も見えるメモリースティック、メモリースティックPROデュオ、SDHC/SDメモリーカード、MMC、xDピクチャーカード、CF、Microdriveを使用可能。アダプターを利用することでminiSDメモリーカードやmicroSDメモリーカードにも対応する。
背面には十字ボタンや電源ボタン、メニューボタン、戻るボタンを備える。リモコンを使わずに操作する場合には、これらのボタンを利用することになるHDMIやUSBなどのデジタル入出力端子も用意。テレビやプリンターへ接続する時に使用する
背面下部には、主電源スイッチと電源端子、スタンド穴がある本体もしくは、リモコンの「VIEW MODEボタン」を押すだけで、「スライドショー」、「時計・カレンダー」、「一枚表示」、「インデックス表示」を素早く切り替えることができる

 また、デジタルカメラで採用されている画像処理エンジン「BIONZ」を搭載したことで、「自動覆い焼き」、「ホワイトバランス補正」、「美肌補正」、「逆光補正」、「赤目補正」、「ピンボケ補正」といった6種類の補正が行なえるのもポイントだ。失敗写真も手間をかけずに飾ることができる。

 なお、写真のテイストを「スタンダード」、「ポートレート」、「ビビッド」から選択可能だ。表示する内容に合わせて好みのモードを選びたい。

 内蔵するメモリーは約2GB。4GBを超える容量の記録メディアが安売りされている現在、2GBという容量は心許ないが、内蔵メモリーに写真データを移した際に自動的にリサイズされ、結果、約4,000枚の写真データを保存できる。4,000枚ということは、1枚の写真を1分間表示させるとして、約67時間分ということになる。こう考えれば、十分な容量といえるだろう。

「くっきり補正」として、「赤目の補正」や「ピンボケ補正」など、6種類の補正効果が用意されている補正効果の適用は1枚ずつとなる
画質モードを「ポートレート」、「スタンダード」、「ビビッド」の3種類から選択できるイベント、フォルダ、縦・横写真、マークなどの条件から写真を探せる「絞り込み検索」

 スライドショー機能も比較的豊富だ。時計やカレンダーと一緒に写真を表示させることや撮影日と写真を一緒に表示する「タイムマシン」、写真を背景として表示させる「スクラップブック」といった機能を収録している。また、写真1枚1枚を次々と表示させる「シングル表示」では、写真が十字状に開いて次の写真に切り替わる「センタークロス」をはじめ、6種類のエフェクトが選択できる。

スライドショーの選択スライドショーのエフェクトや切り替え間隔を設定可能
「スライドショー」で選べる「マルチ表示」。複数の画像を使って画面が表示されるカレンダーと写真を表示できる「カレンダー表示」
撮影日情報とともに写真を表示する「タイムマシン」時計やカレンダーの単独表示も可能。デザインは複数用意されている
手書き文字やイラストを合成して表示できる「クリエイティブ機能」を搭載スライドショー内の「スクラップブック」では、用意されたフレームなどを使って見栄え良く画像を表示させることが可能
写真に合成できるスタンプを内蔵している

 そのほか、4月発売のサイバーショットDSC-HX1で撮影した「スイングパノラマ」を表示する機能もある。1枚のパノラマ写真を全体表示するだけでなく、拡大した一部をゆっくりスライドさせて表示する「スクロール再生」も楽しい機能だ。

 本製品は、デジタルフォトフレームの主要な機能である「写真をきれいに見せる」という点を高品位に実現している。かと思えば、写真に文字やスタンプを貼付けられる「クリエイティブ機能」といった遊び要素も充実している。コスト優先のカード型リモコンではなく、適度なプッシュ感のボタンを備えるリモコンにも好感を持った。

 “写真は撮るだけ”という人が多いと聞くが、面倒な加工をしなくても手軽に楽しめるデジタルフォトフレームを使って写真を飾ってみるのも面白いだろう。



(飯塚直)

2009/7/6 12:20