PENTAX Q【第3回】

標準ズームレンズ1本で水族館に行こう!

Reported by水咲奈々


 今回は「1本のレンズで気軽に遊ぶ」を目的として、標準ズームレンズの「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」だけで水族館撮影にチャレンジしてきました!

 水槽の中を撮影するなら明るい単焦点レンズの「PENTAX-01 STANDARD PRIME」にしようかと思ったのですが、ショーも撮影したかったのでズームができるレンズにしました。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。

優秀な追尾機能!

 まずびっくりしたのが、ショーで動き回るアシカをAFがしっかり捕らえていたことでした。普通に観客席に座ってパシャパシャ撮っているだけですが、意外とピントが合っているものが多くて、後で見直したとき(撮影中はシャッターチャンスを逃さないためにクイックビュー機能はオフにしています)に驚きました。

 この優秀な追尾機能は、水に潜らない限りはアシカを追尾し続けていました。ただ、イルカのショーのように水中とジャンプを繰り返すような被写体はさすがに追いきれませんでした。

 本格的なちょっとのブレも許さない画が欲しかったり、連写性能を重視する方は別でしょうが、気軽にレンズ交換カメラを楽しみたい方や、荷物の多いパパやママのレジャーカメラ&レンズとしては、この標準ズームレンズが1本あればかなり楽しめると思います。

アシカショーの後半、トレーナーのおにいさんが「ここがシャッターチャンスです!」と叫んだので逃さないようにパチリ! PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約2.8MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F4.5 / 0.0EV / ISO800 / WB:オート / 15mm

とにかく「小さく」を実現するための開発努力

 このレンズの開発担当によると、カメラボディと同じでレンズもサイズを小さくすることがやはり絶対の課題であり、レンズの性能は高くしたいけどそのためにサイズが大きくなってしまっては製品の魅力が下がってしまうので元も子もない……というバランス取りが大変だったと語っていました。

 特にレンズシャッターを入れた高性能レンズシリーズは、どこからか調達してきたレンズシャッターを「入れるんだ!」といわれて、とにかくボディは小さくコンパクトにしなくてはならないというコンセプトがあったのでそれも理解できてしまい、結局説得されてしまったそうです。

ペンタックスリコーイメージング株式会社(社名長くなった!)で見せていただいたレンズシャッター。こういう向き出しの部品を手で触るときはなんだか緊張しちゃいますね(笑)

 まずPENTAX-01 STANDARD PRIMEですが、最初はもっと大きくて今の1.5倍くらいあったそうです。そこからさらに小さくして今のサイズになったのですが、このサイズでも商品企画の担当からは「まだ大きい!」と言われて、パンケーキレンズというよりもマカロンじゃないかって、いまだにいじめられているそうです(笑)

 そして「PENTAX-02 STANDARD ZOOM」は開発のスタートが少し遅れてしまってボディの設計と時期が重なってしまい、レンズフードを付けるツメの角度を変えられないかとか、もっとケラレないような形状にならないかなど、内蔵ストロボ班との攻防戦が繰り広げられたそうです。

 レンズの開発担当者からのメッセージとしては、店頭などでぜひ実際に手にとってみていただきたいとのことでした。

 ズームリングやフォーカスリングを回したときのしっくり来る感触などはカタログスペックには現れてこないところですが、開発陣のこだわりを感じて頂けると思いますと仰っていました。


ちょっと困った「勝手にズーム&勝手にMF」

 今回使用した標準ズームレンズですが、開発者の方のお話にもあったようにズームもフォーカスも快適で、スムーズに焦点やピントを合わせることができました。

 この小ささでこの扱いやすさは使っているうちに当たり前になってしまいそうですが、やっぱり出来がイイナと改めて思えました。

 ただ、難点が2点。ひとつはレンズが一番短い状態、つまり収納状態が望遠端ではないので、水族館で水槽のガラスにレンズをくっつけて望遠端(15mm)で写真を撮ろうとすると、その圧力で繰り出したレンズが縮んでしまって14.9mmくらいの画角になってしまうこと。

 これは他のズームレンズでも望遠端が一番短い状態でないものはありますが、このQのレンズはフォーカシングがスムーズなため、画角が変わったことに気が付きにくいのです。これはサイズが小さいため指で感じる面積が少ない……ともいえるでしょう。

15mmに合わせた状態。レンズ先端(画面上では上)の黒い部分がほんの少し浮いていますレンズ先端を止まるまで押すと10mmと15mmの間、少し15mm寄りの辺りで止まります

 もう1点は、レンズのピントリングを回すと拡大表示がされてマニュアルでのピント合わせがしやすいMFアシストという機能(01と02の高性能レンズ使用時。03〜05のユニークレンズ使用時はOKボタンを押すことで瞬時拡大表示が可能)があるのですが、ここをズーミング時に触ってしまって「勝手にMF」になってしまうこと。

 ならばその機能をオフにしておけばいいのでは、といわれそうですが、細かいピント合せのときにとっても便利なのでオフにはしたくないんですよね。

 とりあえず、「勝手にMF」になってしまったら即効シャッターボタン半押しで画面を戻していますが、本当にしょっちゅうやっちゃってる操作ミスなので、これはもう慣れるしかないかな〜って感じです(涙)


まとめ

 今回は高感度での撮影のため、純粋なレンズの画質というよりも、このようなシーンでの使い勝手についてレビューさせていただきました。

 PENTAX Qをどのような目的で購入するかはそれぞれですが、この小ささと扱いやすさ、でもデジイチ・エントリーモデルクラスの機能が盛り込まれていることなどを考えると、今までコンデジしか扱ったことがない人や、トイカメラ好きでフィルム派だった人にもぜひ興味を持っていただきたいと思いました。

 本格的に写真をやる人じゃなくても写真の世界に入り込む入り口として、このPENTAX Qは活躍してくれるのではないでしょうか?

 そんな訳で、純正の目立つ赤いカメラケースも入手したのでナナメ掛けして(このストラップの長さだと男性はナナメ掛けできないようですね)今日も街をうろつきたいと思います!


レンズを水槽のガラスにくっつけて撮影。レンズが少し押し戻されて焦点距離が14.9mmになってしまいました。PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約3.1MB / 4,000×3,000 / 1/60秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 14.9mm潜っているときに海の中でいきなり出会うと怖いウツボも、ガラス越しだと結構愛らしい(笑)PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約2.1MB / 4,000×3,000 / 1/10秒 / F5 / 0EV / ISO1000 / WB:オート / 14.9mm
魚が水槽のガラスにかなり接近した瞬間に撮影。黄金色が綺麗でした。そして、ちょっとおいしそう。PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約2.7MB / 4,000×3,000 / 1/50秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 14.9mm
水槽の向こう端で動かない被写体を見つけたので「02 STANDARD ZOOM」の広角側で撮影。PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約3.1MB / 4,000×3,000 / 1/30秒 / F4.5 / -1.0EV / ISO1000 / WB:オート / 5mm「02 STANDARD ZOOM」の望遠側で撮影。撮影が終わるまでエラ以外は動かさないイイコでした。PENTAX Q / PENTAX-02 STANDARD ZOOM / 約2.9MB / 4,000×3,000 / 1/25秒 / F4.5 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 15mm

撮影協力:エプソン 品川アクアスタジアム

【2011年10月18日】「0.5倍」を「1.5倍」に改めました。





(みさき なな)東京都出身。知り合いの写真家の作品撮りにモデルとして関わったことがきっかけで写真に興味が沸き独学で写真の勉強をし、作品を持ち込んだ出版社に編集として入社。2010年独立。現在はカメラ雑誌の編集やWebでのカメラレビュー、写真講座の講師として活動中。「Pentax+」でも記事を連載。 Twitter:@cosaruruブログ:http://misakinana.com

2011/10/18 00:00